平成17年度一橋大学附属図書館企画展示

オウエンから一橋へ : 消費組合の成立と展開

2. イギリスにおける協同組合思想 : 萌芽からロッチデール原則まで

2.5 ロッチデール原則

先駆者組合以前にも協同組合経営による店舗は、数多く存在した。しかし、そのいずれもが長続きしないまま解体していった。その中で先駆者組合が、消費協同組合の原型として著しく発展し、現在まで引き継がれてきた理由は、のちに「ロッチデール原則」といわれる協同組合の経営理念にあった。

先駆者組合設立当初1844年の最初の規約 Laws and objects of the Rochdale Society of Equitable Pioneers では、「自給自足の国内植民地の設立」を目的としており、オウエン主義的協同組合思想の強い影響が認められる。しかし、同時にそれは、「組合の金銭的利益」の実現を第一義的目標として掲げ、そのために購買高配当を中心とする諸原則を確定した。

これらの原則は、先駆者組合以前の協同組合運動や労働組合運動の経験や成果から採択したもので、決して新しいものではなかったが、それが組みあわされて協同組合の新しい形態を創りだした。先駆者組合は、一方で資本主義経済に適応する形で協同組合運動の自立を図り、他方で「公正」を社会的に貫徹させる形で資本主義経済に対する批判を展開した。

[出品資料]

  • 『定款』 1844年版
    Laws and objects of the Rochdale Society of Equitable Pioneers enrolled according to the Acts, 10th, George IV, and 4th and 5th, William IV. Rochdale, 1844

    ロッチデール公正先駆者組合の定款(規約)と目的の初版。

    後年、世界の協同組合の基盤となった、いわゆるロッチデール原則の原型は、この小冊子に記載されている。末尾の余白には配当額などを記入するようになっており、また組合員自身の署名欄もある。 250部という限られた印刷の中の1冊であり、極めて稀覯な資料である。創始者28人の1人の所有であったかもしれない。


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