商業慣習調査資料

概要

 近世から明治前期にかけての、商業慣習に関する記録。

 「商業慣習調査資料」とは一橋大学附属図書館が所蔵する商業慣習に関する記録の総称で、
 (1) 『古来慣習誌料』
 (2) 『内国商業慣習』
 (3) 『函館商業慣例取調書』
 (4) 『慣習誌 地本屋』
の4点で構成されている。

  (1) 『古来慣習誌料』はその内容から、東京商法会議所の質問票に対する諸問屋仲間の回答書及び彼らへの聞き取り調査結果の綴であると考えられる。調査対象となった業種は、塩屋・油屋・醤油屋・絵具染草屋・鉄物屋・綿屋・織物・質屋・麻屋・船具屋・網屋の計11種。回答書の年次はいずれも明治14年 (1881) なので、記載内容はこの年のものと考えてよいだろう。商法講習所の罫紙が多く用いられていること、「商法会議所講習所 頭取御中」という宛所が見られることなどから、当時東京商法会議所の管轄下にあった商法講習所 (一橋大学の前身) が調査に深く関与したものと推測される。

  (2) 『内国商業慣習』は高等商業学校分業調査部及び同校内国商業実践科が作成した報告書。内国商業実践科の報告書は末尾の10丁のみで、分業調査部の報告書が9割強を占める。用紙は高等商業学校の罫紙で統一され、いずれの報告書にも欠落と思しき箇所がある。年代の下限は明治22年 (1889) 。内容は米・生糸・茶・唐糸 (機械紡績綿糸)・砂糖・石炭 (以上分業調査部)・桐生の景況及び手形流通状況 (内国商業実践科) にわたる。

 (3) 『函館商業慣例取調書』は函館の商慣習に関する各種記録の写である。農商務省からの諮問表に基づいて北海道庁農商課が明治22年 (1889) 2月2日から9日にかけて実施した聞き取り調査の記録や、函館商工会が作成した書類の写などが収録されている。明治25年 (1892) 11月1日購入。

 (4) 『慣習誌 地本屋』は本屋の商慣習に関する記録。板谷良作編。第17丁裏に本文と同じ筆跡で「落字アルカ」という書き込みがあり、写本と考えられる。本文中の年代の下限が明治14年 (1881) 、当館の購入時期が明治26年 (1893) 11月6日なので、成立時期は明治14年と26年の間ということになる。

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関連情報

所在

附属図書館 貴重資料室 【貴X:153, 157, 160, 168】