鐘 No.26 (1993.10)





図書館増改築の早期実現をめざして

-- 増改築を巡る経過と計画案 --

黒澤 節男

1 これまで

  昭和5年に建築された本学図書館は,35万冊の収容能力を備えた当時としては大きな建物であったが25年で蔵書数はその収容能力を超えた。 その後数次にわたり書庫の増設が図られたが,もはや限界に達している。
  本誌「鐘」には毎号本学図書館の書庫狭隘対策の話が掲載されている。
  曰く 「書庫内通路に年間200台の補助書架を設置し,毎年,図書移動を繰り返すことで,急場をしのいできたが,平成2年度の62台を最後に,もはや補助書架分の余地もない状況である。」(No.24) 「本館事務室の仮書庫転用工事(平成4年度分)がこの夏,完了した。 これは,いよいよ新規受入図書の収容が困難となった書庫確保応急策のひとつであるが,……事務室を転用し,集密書架を設置することで,利用者はもとより,事務室を追われ,仮住まいを余儀なくされた職員にも不便を強いるものである。」 「今回の事務室を仮書庫に転用という応急策で確保できるのは,約3年分の新規受入図書の収納スペースであり,その後については別途の方策が必要となる。」(No.25)
  本学の図書館が,今日の状況に至るまでにはいくつかの要因が考えられるが,最大のものは予算配分の面で図書資料の収集に最重点を置くという本学の良き伝統があること,学部図書室を置かず,研究室にも校費で購入した図書を置かないで図書館に資料を集中し,教職員・学生がいつでも利用可能な状況とした,いわゆる中央集中制度を維持してきたことの二つがあげられる。 しかしそのためには,書庫のスペースを確保することが大前提となることはいうまでもない。

2 本格的な増改築に向けて

  昨年(平成4年)12月,学長が交替した。 本学は,前期教育は小平地区(本部のある国立地区から4キロ程離れている。)で現在行われているが,ご多分に洩れず校舎の老朽化が激しくなってきていることに加え,様々な教育的効果の面からも考慮のうえ,全て国立地区に移すことについて検討されてきた。
  阿部新学長は,図書館の老朽化,狭隘の現状を十分認識しておられたので,この際,小平からの校舎等の移転改築と図書館の増改築とをセットで概算要求したらどうかという考えを示され,その考えに基づき本年2月に,「大学改革推進委員会」が発足し,その中の専門委員会として,同月「図書館増改築専門委員会」が設置された。
  同専門委員会は,2月から4月まで5回の会合を持ち,図書館の現状と課題を明らかにし,その増改築について検討を重ね,その結果をとりまとめ大学改革推進委員会に報告した。
  その後,同委員会,学部長会議,評議会,各部所教授会,附属図書館委員会等学内の諸会議における精力的な審議を経て最終的な報告書がまとめられ,これに基づき,当初予定どおり,図書館の増改築要求は小平老朽建物移転改築とセットになって本学の平成6年度概算要求の目玉として7月に文部省に提出された。
  今後文部省あるいは大蔵省でどのように査定されるか定かではないが,今年度の補正予算でもいくつかの大学で図書館の増改築が認められたとのことなので,早期に予算が認められることを期待したい。 いつ予算が認められても対応できる体制は整ったといえよう。

3 増改築計画案

(1) 増改築案となった理由

  現在地と全く異なった別の場所に新築することも考えられたが,歴史的に価値ある建物群との調和,キャンパス内の中心にある図書館の最適な位置,他の場所の確保の困難さ等種々の理由から,現在の建物の一部を活用しつつ増改築をすることとなった。

(2) 図書館機能の整備

  1. 高度情報化に対応できる図書館機能
  2. サービススペースの整備,サービス窓口の統合
  3. 研究図書館機能の整備充実
  4. 学習図書館機能の整備充実
  5. 保存図書館機能の整備充実

(3) 増改築案の骨子

  増改築案の全体計画は別図の通りであるが,それは,次の3期にわたる建築計画で具体化を図ることとなる。

  1. 第1期計画
      現在の新館(b)に隣接して西側空地に(a)を増築。 同時に新館も改修し,増築建物と結合する。 第2期計画完成時までの過渡的措置としては,学習図書館機能の充実及び当面の書庫狭隘状態の解消を図るが,第2期計画完成後は研究図書館機能の整備充実に重点をおいた建物として運用する。
  2. 第2期計画
      第1書庫収納図書を増築建物に仮収容し,現在の目録室,事務室,第1書庫を解体し,学習図書館機能に重点をおいた建物(c)を新築する。
  3. 第2書庫収納図書を新築建物に移動後第2書庫を解体し,保存図書館機能に重点をおいた書庫建物(d)を新築。 併せて第3書庫の改修も行う。

(4) 収蔵スペース

  収蔵スペースはおよそ15年後を見通しての規模とする。 平成5年4月1日現在の蔵書数は約132万冊であり,毎年3万6千冊増加すると仮定すれば15年後には約190万冊と予想されるのでその分の書庫スペースを確保する。

(5) 用途別面積配置案

  用途別面積の一案として次のように試算した。
[1] 共通部分(閲覧室) 538m2
[2] 共通利用部分(参考図書室,目録スペース,ロビー等) 1,005m2
[3] 学習図書館機能(開架書架,開架閲覧関,視聴覚室等) 2,825m2
[4] 研究図書館機能(閉架書庫,研究者閲覧室等) 4,605m2
[5] 保存図書館機能(集密書庫,視聴覚資料庫,貴重書書庫) 1,750m2
[6] 業務スペース(事務室等) 1,380m2
[7] その他 2,400m2
[総面積] 14,503m2

(6) その他

  小平地区から国立地区にキャンパスが移転して新校舎が建築されるに当たっては,図書館の基準面積の中から500m2程度の学習図書室を校舎内に設置することが決まっている。

(くろさわ せつお 情報管理課長)

(別図)




