鐘 No.32 (1997.3)





図書館利用のあれこれ

-- 附属図書館委員会委員からのメッセージ --

  入学ならびに進級おめでとうございます。
  附属図書館では,新館が昨年10月にオープンし,より充実した利用者サービスをめざしています。
  学生の皆さんが在学中に図書館をどう活用するか -- 今回は附属図書館委員会の各学部代表委員と言語社会研究科の委員から,図書館についてのメッセージを寄せていただきました。



図書館利用のすすめ

釜江 廣志

  K君,君がまだ図書館を使ったことがないと聞いて驚きました。 中央図書館制度という言葉を聞いたことがありますか。 一橋の附属図書館は他の多くの大学と違って,図書を集中して所蔵し一元的に管理するシステムをとっています。 したがって,ユーザーは読みたい本を1カ所で,たとえばヘルメス(コンピュータを使った本の検索システム)を1度検索するだけで,その所在や貸し出しの状況がわかるのです。 他の大学では,教官が希望する図書や雑誌を買うと,それらは教官個人の研究室や学部ごとにある図書室などに所蔵(死蔵?)されてしまい,学生はおろか他の教官も簡単にはみられない,または所在がわからないという状況がしばしばおこります。
  一橋の図書館の第2の特徴は,雑誌,とりわけ外国の雑誌が特に社会科学を中心に充実しているということです。 これは,神戸大学とともに全国で2館だけの「社会科学系外国雑誌センター」に指定されているということにもよりますが,従来から雑誌の収集に力を入れてきたことのたまものなのです。 最近の学問のスタイルは,最新の研究成果はまず学術雑誌で発表し,それらをまとめた形で本にするというのが多いのです。 だから,君が学問の先端の香りをかぎたいのなら,まずは雑誌論文を探すことが第1のとるべき道です。
  最後に,図書館には学術雑誌だけがあるのではないことを付け加えておこう。 新装なった新館にはいると右手奥に和雑誌のコーナーがあり,そこにはマック,ユニックス,ウインドウズから話題のインターネットまでの各種のパソコン雑誌,「新潮」(週刊ではなく,月刊の),「文学界」などの文芸誌(純文学系)から君の好きな「鉄」(鉄道ファン)の雑誌まで,ヒマつぶし(!)にはもってこいのものもずらり揃っています。 これでも君は図書館の誘惑に勝って4年間を過ごせるだろうか。

(かまえ ひろし 商学部教授)


図書館への期待

石倉 雅男

  最近のオープンネットワーク上での情報通信技術の急速な発展にともなって,既製の情報をユーザーが与えられるままに受けいれるだけの「受け身型」の情報化から,ユーザーが自分の好みのデータを集めて加工することのできる"do it yourself"型の情報化への質的な転換が進んでいる。 "do it yourself"型の情報化を実現するためには,豊富なデータが蓄積されているだけでなく,媒体からデータを引き出すことが容易でなければならない。 図書資料の場合,過去から蓄積された資料はもちろん現在利用可能な資料も,その多くは,媒体(紙)の物理的存在とデータが一体になった「本」の形をとる。 最近では,CD-ROM などの電子出版物の登場によって,ユーザーがデータを媒体から分離して自分で加工することも可能になってきている。 けれども,紙を媒体とする出版物がいっきょに電子出版物にとって代わられるとは考えにくい。 また,媒体(紙)とデータが一体になった「本」からデータを分離することは,技術的には可能であっても,「本」の冊数の蓄積が厖大な場合には,費用面でも運用面でもけっして容易ではないであろう。 しかも,数十年前に出版された図書資料のなかにも,すでに媒体(紙)の劣化が進んでいるものが少なくない。 媒体とデータとの分離が容易でない「本」というメディアが主流でありつづけるなかで,"do it yourself"型の情報化にたいする要請が高まるならば,図書館にたいしてユーザーは,媒体の安全な保存と,媒体からのデータの引き出しやすさとの両立をますます強く求めるようになるであろう。 媒体の管理とデータの引き出しやすさとの両立という課題が,技術革新と図書館の方々のご研究によって,いずれは解決されることを期待したい。

(いしくら まさお 経済学部助教授)


