複式簿記がやってきた!

明治初期簿記導入史と商法講習所

ゲーテと簿記

…真の商人の精神ほど広い精神、広くなくてはならない精神を、ぼくはほかに知らないね。商売をやってゆくのに、広い視野をあたえてくれるのは、複式簿記による整理だ。整理されていればいつでも全体が見渡される。細かしいことでまごまごする必要がなくなる。複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。人間の精神が産んだ最高の発明の一つだね。立派な経営者は誰でも、経営に複式簿記を取り入れるべきなんだ
 これは、ゲーテ Johann Wolfgang von Goethe (1747-1832)「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」の一節です(山崎章甫訳、岩波文庫 2001.1 上巻pp.55)。

また、ゾンバルト(ドイツの社会・経済学者)は、次のように書いています。

資本主義の発達に対する複式簿記の意義はいくら強調しても強調し過ぎることはない。当時の教科書は、簿記を「人間精神の発明した最も美しきものの一つ」と書いているが、たしかに複式簿記はガリレイやニュウトンの体系と同じ精神から生まれたのであ る。これによって明確な利潤が観念できるようになり、抽象的な利潤の観念は資本概念をはじめて可能ならしめたのだ。そうして固定資本とか生産費の概念が生まれ、企業の合理化の道を準備したのだ。簿記組織によって営業の独立性が明確に意識される
( 木村元一著「ゾンバルト 近代資本主義」1949.1 春秋社 pp.152)
(Der moderne Kapitalismus : historisch-systematische Darstellung des gesamteuropaischenWirtschaftslebens von seinen Anfangen bis zur Gegenwart / Werner Sombart Bd. 2 pp.118-119)

参考文献
  • 久野秀男, 会計制度史比較研究. 1992.10 学習院大学
  • O.テン・ハーヴェ著, 新訳会計史. 税務経理協会 2001.12

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