創立百年記念募金購入図書(第二部門)紹介

「深沢文庫」について

谷口 晋吉

  本文庫は,1986年8月に54歳の若さでこの世を去られた故深沢宏教授(本学経済学部)が,30年を超す研究生活の中で収集されたインド経済史を中心とするコレクションである。 本文庫を本学図書館に納めるにあたり仲立ちをしてくれたある書店主が,「このコレクションは,ご自分の研究の為に集められたものですね」,と感想を述べたのが記憶に残っている。 本文庫の内のあるものは深沢先生がご自分の専門の研究の為に,あるものはご自分の個人的な関心の故に,そして,あるものは国立での講義,ゼミナールを念頭に置いて収集されたものであろう。 いずれにしても,コレクションの為のコレクションではなく,全てご自分が目を通される事を前提にしたものであった。 それが,上の書店主の感想の出て来た所以であろう。
  この文庫の基本的な特徴は,勿論,ご自分の研究の為の集書である。 深沢先生が本学に在職中に本学中央図書館に入れた膨大な歴史的文献群(ペルシャ語,マラーティ語,サンスクリット語,英語)とこの文庫は補完的な関係に立っており,両者を合わせる事により,中世以降の西部インドの社会経済史的研究に必要な基本的刊行文献をほぼ網羅している。 この様な文献群として,文庫には,マラーティ語(約250冊),ペルシャ語(約250冊),その他に,サンスクリット語,ラージャスタニー語,ヒンディ語,ウルドゥ語などの現地語文献がある。 その中の白眉は,マラーティ語,ペルシャ語の歴史史料集であり,「シヴァージー時代の史料」(全11巻),「インド史のペルシャ語史料」(全5巻),「サタラの王および宰相の日録選」(9巻),「ペーシュワー時代の社会経済文書」(全1巻),「ペーシュワー文庫選」(全46巻),「インド史のペルシャ語史料」(全5巻)などである。 但し,容易に理解される事であるが,当時にあっても既に稀覯本に属したこれらの史料集の完全なセットを入手する事は不可能であって,本文庫にこれらの全巻が揃っている訳ではない。 しかし,先生は,必要な部分は,図書館はもとより,インドに於ける恩師達やこれらの編者から借覧し,筆写して,或いは,写真に撮り引き伸ばしてノートに貼り付け,利用された。 これらのノート類もご遺族のご厚意で文庫の一部として,刊行書とは別に,保管している。 これらは,戦後最も早い時期にインドに留学された先生が,現地で時間を掛け,苦心して集められたものであり,最早,今日では入手困難な文献ばかりである。 これらの文献を読破して,先生は,1960年代の前半期にたて続けに発表された論文の中で,前人未到の歴史の襞の中に入って行かれた。 しかも,その細部に徹底的に拘る行論が,優れた歴史的方向感覚と方法的な自覚に裏打ちされて,インド中世史の流れの中にしっかり位置付けられ,大きな歴史的意義を与えられて行くのであった。 先生の死後,オックスフオード大学出版会(インド支社)から先生のご論文7編を選んで上梓したが,それに対して,海外でも幾つかの書評が出ている。 インドの新進気鋭の研究者サミット・グーハは,丁寧に内容を紹介し,それが,従前の西部インド社会経済史の諸研究のなしえなかったインド農村社会の実態を明らかにしたものとして,高く評価している。 これに対して,ウィスコンシン大学のウィンクは,深沢は膨大な未公開の手筆本を使っていないと,当時の時代的背景(研究環境,研究史の両面)を無視した,歴史研究者とも思えないいささか無理な注文をし,また,公刊本の中でも重要なある史料集の存在に気付いていないと指摘したが,本文庫の中にはその指摘された史料集の教冊が含まれている。 少なくとも,この史料集を先生がご存知だったことは,確かである。
  さて,先生は,英国での長期在外研究を経て,1960年代後半から,次第に,関心を殖民地期インドに移され,イギリス東インド会社の行政文書,行政官の報告書などを利用されるようになられた。 この課程で,チャップリン,エルフィンストン,サイクスなどの初期イギリス殖民地行政官の残した調査報告書,ボンベイ地誌,デカン農民反乱に関する報告書類,コルハブル藩王国に関する各種年次報告書などを,原本,マイクロフィルム,筆写ノー卜の形で,ロンドン,プーナ,ボンベイ等の各地から収集された。 これらも,本文庫に収められている。
  話は変わるが,英国行政官の残した文書として英国下院議会文書(各種特別小委員会の報告書,委員会での参考人の証言,統計資料等を含む)が著名であるが,本学図書館には,これらの原本教百冊が保存されている。 これは,明治末年にインドで客死した本学出身の若き商社マン(松本浩一郎氏)を悼んで関係者,同窓生などが行なった募金によって購入されたものである。 先生も,この大部の報告書を閲覧されていたのを記憶している。 最近の技術進歩は目覚ましく,今まで,イギリスやインドに行かなくては利用できなかった貴重な史料群がぞくぞくマイクロフィルム,マイクロフィッシュ化し,商品化されている。 本学でも少なからずこれらの史料の購入が進み,例えば,1870年代以降のセンサスの全巻,Londonの India Office Library 所蔵のイギリス東インド会社行政文書の内, Home miscellaneous Series の全巻, Selections from the Government of India, 1849-1937 の全巻, Proceeings of the Legislative Council の内ベンガル州に関わる部分, Journals of Asiatic Society of Bengal の全巻等が利用できるようになった。 これらの中には,先生がインドやイギリスでご愛用のペンタックスで1コマ1コマ撮影されたものも含まれている。 先生が生きておられれば勇躍これらの史料群に取り組まれただろうとの感ひとしおである。 さて,ここで,当然,この様な,史料の人手条件の大幅な改善が先生の業績を昔のものにしてしまったのではないかという問いが発せられよう。 明らかに,答えは否である。 先生の英文著書の書評を書いて下さった日本のあるインド史専門家が最近の私信の中で,「深沢先生の地道な研究態度がますます輝きをおびてくるように思われます」と,述べられておられる。 私も,今日の,問題意識ばかりが先行している欧米におけるインド史研究を睨みながら,まさに同じ思いを持つ者である。
  この文章の初めに,深沢文庫には先生のご自分の個人的関心と,講義,ゼミナールを意識したものも含まれていると書いた。 最後に,それらについて,若干,述べておこう。 まず,異色のものとしてスカルノの非同盟中立外交が華やかなりし頃のインドネシアの建国の理想や様々な路線に関する同国内の諸政党のパンフレット類がかなり沢山収められている。 インドのマハトマ・ガンディに強い関心を抱かれたり,インドネシアのゴトンロヨンに共感を覚えられたりした先生の青年時代の模索をここに垣間みる思いがする。 また,木文庫には収めていないが,ご自宅の書庫には宇井伯寿を始めとするインド哲学の専門書が多数並んでいたことも,ここに記憶しておいて良いかもしれない。 講義,ゼミナールとの関連で見ると,本文庫には実に幅広く現代インドの政治・社会・経済に関する最新の研究書が収められている。 単に,ご専門の西部インドに限らずインド各地のこうした文献が集められている様は,歴史研究者深沢宏に安住せず,常に現在から学ぼうとされていた姿勢に繋がるものがある。 思い出されるのは,先生が会議や外出の折に携えられる書物が大抵現代インド政治経済に関するジャーナルであった事であり,また,先生の絶筆となった論文が現代インドの重要な課題である中央ー地方問題を扱った小冊子「インド共和国における国民的統合の政治経済 -- 中央政府と地方政府」(エグゼクティブ・アカデミー)であったことである。 本文庫はこうした面の探求にもよきガイドたりうるものである。
  深沢文庫を紹介すべき文章が,故深沢教授の思い出を綴る文章になってしまったが,1人の研究者の蔵書は,書物のコレクターのそれとは事なり,それを集めた研究者本人の学問や人となりと不可分のものであることを考えれば,読者のご容赦を願えるかも知れないとも思う。