図書館がくれたもの

中田 裕康

  最初に入ったのは小学生の頃,近くの市立図書館だったと思う。 多分,友だちと遊びに行ったのだろうが,はっきりした記憶はない。 中学に入学すると,明るく大きな図書室があり,とても嬉しかった。 新緑の放課後,好きな本を読み耽った充実した時間を思い出す。 大学二年のとき,教授が言及された御自身の判例研究に興味を抱き,講義の後,図書館に行って掲載誌を借り出した。 よく判らないところもあったが,その鋭さに知的興奮を覚えた。 あの夏の夕暮れの印象は鮮明だ。 この頃まで,図書館は,ただもう喜びを与えてくれた。
  学年が進むと,図書館は勉強の場と化した。 最初はまだ,法律書や法律雑誌を借りて読むという,まっとうな利用者であったが,司法試験受験の頃になると,教科書と六法を持ち込んで勉強するようになった。 図書館は静かで落ち着いた場所を提供してくれた。 同じように勉強している友人たちの真剣な姿に出会える場でもあった。 ただ,それは本来の利用の仕方ではないという後ろめたさもあったように思う。
  研修所を経て実務につき,また,大学で研究教育をするようになってからは,図書館は最大の情報源となった。 論文執筆,研究報告,講義準備等々に,その情報は不可欠である。
  本学に着任して,まず図書館を案内して頂き,その規模と充実ぶりに感銘を受けた。 法律関係だけでなく,広く社会科学,更には人文科学にも及ぶ,多くの図書が並ぶ書庫の中を歩くと,気のせいか視野が広くなるようにも感じる。 外国雑誌は,わが国で二つしかない社会科学系外国雑誌センターを擁するため,他では入手困難なものさえ少なくない。 昨秋新しくなった新館の開架部分は,心をうきうきさせる。 検索には,あの効率的なヘルメスがある。
  図書館は,私にその時に応じて様ざまなものを与えてくれた----喜びを,感動を,知識を,場所を,情報を。 本学の図書館は,疑いなく超一級だ。利用者に,そのどれも,また,それ以上のものをも与えるだろう。 大学生活を送ることのできる時間は限られている。学生も教職員も。 旧館閲覧カウンター正面の TEMPUS FUGIT (時は去り行く)の文字を眺めつつ,この図書館を日々利用できる喜びと,その期間が有限である哀しみとを感じる。

(なかた ひろやす 法学部教授)


望ましい図書館の利用とは?

梶田 孝道

【おことわり】

  本稿につきましては, 電子媒体によるネットワークで上での公開が許諾されませんでしたので, 本文の掲載はいたしません。
  ご了承ください。



図書館でひと眠り

田辺 秀樹

  学生時代,私は図書館をよく利用した。 ただし,本を読んだり借りたりするためというよりは,ひと眠りするためだったと言わなくてはならない。 東大本郷の総合図書館には,入り口を入った右側に閲覧室があって,そこには一人掛けの大きな安楽椅子がいくつも並んでいた。 明治時代のものではないかと思われるような堂々たる椅子で,張り布のビロードは擦り切れ,クッションもひどくヘタっていたが,これにドッカと腰をおろすとなんとも心地良かった。 いつも何か読むつもりではいるのだが,この豪勢な椅子に座るともうダメだ。 心身共にリラックスしてたちまち眠気におそわれる。 目を覚ますと外はすっかり暗くなっていて,出席するはずだった授業の時間はとっくに過ぎていたりした。 周りの机では学生たちが熱心に読んだり書いたりしている。 私は「また寝ちまった」と,いくらか後ろめたい気持ちで厳粛な閲覧室を後にするのだった。
  東大の図書館でうたた寝ばかりしていたのは,あのとびきり快適な安楽椅子によるところが大きいと思うが,そうでなくても私の場合,立派な図書館に入るとどうも眠くなるようだ。 ここには古今東西の万巻の書が集められているのだ,自分は集積された叡智の懐に抱かれているのだと思うと,満たされた豊かな気分になって眠り込んでしまう。 同じうたた寝でも,図書館でのうたた寝は,電車や会議室でのそれにくらべてより良い効用があるような気がするのだが,どうだろう。 ドイツの引用句辞典で「図書館」を引いてみたら,ゲーテの言葉が載っていた。 「図書館に入ると,まるで莫大な資本を手にしたような気がする。 その資本は巨額の利息を音もなく生み出し続けてくれるのだ」。 いかにもゲーテらしい,かつまた一橋に相応しいとも思われる言葉ではないか。 そう,私もゲーテと同じような気がするのだ。 しかしそれから,彼は貪欲に読み漁り,私はウトウトと眠り込む。 そこが偉人と凡人の違いなのだろう。

