日・EUフレンドシップウィーク企画展示
EUの公用語

イタリア語

「   Traduttore, traditore.    「翻訳者は裏切り者」.翻訳というものが問題にされるときに,よく出てくるイタリア語のフレーズです. ... 「翻訳に誤訳はつきもの」「完全な翻訳などというものはありえない」というふうに,翻訳をめぐる諦念を表わすのに使われることが多いようです.
   完全な翻訳はありえない——そもそも,Traduttore, traditore が,日本語に訳されて「翻訳者は裏切り者」になってしまうという事実が,それを物語っています.たしかに,「翻訳に誤訳はつきもの」という表面的な意味は伝わっています.けれども,「トラドゥットーレ」と「トラディトーレ」という音の類似が生み出す「シャレっ気」は伝わっていません.」
(柴田元幸「翻訳 : 作品の声を聞く」. 小林康夫, 船曳建夫(編)『知の技法 : 東京大学教養学部「基礎演習」テキスト』東京 : 東京大学出版会, 1994, p.62-77 より p.62)
「   イタリア語は,フランス語やスペイン語などと同様,古代ローマの言葉ラテン語から,西暦紀元千年前後に分かれて出てきた,新(ネオ)ラテン語の1つです。そしてその中では祖語のラテン語に最も近い言葉です。ポルトガル,スペイン,フランスなどの諸語がラテン系の西グループなら,イタリア,ルーマニアの2語を中心とする語群は,東のグループを形造っています。
   このことは名詞の複数形をみると判ります。西グループではラテン語の直接目的格複数形を採用したので語尾に「複数のs」をつけます。これがノーマン・コンクェスト(1066)で英国に入り,本来ゲルマン系で語幹の母音変化で複数を表していた英語までが,今ではsをつけて名詞の複数形を作る有様です。
   これに対して同じラテン系でも東のグループでは主格複数形を採ったので,イタリア語の名詞・形容詞は,男性o→i,女性a→eの語尾変化をすることになりました。」
(西本晃二「イタリア語」. 柴田武(編)『世界のことば小事典』東京 : 大修館書店, 1993, p.46-49 より p.47)


一橋大学附属図書館 学術・企画主担当