(たにぐち しんきち 経済学部教授)



Holding と Abailability

書庫狭隘対策

-- その後 --

山田 幸彦

  全国的書誌ユーティリティ : NACSIS-CAT,およびNACSIS-IRの利用者増加(平成5年7月現在CATの参加は262機関)に伴い,各大学図書館では急激に利用者層の拡大を迎えることになった。 目録所在データベースの利用者は居ながらにして全国大学図書館等の所蔵資料についての所在情報が確認でき,資料入手の可能性が格段に高まったといえる。
  ある資料の所在については,当該大学の利用者よりも学外の利用者のほうが熟知しているという逆転現象も見られる。
  −方,資料提供(利用者側からみれば現物入手)の手段はどうであろうか。 **大学に所蔵までは容易に確認できても,実際に求める資料を手にするまでには幾つかのハードルを越えなければならない場合も少なくない。 学部の所蔵資料であったり,研究室に貸出中,製本中の場合など,現物または複写の入手まで相当の日数が掛かることもまれではない。
  近年,いくつかの大学で中央館に資料を集中するといった学内情報流通体制の改善を課題としているところがあると聞く。
  一橋は,伝統的に中央図書館制をしいてきた数少ない大学であり,全学の理解と合意のもとで,図書資料購入予算と資料を中央図書館に集中して,合理的な資料収集と運用体制を維持してきた。
  その結果,大学の規模にしてはユニークかつ良質なコレクションを収集することができたと思われる。
  他方,資料集中のあおりを受けているのが開架図書スペースと書庫である。 中央図書館で学部生向け開架図書の3万冊は貧弱と言わざるを得ない。
  また,書庫内では,正規書架から溢れた図書が通路の補助書架にひしめきながら迷路を形成して,配架ミスの原因ともなっている。
  HERMES(OPAC)で所蔵検索が迅速化しても,実際に資料が手元に届くまで待たされるようでは利用者には満足なサービスとは言えない。
  所蔵情報(Holding)と利用(Abailability)があいまって,初めて満足できるサービスと受け止められるわけであり,図書館職員としては,中央図書館制の利点を生かしながら,両者のギャップを最小限にすることを目指して,ソフト(制度・運用)とハード(建物等)両面の整備に努力を傾注して利用者にとっても,図書館職員にとっても使い勝手のよい図書館=学術情報利用環境を整えたいと考えている。

【平成5年度狭隘対策の概要】

  平成5年度は,前年度にひきつづき本館1階事務室の北側半分に集密書架を設置し,前年度設置分とあわせ8万4千冊の新規図書資料を収容可能な臨時書庫として利用が可能となる。 また,本年度は,マイクロフィルムの収容スペースも飽和状態にあることからマイクロ室の一部にも集密書架の設置もあわせて進めているところである。
  臨時書庫への図書資料配架については,収容力の確保の観点から,図書資料の主題別配架ではなく,図書ID(受入番号)順に詰めていくものであり,利用者にとっては甚だ探しにくいものとなっておりますが,平成6年度概算要求中の図書館建物増改築の実現まで,暫くご容赦戴きたい。
  同一主題の図書資料を複数利用したい場合には,正規書庫と臨時書庫の両方を探すことを強いるもので,資料管理担当として遺憾のきわみである。
  前号でもお知らせしてありますが,臨時書庫の図書資料を探す場合には,必ずHERMES(OPAC)で検索し,図書ID番号をメモしたうえで請求または入庫検索されることをお願いします。
  図書lDはHERMES(OPAC)図書検索結果の詳細画面左下の[所蔵事項]に表示の10桁の数字英字記号(例 : 129204126R)で,配置場所は国立本館(旧館)臨時書庫と表示される。
  雑誌検索結果では,所蔵状況表示の各巻ごとの行の右端に表示されます。 (例 : 129270337Y)
図書資料の配置場所検索方法に等について不明なことがありましたら,遠慮なくカウンターの係員にお尋ねください。

(やまだ ゆきひこ 閲覧係長)



目録データ入力状況報告

三枝 辰男

  附属図書館電算機の利用者用端末は本館4台,新館1台,小平分館2台の計7台が配置されています。 オンラインで検索するこの電算機システムは“HERMES”と呼称され,多くの利用者に親しまれる存在になってきています。 本館2階の日録室を御覧いただけば,いつ見ても端末の前は活況を呈しており,常時数人の利用者が空くの待っているのがお分りいただけましょう。 いまや学部学生用貸出図書の8割は入力済みのものであり,営々と入力してきた努力が実りつつあることを実感しています。 ただ,求める本に到達するには,“HERMES”の検索に習熟することや,未入力の図書の方が多いこともあり,カード目録検索の労を厭わないことが肝要でしょう。 本小誌の「OPACの使い方あれこれ」や「HERMESを検索してみよう」等のマニュアル類を参考にして有効に“HERMES”を活用していただくことを期待しております。
  図書整理業務が電算化され,雑誌を含む図書目録データの入力を本格的に開始したのは,1991年7月ですから,図書整理業務の電算化はまだまる2年を経たばかりです。 今年の8月末現在の附属図書館総入力件数は130,000件,内訳は和書63,500件,洋書50,500件,雑誌16,000件(いずれも概数,雑誌は1タイトルを1件としてカウント)であり,冊数にすると20万冊を超すことができました。 (全集もの,シリーズもの等でそれぞれに個有の標題を持たないものは複数冊でも1書誌1件として数える)
全蔵書データに対する入力比率は15%程度に過ぎませんが,電算化以前(平成2年度以前)に受入れた図書については,図書館委員会,百年記念募金委員会等の御理解を得て,財政的援助もいただき,平成4年度から当面4か年計画の下に毎年35,000冊程度を目標に遡及入力を実施しています。 その件数は8月末現在で72,000件に達し,これには3年度以前の入力済み図書も含まれていますが,ほぼ目標どおりに進行しているといえるでしょう。
  遡及入力の優先順位は, (1)貸出図書 (2)利用頻度の高い分類項目 に置き,学術情報センターに書誌,所蔵の登録を行うとともに“HERMES”にダウンロードしています。 既に他の大学等から同センターに書誌登録済みのデータについては,センターに所蔵登録し,その書誌データをそのまま“HERMES”にダウンロードするだけですから従来のカード目録作成に比して作業量,作業時間とも大幅に減らすことができます。 同センターに書誌登録されていないオリジナルデータは,本学作成の新規データが全国の大学の共有データとなるために,その作成に当たっては慎重を期さなければなりません。 そのほか,本学の特色あるコレクション類については,科学研究費の社会科学書誌情報データベース作成経費の補助を受けて遡及入力を行っています。 これには,メンガー文庫,大塚文庫,外池文庫,明治文庫等が含まれています。 とりわけメンガー文庫の目録作成作業は,同文庫のマイクロフィルム化作業が今年度から実施されたことに伴い注目を集めております。
  目録データ量の増大に伴いOPACの検索効率の悪化が懸念されており,CPUの容量不足が指摘されております。 情報環境の改善に向けなお一層の御理解と御支援を関係各位にお願いする次第です。

