複式簿記がやってきた!

明治初期簿記導入史と商法講習所

簿記と記簿

 明治初期、book-keeping (double entry book-keeping) の訳語としては、

  • 帳合
  • 記簿
  • 簿記
 が使われていました。
 また、「ブックキーピング」「ドップルエントリー」などの言い方もされています。
 「帳合」は、元々あった言葉ですが、福沢諭吉は、
ブックキーピングを帳合と譯して簿記の字を用ひざりしは餘り俗に過ぎたる故か今日世に行はるるを見ず
と云っています(「福澤全集」緒言)。
 記簿は、明治5年8月の学制で使われたことから、文部省やその他の官庁でも多く使われたようです。文部省が主導した「馬耳蘇氏記簿法」もこれにならっています。
 「簿記」は、「銀行簿記精法」で始めて使われ、大蔵省でも当初は、「記簿」と「簿記」は併存していましたが、第一国立銀行の設立や、官庁が複記式「簿記」となったため、次第に「簿記」が一般化したようです。

「簿記」は、book-keeping が訛って、ブッキー→ボキ となった、という説がありますが、西川氏によれば、

簿記課業供奉几案紙筆―唐書百官志
を原典とし、当時、大蔵省では「記録をする」という意味で使われていたものが、 「銀行簿記精法」を刊行するにあたって、book-keeping の訳語として使われた、という説を述べています。

参考文献
  • 久野秀男, 会計制度史比較研究. 1992.10 学習院大学
  • 西川孝治郎, 簿記の語源. 企業会計 10(1)1958.1
  • 西川孝治郎, 簿記という語ができるまで. 産業経理 13(6)1953.6

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