平成18年度一橋大学附属図書館企画展示
江戸時代の豪農と地域社会 : 岡田家文書の世界

岡村の奉公人たち [展示ケース10]

江戸時代には、奉公人の親が給金を前払いで受け取り数年にわたって住み込みで奉公する年季奉公が一般的であったが、次第に奉公期間が短くなり、日雇という新たな雇用形態が生まれてくる。たとえば、文政期の郡中議定の内容から、この時期には一年季を基本としながらも半季での出替わりが出現しはじめていることがわかる。

岡田家でも、毎年、年季奉公を雇っていたが、明治時代の帳簿からは日雇の存在も確認できる。出身村は村内および半径4km以内の近隣の村々に限られていた。岡村からの出奉公先もまた近隣村々であるが、木綿商品生産に関わる賃労働が発達しているため、遠隔地への出奉公が少ないのが地域的特質といってよいだろう。

奉公人の給銀の高騰も常に郡中で問題となっていた。岡村の男子年季奉公人の賃金は、嘉永4年から明治元年までの間に4倍近く上昇している。綿・菜種・肥料の流通問題をめぐる国訴運動の基盤となった郡中寄合は、奉公人・日雇の賃金規制や奉公人の出替りに対する規制も行なっていた。郡中寄合を構成する農民たちが奉公人を雇用する層であったことを示している。

【参考文献】
菅野則子「封建制解体期畿内農村の構造」『村と改革』(三省堂 1992.12)
薮田貫『国訴と百姓一揆の研究』(校倉書房 1992.5)
出品資料

一橋大学附属図書館 学術・企画主担当