(さえぐさ たつお 図書館書門員)



平成5年度漢籍整理長期研修(前期日程)を終えて

坂口 芙美子

  7月5日から16日までの2週間,東京大学東洋文化研究所附属東洋学文献センター主催の標記研修を受講しました。 募集定員5名という難関でしたから,私自身は勿論のこと,落選間違いなしと思い込んでいた方は多かったようです。 それが,センター側のお情けで全員合格ということになり,通知があった時は,始まってからの苦労も知らず喜んだものです。 受講生は男性6名,女性8名の計14名で,大多数が若手の職員です。 私のような中高年も受け入れていただき,有難い気持で一杯ですが,この年で漢籍整理法を学んでも職場に帰って何ができるだろうかと自らに問い続けた2週間でもありました。 でも,そう深刻に考えたわけではなく,一昨年秋に受講した京都大学人文科学研究所附属東洋学文献センター主催の「漢籍担当職員講習会(初級)」でいただいてきた資料と今回の資料とを合わせると,東西の資料を揃えたことになり,和書係だけではなく,将来漢籍整理をしたいと思っている他の職員にとっても価値の高い財産になると思いますし,申し込む時には,講習会マニアという気がしなくもなく,心苦しかったのですが,今になって色々考えてみると,やはり体力は消耗するけれども受講できてよかったという思いのほうが強いです。
  本学図書館では,今のところ未整理の漢籍は無く,過去に受け入れた全ての資料はカード化されております。 中国書は和書目録とは別立で「漢籍目録」として独立し,清朝以前の漢籍と明国以後の近現代書約7万冊が共にファイルされております。 分類表は,川崎操・鬼頭仁三郎の両氏により昭和5年(1930)に作成されたもので,四部分類に「目録・字書・類書・叢書」と「近人雑書(民国以後)」を加えた六部分類になっております。
  漢籍のコレクションの目録としては,昭和26年(1961)に本学名誉教授・故三浦新七先生から寄贈された「三浦文庫(漢書)」約1万冊分と,昭和56年度に百年記念募金で購入した村松祐次先生旧蔵書「村松文庫(漢籍)」約3千冊分があります。 前者の分類表は「漢籍目録」と同様六部分類ですが,後者はそうではなく,漢籍と近現代書との区別なしに各主題に振り分けられております。 上記蔵書のいずれも,冊子体の漢籍分類目録は作成されておりません。 カード目録が整っていて,書庫内でもまとまって配架されているので利用上の不便はなく,労力をかけて分類目録を作成する必要がなかったのだと思います。 これからは,冊子目録よりむしろ漢籍のデータベース化を追求し,遡及人力の方向で考えたほうがよさそうです。 しかしこうなると,せっかく長期研修で修得した分類のテクニックもすぐには役立たないのではと思われそうですが,毎年1,500冊位新規に受け入れる現代中国書に含まれる漢籍の影印本の分類には応用できて便利です。 それと,特訓を受けた四角号碼検字法ですが,ヒット率5割前後という自己の低い記録でも,東文研漢籍分類目録の検索には結構威力を発揮しています。
  一昨年,京大人文研の初級講習会を受講するまで,中国目録学に関する知識は皆無でしたが,学生時代に学んだ東洋史の歴史的事件や人名を忘却の彼方から呼げ戻し総動員しながら聴いている内に,中国史と目録学があたかも一本の撚り糸のように互いに見えかくれする事実に気付きました。 それと,忘れていた恩師の名前を,配布された資料の中に発見した時の驚きが加わって,それまで無関係と思っていた目録学が急に身近なものに感じられ,親しみが湧いてきました。 でも,講習会が終わってしまうと日常牲に埋没してしまい,その後の1年半というもの余り勉強もしてきませんでしたが,今年度から和書係が中国書の整理をすることになり,気合いを入れて取り組まなければならなくなりました。
  今回の長期研修では,漢籍を含めた広い意味での中国書整理法を学びたいという願いがありました。 主として目先の必要に迫られてのことですが,そんな意図を見抜かれてしまったのか,ある先生が,「中国が好きでなければ漢籍の整理はできるものではない。 何か一つでいいから好きになるとよろしい。 」とおっしゃいました。 私も昔は中国が大好きだったのに,ある時期からそうでもなくなり,人類考古学に関する雑誌と図書以外は読みませんでした。 今更無理かもしれないけれども,この研修をきっかけに,中国とのつき合いをもう一度やり直してみようかと思ったりしております。
  厳しく且つ楽しい講義のお陰と,盛大な壮行会で送り出されたプレッシャーとで居眠りもせず,ひたすら講義に集中しノートをとりました。 途中,懇親会が一段と,前期日程終了日に打ち上げ(学士会館ビアガーデンにて)がありましたが,センターの先生方や,お世話してくださる事務の方たちとも打ち解けた話ができ,また,受講生の面々からは実務上有益な経験が聞け,大いに盛り上がりました。 期間中は,講義を聴くだけでなく,他館の中国・ハングル図書の整理の実状を聞いて回り,マニュアルをコピーさせてもらったりし,講義にも優る副産物が得られました。 長期研修だからこその得難い収穫だったと思います。
  漢籍というと,特別視され敬遠されがちですが,決して閉じた過去の世界のものではなく,その延長線上に現代中国書があるということが前期日程を終了した今理解できた気がします。 学術変遷史としての目録学に,どういう未来があるのかよくわかりませんが,中国の歴史と共に歩んでいくことは間違いないでしょう。 日頃整理したり目にしたりしている1冊の中国書から中国文化に興味を抱き,多くの方達が気軽に講習会を受講されんことを願うものです。
 