(たなべ ひでき 言語社会研究科教授)



オンライン・データベース

〜 日経ニュース・テレコン 〜

金子 信夫

  本学附属図書館では外部データベースの一つとして「日経ニュース・テレコン」を導入している。 有料データベースであるので,参考業務用,並びに職員の代行検索という形で,利用者の皆さんからの検索の依頼に応じている。
  図1が「日経ニュース・テレコン」のメイン・メニューである。 雑誌情報,人物情報,企業情報など提供される情報は多彩であるが,なんといってもその中核をなすのは新聞情報の検索である。 三大紙,五大紙はもとより,図2でお分かりのように各種の地方紙まで,それも過去に遡っての検索ができ,なおかつ,最大24紙までの横断(一括)検索も可能である。
  新聞情報をサービスするオンライン・データベースには,他に「ELNET」「G-Search」などがある。 「ELNET」は収録紙が55紙で,全紙の一括検索や自動クリッピングが可能であり,規模としては最大のものであるが,オンライン出力は「見出し」のみであり,全文記事の入手はFAXによらねばならない。 一方,「G-Search」は,収録紙が35紙で,最大8紙までの一括検索が可能ではあるが,自動クリッピングやFAXによる図・写真等のイメージ情報の入手が不可である。
  「日経ニュース・テレコン」は,収録紙は28紙であるが,特に日経4紙(本紙,産業,流通,金融)に関しては,自動クリッピング機能やFAXによるイメージ情報の入手が可能であるばかりでなく,日経キーワードによる精度の高い検索ができ,全文記事の収録期間も,「ELNET」が1988年,また「G-Search」が1985年からであるのに対し,1981年からと長く,さらに抄録だけではあるが1975年からの検索も可能である。 また,リアルタイムの速報記事に関しても,原稿の作成に合わせながらのオンライン上での更新がなされており,朝刊は前日の夕方8時頃,また夕刊は当日の正午頃には一部読めるようになっている。
  ところで,普通「日経テレコン」と言われるが,これは日経新聞社のオンライン・データベースの総称であり,サービスされるデータベースは「日経ニュース・テレコン」や「日経テレコン総合版」「日経テレコンBiZ」その他の専門パッケージに分かれている。 利用者からよく数値データの検索を申し込まれるが,本学附属図書館が契約している「日経ニュース・テレコン」は,新聞情報や人物・企業情報などの文字情報の検索システムであり,時系列な数値データの検索は「日経テレコン総合版」の方で可能なのである。
  新聞情報の収集に関しては,以上のオンライン・データベース以外に,インターネットやCD-ROMによる検索など,他のツールも多い。 殆どの新聞社がそのホームページ上で速報的なニュースなどは無料で公開している。また,各紙のCD-ROMも刊行されており,そこから過去の記事本文を簡便に引き出せる。 しかしながら,インターネット上の情報は,殆どの場合リアルタイムの記事に限定されるし,CD-ROMの場合は,日経新聞を例にとれば,1990年からしか作成されていない。 それ以前の記事とか,または,新規のCD-ROMが作成されるまでには,1年以上のタイムラグがあるので,その間の記事はオンライン・データベースに頼らざるを得ない。 縮刷版などから特定の記事を見つけだすのは,掲載日付が明確な場合にのみ限る。 従って,「日経ニュース・テレコン」の代行検索の申込みは結構多い。 特に本学の特性からか日経新聞の利用はことのほか多いのが現状である。
  代行検索の申込みに際しては,明確なキーワードを提示していただけると有難い。漠然としたキーワードだと,ノーヒットだったり,または何千件とヒットしてしまって処理に困ることがある。 課金は接続時間数によるので,ヒット件数が多い場合は,とりあえず「見出し」のみの出力で,記事本文は縮刷版等で確認していただくことになっている。
  さて,日経新聞社では,本年1月に「日経テレコン 21」という新モデルのサービスを開始した。 これはまさに時代の先端をいくイントラネットに完全に対応したもので,各法人が日経新聞社との単一セグメントの契約で,複数の利用者IDの使用が可能であり,IDの多寡により基本料金もかなり安く設定できるようになっている。 この新システムは簡単にいえば「WWW化された日経テレコン」であり,ネットサーフィンの感覚での利用が可能にもなったものである。 ようするにエンドユーザ指向のシステムであり,簡単な新聞記事等の検索は利用者自身が行い,サーチャーによる代行検索はもっと高度化したものに限定していくものであると解釈したい。 すでにこのシステムは,イントラネット構築に積極的な企業を中心に導入が進んでいるといわれるが,一方,官公庁,大学などへの導入はスムーズにいくのであろうか。 この点がなんとも気になるところである。

