日・EUフレンドシップウィーク企画展示
EUの公用語

ブルガリア語

ブルガリア語はキリル文字で表記します。2007年現在23あるEUの公用語のうち、キリル文字で表記するのは唯一ブルガリア語だけです。キリル文字はロシア文字に似たかたちの表音文字で、ギリシア文字に倣って作られ、東方正教会の布教に伴って普及しました。たとえばキリル文字の р が[r]の音を表すのは、ギリシア文字の ρ (ロー)に対応するものです。スラヴ語派の言語の表記には、東方正教会が優勢な国ではキリル文字が、ローマ・カトリック教会が優勢な国(スロヴェニア、チェコ、スロヴァキア、ポーランド)ではローマ字(ラテン・アルファベット)が使われています。

「   現代ブルガリア語はロシア語と比べて "э" と "ы" がないだけで文字の構成も一見してロシア語に非常によく似ています。文法的には
  1. 名詞,代名詞,形容詞の変化が単純であること
  2. 動詞の機能が複雑であること
  3. 定冠詞(単数:男 ът , 女 та , 中 то    複数:男 те , 女 те , 中 та)があり,名詞,形容詞の語尾につくことなどでロシア語と違っています。
   見分け方としては,ロシア語では "о" と "е" になっている共通スラブ語の "ъ" と "ь" がそのまま使われているので "ъ" と "ь" が子音の間にはさまれて使われているのが特長です。」
(宮島太郎「キリル文字を使う言語の見分け方」『ロシア語図書目録法入門』東京 : 龍溪書舎, 1981 (図書館整理技術研究会モノグラフシリーズ ; 1), p.144-150 より 147-148)
「   ブルガリア語はスロヴェニア語,セルボ・クロアチア語などとともに南スラヴ語群をなすが,その中で最も近い関係にあるのはマケドニア語である.ブルガリア語もマケドニア語も,スラヴ語にはよく発達した格体系が消失し,単純化している点で,他のスラヴ諸語から最も離れた言語であると言える.不定詞形の消失,それを補う副文構造,冠詞は前置されるのではなく後置されるなどの特徴は,ルーマニア語,アルバニア語,現代ギリシャ語などのバルカン諸語と共通の特徴を示している.」
(田中克彦, H. ハールマン『現代ヨーロッパの言語』東京 : 岩波書店, 1985 (岩波新書 ; 黄版 292), p.133)
[※補注:バルカン言語連合の定冠詞の後置は、ギリシア語を除く]


一橋大学附属図書館 学術・企画主担当