(さかぐち ふみこ 和書係)



〈HERMES〉の使い方あれこれ

小幡 英樹

  現在〈HERMES〉検索の操作についての説明は,マニュアル「HERMESを検索してみよう」や英文ガイド,端末付近の掲示,係員による説明,そしてガイダンス時期に「〈HERMES〉検索講習会」を行っていますが,今回はその中で実際にあった質問と解答例,及び検索の注意点等を書いてみたいと思います。

〈検索編その1〉(フィールド説明) -- 出版地から資料を探す --

  図書館にある資料のうち香港から出て(出版されて)いる雑誌をすべて検索したい」という質問がありました。 〈HERMES〉検索ならカードの目録に比べて簡単に調べることができます。

解答例: [キーワード検索]の出版杜(者)フイールドの所に次のように検索語を入力します。
 出版社: 香港 (→ 20件)
HON KONG (→ 16件)
ほんこん,ホンコン (→ 0件)

(このフィールドは,資料に表記されたそのままの形で(ヨミは付けられていません)検索するようにななっているので「香港」「HONG KONG」とそれぞれ別に検索してください。)
  このように【キーワード検索】では,一つの資料に対して作成されるさまざまなデータから検索することができます。 普段単独で検索することが少ないフィールドであっても,他のフィールドと組み合わせることによって検索結果を絞り込むことができます。 (各フィールド間は,積集合 = AND検索になっています)。 この他に,【キーワード検索】のフィールドに関係する質問には
  1. 書名・誌名
      「この本(原著)の,(翻)訳本を調べたい」という質問がありましたが,このフィールドに原書名を入力すれば検索できます。 このように標題からだけでなく,書名に係わる項目すべてから検索できるようになっています。 (詳しくは,キーワードってなんだ,「鐘」,No.25 1992.9 p.9参照)

  2. 件名
      「件名標目表どおりに入力したのに余計なものまで検索してくる。」ということがありました。 これは設定が,思いつく単語を入力しそれを件名のフィールドから漏れなく検索してくる(各単語を前方一致させ,和集合=OR検索させる)ようになっているからです。 ですから書名等で検索した文献と同じ分野の資料を探そうという場合等には次の標準分類からの検索を試みて下さい。

  3. 標準分類
      ピリオドやコロンはスペースに置き換えて分類記号を入力してください。 (本学独自の分類は,逐次刊行物の場合のみ有効です。)

〈検索編その2〉(検索後入力) -- 『経済研究』がでてこない --

  〈HERMES〉検索で,書名・誌名から検索を行う場合,ヨミガナによるキーワード検索が資料を検索もれなく調べられる方法になっています。
  しかし,〈HERMES〉にはコンピューター(キーワード)検索に慣れていない方のために,ちょうどカード目録と同じようにある順序に並べられた標目の中から求めるものを探しだすという検索法があります。 通常はどちらの方法からでも検索できますが,中には次のようなことがありました。
  例: 一橋大学経済研究所発行の『経済研究』を,〈HERMES〉を使って検索しようとして,

2. 逐次刊行物(雑誌・年鑑・白書等)を検索する。

2. 書名・誌名で一覧する。

[書名・誌名] 経済研究

と画面に従って入力し,検索結果を見てみると同じ書名の全く違う資料しか検索できない。 もちろん所蔵されていて,データも〈HERMES〉の中に入っているにもかかわらずです。
  実は,この二つの検索方法にはそれぞれ「検索されるデータの範囲」や「検索語の入力の仕方」に特徴(約束ごと)があります。
[書名・誌名で一覧する]
  この検索方法を選ぶと,〈HERMES〉では目録データのうち標題および責任表示とシリーズ名に関するデータの表記形(ヨミでは検索出来ません)を検索(一覧)するようになっています。
  『経済研究』の場合だと実は,
經濟研究 / 一橋大學經濟研究所
  とデータが作成されていますので,検索語もこの目録どおりの表記形(旧漢字)のまま入力しなければ検索できません。 旧漢字をデータにもつものは他に“經濟”だけでも雑誌で158件あります。
  その他この検索法では,
  1. 書名は冒頭の部分から(冠詞が冒頭にある場合は冠詞から)入力する。
  2. 入力する文字は最大40文字までにする。
    American manufacturing in a global market というタイトルでしたら下線の部分より多く検索語をいれると所蔵していても一覧表示されません。

[キーワード検索での書名・誌名]
  この検索方法を選ぶと,〈HERMES〉では書名に係わる項目すべての検索語を表記形とそのヨミを単語に分けて検索できるようになっています。
  『経済研究』の場合だと,
  經濟,研究,一橋,大學,經濟,研究所,ケイザイ,ケンキュウ,ヒトツバシ,ダイガク,ケイザイ,ケンキュウジョ,
以上の単語からの検索が可能になっています。
  従って,書名・誌名から検索を行う場合は,表記形や,どの書名が標題になっているかを気にせず検索できるヨミガナによるキーワード検索をお勧めします。
: ┌───────────────────
   │ 雑誌情報        キーワード検索画面  
   │ ------------------------------------
   │ 書 名・誌  名:ケイザイ  ケンキュウ
   │ 著者名・団体名:                    

〈結果表示編〉 -- 資料を手にするまでの時間を節約する --

  【配架場所】【請求記号】【貸出状況】【予約状況】【製本状況】【未整理雑誌】【図書ID】どれもカウンターでよく受ける質問です。 極力詳しく利用法を説明していますが,カウンターが混雑している時には対応しきれない場合があり,利用者の方には,ご迷惑をかけています。
  〈HERMES〉ではこの点を補い節約するために目録情報以外の情報を詳細に表示するようになっています。 各情報は〈HERMES〉の最後の画面(詳細表示画面と受入状況画面)に表示されます。
  注:画面1番下のメッセージに「詳細データの表示:[No]「番号(No.)を入力して下さい」とでていたら番号を選んで Return キーを押す。 「詳細データの表示:[PF2]「受入状況:[PF2]」と出ていたらテンキーの上段にある[PF2]キーを押すようにして下さい。 各画面の例と図書借用証の記入例を次に示しておきます。(英文ガイドより)