(かねこ のぶお 参考調査係)

【図1】

《    日経ニュース・テレコン    》
日経ニュース・テレコンの御利用ありがとうございます。                      
《Pメニュー》                                                            
      1. ニュース速報,新聞速報,市況,ニューズレター最新号      A     
      2. 記事検索                                                B     
      3. 雑誌・専門誌検索・海外,法律,科学技術,図書・辞典      C     
      4. 人事・企業,新製品                                      D     
      5. 暮らし・レジャー                                        E     
      6. NEWS, KEYWORD SEARCH, CORPORATE DATA                    F     
    20. マイメニューの作成および変更                                   
    21. 個別番号を入力して直接各画面に入る                             

◎市販ソフト版でご利用の方は,<..?>でコマンドの説明がご覧になれます。
◆「自動記事選択」 「新聞速報」 データ更新時間変更のお知らせ ◆ 
詳しくは 97 を入力するとご覧になれます。 (1月 31日付)

【図2】

【Bメニュー】                                                            
  《邦文記事検索》        43 愛媛新聞            《日経新聞四紙検索支援》 
 30 コマンドの利用        49 化学工業日報*    210 トピックス検索%       
 31 日経新聞四紙%        50 日刊工業新聞      211 調査統計記事検索%     
 32 朝日新聞              51 住宅新報          212 話題キーワード検索%   
 33 毎日新聞              52 鉄鋼新聞           78 業界主要記事一覧       
 34 読売新聞              53 日刊木材新聞        《英文記事一括検索》     
 35 産経新聞              54 日本証券新聞      200 英文記事一括検索       
 36 NHK情報(ニュース)  55 日本農業新聞                                 
 37 西日本新聞            56 電気新聞           95 FAXの登録           
 38 中日新聞              57 日刊建設工業新聞   96 今週の予定             
 39 北海道新聞            58 交通新聞           98 パスワードの変更       
 40 河北新報              59 日刊スポーツ      501 利用状況の表示         
 41 静岡新聞             260 日本食糧新聞          (*は 1 分 500 円)     
 42 南日本新聞            60 新聞一括検索%        (%は 1 分 60 円)      

 +A +C +D +E +F +P で各メニューへ移ります。                         




新営建物のサービス案内 (続)