(おばた ひでき)

books

  図書情報                      キーワード検索画面
  該当件数:     7 件                                          Page.    1 /    1
 -------------------------------------------------------------------------------- 
 Economics / Paul A. Samuelson, William D. Nordhaus
 版 表 示 = 13th ed
 出版事項 = New York : McGraw-Hill , c1989
 形  態 = xl, 1013 p. : ill. ; 24 cm
 注  記 = Includes bibliographical references and index
 著    者 = *Samuelson, Paul Anthony, 1915- <DA0056633X>
            Nordhaus, William D., 1941- <DA00586337>
 件  名 = LCSH:Economics//K
 分類番号 = LCC:HB171.5
            DC19:330
            NDC8:331
 [ 所蔵事項 ]
 128008224R  国立 (新館3階)一般図書  *Bb**462** 

   book ID         location           call number

国立本館(旧館)...: Located on the closed stacks
利用証1
国立本館(新館)...: Located in the "New Building"
国立本館 参考室...: Located in the referemce room. (Ask the staff there.)
古典センター...: Located in the Center for Historical Social Science Literature. (Ask the staff there.)
小平分館...: Located in the branch library in Kodaira campus. (You have to go there to borrow them.)


periodicals, newspapers

  雑誌情報                      キーワード検索画面
    該当件数:    14 件                                      Page.    1 /    1
 -------------------------------------------------------------------------------- 
 Journal of international economics
 巻・年次 = Vol.1(Feb. 1971)-
 出版事項 = Amsterdam : North-Holland
 注  記 = Quarterly
 ISSN = 00221996
 B I D = AA0024302X       call number
 [ 所蔵事項 ] P11404              │
 国立本館   **ZBM*48* ←─────┘   continuin
    ↑  ┌→1-33 1971-1992    継続 ←───┘
    │  │  新着状況  国立 <1992/ 2>32巻1号32巻2号〜<1993/ 5>34巻3号34巻4号
     │  │
     │  └─voliume number
  location

国立本館: current issues: Located in the "New Building"
back issues (binded): Located in the closed stacks and in the "New Building"
国立本館 請求記号なし 雑誌室: Located in the Forign Periodicals Center. (Ask the staff there.)
小平分館: Located in the branch library.

Press PF2, enter number at the top of the location displayed, and press RETURN.

┌────────────────────────────────────────┐
│ No  所  蔵  状  況                                         種  別  受入日      │
│  1. 1989  27-1 〜 1989  27-4   ┌──────────┐  ┌製本    129270339-  │
│  2. 1989  27-1 〜 1989  27-4   │Binded (located on  │  │製本    129270339-  │
│  3. 1990  28-1 〜 1990  28-4   │the closed stacks)  ├→│製本    129270340S  │
│  4. 1990  29-1 〜 1990  29-4   └──────────┘  │製本    129270341T  │
│  5. 1991  30-1 〜 1991  30-4   ┌──────────┐  └製本    129270336X  │
│  6. 1991  31-1 〜 1991  31-4   │(Out for loan)      ├─→貸出中  129270337Y  │
│  7. 1992/ 2  32-1・2           └──────────┘  ┌製本中  92. 7.14    │
│  8. 1992/ 5  32-3・4           ┌──────────┐  │製本中  92. 7.30    │
│  9. 1992/ 8  33-1・2           │(Out for binding)   ├→│製本中  92. 9.14    │
│ 10. 1992/11  33-3・4           └──────────┘  └製本中  92.12. 9    │
│ 11. 1993/ 2  34-1・2           ┌──────────┐            93. 2.16    │
│ 12. 1993/ 5  34-3・4           │No marks: not binded├────→  93. 5.20    │
│     year, volume, number       │          current   │                        │
└────────────────┤(located in the     ├────────────┘
                                  │ "New Building"(1F) │
                                  └──────────┘

利用証2




平成5年度蔵書点検について

 

[国立本館]

  国有財産でありかつ貴重な文化財である蔵書を安全に管理し,良好な利用環境を維持するためには定期的な蔵書点検が必須です。 今年度は,閉架書庫の洋図書(主題: 総記,歴史,自然科学を除く)約30万冊を対象に9月1日〜14日10日間実施され,数年間所在が碓認できなかった所在不明図書の所在が判明するなど,その効果が現われました。 100万冊を超えた書庫の中では,ちょっとした勘違い等による配架のミスで図書が見つからない事態が生ずることがあります。 今後も,所在不明図書を最小限にするために点検を実施していきます。
  期間中は,窓口業務を休止し,利用者のみなさんにはご迷惑をお掛けしましたが,蔵書点検作業にご理解とご協力を頂き,有難うございました。



「カール・メンガー文庫マイクロフィルム化・目録改訂・保存事業」の開始にあたって

社会科学古典資料センター   岩本 吉弘

  社会科学古典資料センターでは,「カール・メンガー文庫マイクロフイルム化・目録改訂・保存事業」をスタートさせ,7月23日,阿部学長,宮川センター長らの出席のもと,その記者発表を行った。
  この事業は,(1)利用の促進と保存の両立を図るためのマイクロフィルムヘの転換,(2)現行目録の精査改訂,学術情報センターへの所蔵登録,改訂版目録の出版,(3)原資料の全冊を対象とした長期保存処置,という三つの大きな柱からなる利用と保存の総合対策である。
  計画策定に至った経緯や計画の内容の仔細を紹介する紙数はないので,ここでは上記の3点に即してこの事業の基本的な意義を指摘しておこう。

(1) マイクロ化による利用の簡便化,学術研究の新たな発展への寄与

  経済学関係古典の大文庫としては,すでにロンドン大学のゴールドスミス文庫とハーバード大学のクレス文庫のマイクロフィルム版が出版されている。 この両文庫は英仏書が主体のコレクションだが,メンガー文庫にはそれらに含まれない稀覯書があるのはもちろん,とくにドイツ語文献の豊富さは比類がなく,またメンガー自身の学問的関心に対応した経済学周辺の諸学への広がりがある。 ゴールドスミス=クレス文庫に加えてメンガー文庫のマイクロフィルム版が作成されることは,今後の学術研究にとって非常に貴重なトゥールが提供されることを意味する。

(2) 目録の全面改訂,データ・べース化によるアクセスの方法の刷新

  メンガー文庫の現目録は1920年代購入時のもので,著者同定をはじめ書誌事項の記述に多くの誤りや不揃いがある。 しかも,合冊本の一部がそもそも目録に記載されていない例がかなりの数見つけられる。 今回,全冊について点検し直し記述の補足,修正をして学情センターに登録するが,いわば今回の改訂作業によって輸入後70年にしてはじめてこの大文庫の正確な全貌が明らかになるのである。 またドイツ語の古文献のデータ・ベース化は全国的にも遅れており,その面での貢献も大きいであろう。

(3) 保存と利用促進の両立を図る先駆的事例として

  周知のように今世界の図書館界では,古版本に対する理解の深まり,酸性紙問題の深刻化などを背景に,資料の保存と利用の両立という問題に関心が高まっている。 今回の事業では,西洋の歴史的製本技術の専門家をスタッフに加えて,マイクロフィルム撮影作業による損傷・劣化を抑止する対策と長期的保存対策の観点とを結合させたシステムとして作業全体を構成した。 日本で過去行われた大規模なマイクロ化プロジェクトと異なり,今回は非常に複雑な構造の西洋古版本が中心の初めての事例となる。 これが今後のよき先例となるように願っている。

(いわもと よしひろ 社会科学古典資料センター)


土曜開館のお知らせ

  平成5年後期授業期より以下の要領で土曜開館を実施します。

開館場所: 国立・新館(1〜3階)
開館時間: 9:30〜13:30(休業期は閉館)
サービス内容: 新館開架図書・参考図書・新聞雑誌等の閲覧,当日貸出,返却。
実施期間: 平成5年10月から

  土曜日は休日のためコンピューターが停止しています。 貸出,予約,利用証の発行,OPACによる検索等は,従来通り月曜日〜金曜日にお願いします。
  又,旧館は全面閉館です。 閉架図書,製本洋雑誌,旧館配置の製本和雑誌,マイクロフィルム,マイクロフィッシュ等は月曜日〜金曜日に御利用下きい。
  平成6年度以降は,以上の利用状況を考慮のうえ,開館条件を検討します。

情報サービス課 閲覧係


一橋大学EC資料センターからのお知らせ

  EC資料センターは,研究機関における欧州研究の発展を促進し,センターが所在する地域社会に専門的な情報を提供するという目的で,1969年以降,日本各地に設立されてきました。 本学は,全国で20番目,三多摩地区では中央大学に続く二つ目のEC資料センター設置機関です。
  一橋大学のEC資料センターは,原則として,1991年以降のECの出版物のうち,官報,広報のような一般的,基本的な雑誌のほか,主として,法律,経済,社会,教育,環境,対外関係に関する資料を備えています。 雑誌,図書のほか欧州議会議事録やCOMdocuments(法案,政策基本方針等を記載したEC委員会作成の文書)のような,いくつかの基本的資料は,マイクロフィッシュの形式で受け入れています。 なお,駐日EC委員会広報部が発行している一部の資料(「月刊EC」「月刊EC公式資料」等についついては,無料配布も行っています。
  EC資料センターは,図書館新館の1階にあり,開架式で,すべての人々に公開されています。 学外利用希望者も,新館1階受付で,利用者リストに記入するだけで自由に閲覧できます。 開館時間は,月曜日〜金曜日の午前9時30分から午後5時まで(ただし,第4水曜日は午前中のみ)。 資料の館外貸出は行っていませんが,館内には閲覧コーナーを設け,またコピーを希望する方には当日貸出をしています。
  開設したばかりで,まだセンターというよりもコーナーというべき規模ですが,皆さんのご利用をお待ちしています。



英国図書館への文献複写サービス

  附属図書館での文献複写サービスは,国立本館2階文献複写カウンターで,本学附属図書館所蔵資料の複写サービスと日本国内にある他大学所蔵資料の複写依頼サービスを行っていましたが,今年度から海外への文献複写依頼サービスとして英国図書館文献供給センター (BLDSC = British Library Document Supply Centre) への複写依頼サービスを以下のとおり開始しました。

☆ サービス利用者:
商学部,経済学部,法学部,社会学部所属の一橋大学教官。 (公費扱いのみの利用とします。)
☆ 利用料金:
英国図書館BLDSCクーポンによる複写依頼サービスです。 (1枚1,470円)
御利用になった場合,各自の教官研究費から振り替えをさせていただきます。
☆ 利用対象資料:
日本国内に所蔵されていない学術資料を英国図書館に複写依頼します。 BLDSCは20万タイトルを優に超える定期刊行物を所蔵しています。 またBLDSCが所蔵していない資料も他のバックアップ図書館を検索してくれますので,充足率は90%を超えると言われています。
(なお単行資料等のうち,著作権が保護されている資料は複写できない場合がありますので御了解ください。また全冊コピーはできません。)
御利用に際しては国立本館文献複写カウンターにお申し込みください。

〈クーポン必要枚数〉
ページ数 クーポン必要枚数
ゼロックスコピー マイクロフォームからの引伸し
1〜1011
11〜2022
21〜3033
31〜4044
10ページ増すごと11
Report類のマイクロフィッシュ形態での全冊コピーは,更にクーポンを1枚追加する。



社会科学古典資料センターから

  第13回西洋社会科学古典資料講習会が次の日程で開催されます。

第1日 10月25日(月)
「社会科学古典の探索」   津田 内匠 (一橋大学名誉教授)
「分析書誌学の手引き」   川原 和子 (元名古屋大学附属図書館)
「ロシアの書籍印刷 --その始まりから18世紀初頭まで--」   岩田 行雄 (ナウカ株式会社)
第2日 10月26日(火)
「ヨーロッパの主要図書館と古典籍の相伝」   城戸 毅 (東京大学文学部教授)
「英米の書誌学の実際」   高野 彰 (東京大学文学部図書主任)
「16世紀の欧文活字 --プランタンの活字を中心として--」   中井 えり子 (名古屋大学法学部図書掛長)
第3日 10月27日(水)
「本の歴史的形態と資料保存」   岡本 幸治 (製本家)
「書庫内の環境と古典籍,古文書の保存」   見城 敏子 (東京国立文化財研究所名誉研究員)
第4日 10月28日(木)
「ベンサムとオーウェン」   永井 義雄 (一橋大学社会科学古典資料センター教授)
「利用者,図書館員から見た古典資料の保存」   武者小路 信和 (大東文化大学文学部助教授)


本学教官著訳寄贈書一覧 (平成4年度)