-- 雑誌の集中配架,グループ学習室,入館システム --

  平成8年10月の新営図書館オープン時には間に合わなかった新館4階,5階の電動集密書架の設置工事が2月初めに完了しました。 その後,第1書庫,第2書庫,第3書庫を始め社会科学系外国雑誌センター(雑誌室)及び小平分館所蔵の雑誌のバックナンバー(製本済雑誌)を新館3階,4階,5階へ移動しました。
  4階には和文雑誌,欧文雑誌,5階には欧文雑誌,3階には大型雑誌および新聞が配架してあります。 配列は図書館,外国雑誌センター,小平分館の区別なく和文雑誌,欧文雑誌別に各々の請求記号順です。 以上のように今まで書庫内各所,雑誌室,小平分館に分散配置されていた雑誌のバックナンバー(製本済雑誌)が新館の3階,4階,5階に集中配架されました。 昨年10月にすでに集中配架された新着雑誌と合わせ,雑誌はすべて新館で利用できるようになりました。
  5階には10人程度で使えるグループ学習室が2室あります。 予約制ですので,利用する時は事前にカウンターに申込をして下さい。
  1階入口には入館システムが設けられました。 図書館利用証の利用者ID(バーコード)を入館ゲートの読み取り機にかざすとゲートのバーが開いて入館できます。 図書館利用証は必ず携帯して下さい。 図書館利用証を持っていない場合は,今までの入館ゲートから学生証を提示して入って下さい。
  なお,地階には平成9年度に電動集密書架が設置される予定です。 地階の利用はその時までいま暫くお待ち下さい。




“Tempus fugit”

久我 太郎

  1995年は一橋開学百二十年の節目,1996年は小平分校が移転,附属図書館新館の増改築が完成した。 この機にあたり本学の「キャプテンズ・オブ・インダストリー」の精神を想起してみた。
  一昨秋百二十周年式典に参列した折,阿部学長の式辞を拝聴しつつ今を去る百三十年前グラスゴー大学名誉総長就任記念講演者カーライルがしめくくったゲーテの詩句「Wirheissen euch hoffen.(のぞみをいだけかし)」を思い浮かべ,折しも助走を開始したとされる大学改革の成る日の速やかならんことを祈った。 『一橋大学百二十年史 Captain of Industry をこえて』を会場で頂戴し,先ず思ったことはキャプテンをこえようとしたのは何も今回が初めてではないということであった。 大正9年大学昇格直後の新入生に当時の佐野学長が「これからはキャプテン・オブ・インダストリーでなくて,須からくベストスチューデントたれ」と訓示したところ,挙手と共に「そのスローガンの理想に憧れて入学したのに今の訓示は納得し難い」との猛烈な抗議でキャプテンズのスローガンが残った。 挙手した学生は旧姓飯田勝次,後の如水会理事長故茂木啓三郎先輩の若き日のエピソードであった。
  このスローガンの淵源については,第三代学長上田貞次郎先輩が『英国産業革命史論』(大正12 同文館)にカーライルの『過去と現在』(1843)を引かれ「新興商工階級の拝金主義に対抗するにはチャーティストの実力行使よりは騎士的精神を持つキャプテン・オブ・インダストリー(実業の将帥)の指導に委せるべきだ」との説を紹介されている。カーライルは『英雄と英雄崇拝』(1841)を上梓後クロムウェル伝にとりかかり,翌秋クロムウェルゆかりの聖アイヴス農場訪問の途次救貧院に収容された労働者の惨状に強い衝撃を受けた。その結果クロムウェル伝に先立って刊行された『過去と現在』第4巻4章は「Captains of Industry」となっている。そこでは腐敗した「現在」にたいする「過去」プランタジネット朝治下支配階級と民衆の人間性あるメリー・オールド・イングランドをふたたび産業革命下の現代に新生させる必要があり,その担い手はかつての海賊やインディアンの殺戮隊長たち Captains of Slaughter に代わる Captains of Industry なのだという。 1901年2月「商科大学設立の必要―ベルリン宣言」起草の在欧母校8教職石川巌,石川文吾,神田乃武,滝本美夫,津村秀松,福田徳三,志田鉀太郎,関一はこのスローガンにいたく感激,帰国後「産業の指導者としての経済騎士道の追求」を高商生の目標としたものの如く,それをうけた学生の檄文のスローガンとして『同窓会雑誌』に度々見られ,爾来母校に事あるごとに高唱され周知され今日に至った。
  『過去と現在』には多くの版があり,Penguin版1冊もの『カーライル選集』(1967)にも『過去と現在』は入っているが第4巻4章は省略されている。 原著刊行から時移り編者の興味がキャプテンズにはなくなったと見える。 原文として本学附属図書館蔵マクミラン版(1927)を参照すると Captains of Industry であるが,その後人口に膾炙するにつれキャプテン(単数)になっていったらしい。 邦訳で「隊長たち」(『カーライル選集』III 上田和夫訳 日本教文社 昭和37)としてあるのがむしろ珍しい程である。
  大学昇格以降も白票事件,戦中戦後を通じ多くの先輩方,即ちキャプテンズ・オブ・インダストリーの雄叫びが『百二十年史』に収められていると思えば時を同じく刊行された『鈴木永二さんを偲ぶ』の「母校は一流中の一流大学たれ」の悲願に母校教職の奮起を願いたい。 かつてカーライル他15名の英国人がゲーテに献じた印銘を玩味頂ければ幸甚である。

OHNE HAST ABER OHNE RAST
いそがず しかも やすまず

(くが たろう 昭22卒 (財)一橋後援会理事)

* 題辞は「時はすぎゆく」という意味のラテン語,附属図書館旧館カウンター正面に掲げられています。




本学教官著訳寄贈書一覧
(平成8年8月〜9年2月)

野崎 歓: ジョルジュ大尉の手帳 (訳)
野崎 歓: 殺戮の天使 (訳)
野崎 歓: 世界×現在×文学 作家ファイル (編)
田中 克彦: 名前と人間
安藤 英義: 会計フレームワークと会計基準 (編著)
堀部 政男: 情報公開・プライバシーの比較法 (編)
金 哲洙: 韓国憲法
金 哲洙: 憲法學概論 第8全訂新版
金 哲洙: 憲法學新論 第6全訂新版
尾高 邦雄:
柴川 林也: 経営財務と企業評価 (編著)
柴川 林也: 柴川林也先生還暦記念論文集 経営財務と企業評価
米川 伸一: 現代イギリス経済形成史
米川 伸一: 紡績業の比較経営史研究
米川 伸一: 東西紡績経営史



新規購入外国雑誌

  平成9年度(1997)から新規に購入する外国雑誌が下記のとおり決まりました。
  到着したものは新館1階雑誌コーナーで閲覧できます。
  1. L'Annee philologique.
  2. Blatter fur deutsche und internationale Politik.
  3. The Cato journal.
  4. Economics of education review.
  5. Economics of innovation and new technology.
  6. Europaiche Grundrecht Zeitschrift.
  7. Figaro.
  8. Gender, work and organization.
  9. IEEE spectrum.
  10. Journal of economics & management strategy.
  11. Journal of international financial markets, institutions & money.
  12. Medieval encounters.
  13. Neue Zeitschrift fur Wehrrecht.
  14. South Asia bulletin.



お知らせコーナー

〈小平分館は小平図書収蔵庫に〉

  学習図書館として皆さんに愛されてきた小平分館が,平成9年3月31日をもってカウンターを閉じることになりました。 9年度以降その機能は新館と東校舎の学習図書室に引き継がれます。 なお,分館は「小平図書収蔵庫」と名称を変え,建物,図書資料の保守・管理,配送,及び遡及入力等の業務を残すことになります。 同収蔵庫図書の利用を希望する場合は,旧館閲覧カウンターに申し込んで下さい。


〈情報検索機器類の整備〉

  平成8年度教育研究特別経費により,レファレンスコーナーの情報検索機器類の整備充実がはかられました。


〈First Search -- インターネット上の情報検索〉

  職員が代行検索します。 (詳細は『鐘』 No.30)


〈新しいCD-ROM〉

  Sociofile が利用できます。


〈CD-ROM講習会〉

  毎月第1水曜11時〜12時。
  新館レファレンスコーナーで行います。


〈海外文献複写依頼が日数短縮に〉

  BLDSC(英国図書館原報提供センター)へ学術情報センターのILLシステムを通して申込みます。 約1ヶ月かかった文書郵便が10日間ほどに短縮されます。


〈EU資料のデリバリー・サービス〉

  「europe」(旧月刊ヨーロッパ)を教官のメールボックスに配布します。 参考調査係(8239)に申込み下さい。


〈スペイン市民戦争コレクション〉 (百年募金購入図書)

  目録入力が完了。端末で検索できます。


〈図書館ダイヤルイン〉

 0425-80-の次に 旧館カウンター8237
新館カウンター8238
レファレンス 8239
古典センター 8248
総務係 8224
FAX 8232




◆会議

〈学内〉

附属図書館委員会,小平分館図書委員会合同委員会 (8.12.17,9.3.5)
平成9年度以降の小平分館について
附属図書館委員会組織について
教養教育用図書等の選定に係る組織について
平成9年度以降の現小平分館の図書費について
その他
一橋大学創立百年記念募金図書購入委員会 (9.3.5)
平成9年度電算機維持費について
その他

〈学外〉

平成8年度国立大学附属図書館事務部長会議 (9.1.23)
於:ラポート兼六 (金沢大学)
第9回国立大学図書館協議会シンポジウム(東地区) (8.12.11〜12.12)
於:千葉大学
東京西地区大学図書館相互協力連絡会
平成8年度第2回加盟館会議 (8.11.29) 於:共立女子大学
平成8年度第2回実務担当者会議 (8.10.30) 於:亜細亜大学


◆人事異動

平成8年10月1日付 情報管理課受入係 配置換 (情報管理課分館図書係) 原 紀代子
情報管理課洋書係 配置換 (情報管理課分館図書係) 伊藤 裕美
情報サービス課雑誌係 配置換 (情報管理課分館図書係) 本間 啓子
情報サービス課参考調査係 配置換 (情報管理課分館図書係) 清水美智子
情報サービス課閲覧係 配置換 (情報管理課分館図書係) 吉田きく江


◆永年勤続表彰

平成8年11月23日付 情報管理課受入係長 村上 保彦




LIBRARY CALENDAR

  開館時間の詳細は, http://www.lib.hit-u.ac.jp/service/calendar-j/ でご覧になれます。
  8月中旬及び9月前半に蔵書点検等のため休館となることがあります。
  土曜日の開館するのは新館のみです。 (午後9時30分から午後4時30分まで)
  臨時休館の場合は掲示でお知らせいたします。
      
開館: 特に記入のない場合は下記の時間開館します。   
××××××
休館

旧館 目録室
9:00-17:00
旧館カウンター 書庫の資料の取り出し 9:00-12:00 ; 13:00-16:45
その他の業務 9:00-17:00
書庫への入庫(職員・院生) 9:00-16:30 (16:45閉庫)
文献複写カウンター 9:00-11:50 ; 13:00-14:20
大閲覧室 8:30-16:30
新館 8:30-20:00 (土曜日は9:30-16:30)

4月 5月 6月 7月 8月 9月
1 全館17:00閉館   ××××××   全館17:00閉館 全館17:00閉館
2       ××××××
3 ××××××     ××××××
4 ××××××     全館17:00閉館
5 新館のみ開館 ××××××   新館のみ開館
6 ××××××     ×××××× ××××××
7 ××××××   新館のみ開館   ××××××
8     ××××××   全館17:00閉館
9         ××××××
10   新館のみ開館     ××××××
11   ××××××     全館17:00閉館
12 新館のみ開館     新館のみ開館
13 ××××××     ×××××× ××××××
14     新館のみ開館   ××××××
15     ××××××   ××××××
16         ×××××× 全館17:00閉館
17   新館のみ開館     ××××××
18   ××××××     全館17:00閉館
19 新館のみ開館     新館のみ開館
20 ××××××     ×××××× ××××××
21     新館のみ開館 ×××××× ××××××
22     ××××××   全館17:00閉館
23 新館13:00閉館       ×××××× ××××××
24   新館のみ開館     ×××××× ××××××
25   ×××××× 新館13:00閉館   全館17:00閉館  
26 新館のみ開館     新館のみ開館  
27 ××××××     ×××××× 新館13:00閉館
旧館17:00閉館
新館のみ開館
28   新館13:00閉館 新館のみ開館   全館17:00閉館 ××××××
29 ××××××   ××××××    
30         ××××××  
31 新館のみ開館   ××××××




一橋大学図書館報 “鐘” No.32
1997年3月31日 発行
発 行 人
石川亮
編集委員
佐藤文宜・今川敏男・三枝辰男・金子信夫・岩本吉弘・原紀代子・別府節子・川森静子・平沼智恵・矢部知美・横山泰子・本間紀美子・金沢幾子
発 行 所
一橋大学附属図書館