[国立本館]
岩佐 茂,島崎 隆: ヘーゲル用語事典 (編)
岩佐 茂,島崎 隆: 認識・知識・意識
加藤 二郎: 特性のない男 I (ムジール著作集第1巻) (訳)
室田 武,他: 経済学の神話 (編訳)
永井 義雄: 経済学史概説 (編著)
中村 政則: THE JAPANESE MONARCHY
高山 憲之: リーディングス日本の社会保障 3 年金 (執筆)
三浦新七博士記念会: 東西文明史 第1巻
水岡 不二雄: 経済地理学
加藤 二郎: 特性のない男 II (ムジール著作集第2巻) (訳)
菅野 則子: 村と改革
山田 欣吾: 西洋中世国制史の研究 I 教会から国家へ
山田 欣吾: 西洋中世国制史の研究 II 国家そして社会
藤巻 明: イコロジー (共訳)
伊丹 敬之: 逆転のダイナミズム
伊丹 敬之: なぜ世界を制覇できたのか (編著)
伊丹 敬之: 円が揺れる企業は動く
伊丹 敬之: なぜ世界に立ち遅れたのか (編著)
伊丹 敬之: 世界の王座をいつまで守れるか (編著)
油井 大三郎: 民衆のアメリカ史 上,中,下 (訳)
山内 進: 略奪の法観念史
高橋 滋: 現代型訴訟と行政裁量 (学位論文)
廣本 敏郎: 米国管理会計論発達史 (学位論文)
神武 庸四郎: 銀行と帝国 --イギリス「銀行統合運動」史の研究-- (学位論文)
[小平分館]
富山 太佳夫: 理論への抵抗 (共訳)
富山 太佳夫: 隠喩としての病い・エイズとその隠喩 --新版-- (訳)
横田 雅弘: 外国人留学生とのコミュニケーション・ハンドブック
内海 和雄: 子どもと教師を励ます評価
内海 和雄: 戦後スポーツ体制の確立
加藤 二郎: 特性のない男 I (ムジール著作集第1巻) (訳)
加藤 二郎: 特性のない男 II (ムジール著作集第2巻) (訳)
高津 勝: 明日にむかう体育 (共編著)
山田 欣吾: 国家そして社会 --地域史の視点--




◆会議

〈学内〉

附属図書館委員会 平成4年度第3回〜平成5年度第2回 (5.2〜5.7)
平成4年度専門図書費の追加配分について
平成4年度専門図書費決算について
平成5年度専門図書費の当初配分について
平成6年度新規購入雑誌の選定について
その他
小平分館図書委員会 平成5年度第1回〜第2回 (5.5〜5.6)
平成4年度専門図書費決算について
平成6年度新規購入及び購入中止希望外国雑誌の選定依頼について
その他
社会科学系外国雑誌センター運営委員会 平成5年度第1回 (5.7)
平成4年度決算報告について
平成6年度概算要求について
その他
一橋大学社会科学古典資料センター運営委員会 第43回〜第44回 (5.1〜5.4)
メンガー文庫のマイクロフィルム化について
平成4年度事業報告について,平成4年度決算報告について
その他
一橋大学創立百年記念募金図書購入委員会 平成4年度第3回〜平成5年度第1回 (5.2〜5.4)
電算機維持経費の支出について
メンガー文庫の整理(マイクロ化)について
遡及入力実施状況報告について
その他

〈学外〉

六大協
(4.12〜5.6) 於:一橋大学,筑波大学,東京工業大学
第5回日米大学図書館会議組織委員会・幹事会
(5.3.18) 於:東京大学
平成5年度国立大学図書館協議会東京地区協議会総会
(5.4.23)
東京芸術大学
国立大学図書館協議会理事会
(5.5) 於:東京大学
平成5年度国立大学附属図書館事務部課長会議
(5.6.8) 於:東京医科歯科大学
第40会国立大学図書館協議会総会
(5.6.23〜6.24) 於:徳島県郷土文化会館 (徳島市)
外国雑誌センター館会議
(5.6.28) 於:文部省
東京西地区大学図書館相互協力連絡会
平成4年度第2回〜平成5年度第1回加盟館会議 (4.12〜5.7) 於:武蔵野女子大学,東京都立大学
平成4年度第2回〜平成5年度第1回実務担当者会議 (4.11〜5.6) 於:成蹊大学,東京女子大学


◆各種委員異動

附属図書館委員会
平成5年度4月1日付 杉山武彦(商),佐藤宏(経済),石井修(法)田中克彦(社会)
平成5年8月1日付 榎本武文(経済)
一橋大学創立百年記念募金図書購入委員会
平成4年9月14日付 寺西重郎(研究所)
平成5年4月1日付 杉山武彦(商),佐藤宏(経済),石井修(法),田中克彦(社会)8月1日付 榎本武文(経済)9月14日付 清川雪彦(研究所)
社会科学系外国雑誌センター運営委員会
平成4年12月1日付 竹内啓一(社会)
平成5年2月1日付 村田和彦(商)
平成5年4月1日付 西沢保(研究所),杉山武彦(商)
一橋大学社会科学古典資料センター人事委員会
平成4年12月1日付 竹内啓一(社会)
平成5年2月1日付 片岡寛(商),村田和彦(商)
平成5年4月1日付 石弘光(経済学部長),矢澤修次郎(社会学部長)西沢保(研究所)
小平分館図書委員会
平成5年8月1日付 榎本武文(経済),久保哲司(法),関春南(経済),大芝亮(法),尾方一郎(社会)


◆人事異動

(新) 平成4年10月1日付 情報サービス課閲覧係 小幡 英樹 採用
5年2月5日付 情報管理課受入・書誌係 沢部 真美 採用
4月1日付 情報管理課長 黒澤 節男 配置換 (東京工業大学附属図書館情報管理課長)
4月7日付 情報サービス課閲覧係 屋敷 二郎 採用
4月8日付 情報サービス課閲覧係 西尾 光則 採用
(旧) 平成4年10月1日付 情報サービス課雑誌第二係 鎌田 陽子 昇任 (国立婦人教育会館情報交流専門職員)
5年2月4日付 情報管理課受入・書誌係 伊藤 真知子 辞職
3月16日付 情報サービス課閲覧係 竹内 秀樹 辞職
3月19日付 情報サービス課閲覧係 渡邊 理子 辞職
4月1日付 情報管理課長 大浪 由紀夫 配置換 (放送大学学園教務部図書課長)




平成5年度 図書館暦及び業務予定表

◎は休館,小平分館については土曜日休館

国立本館 新館・旧館・大閲覧室

新館(試験期を除く毎月第4水曜日 13:00閉館)

小平分館

(試験期を除く毎月第2,第4水曜日 13:00閉館)
平成
5年
4
◎ 5日(月)  入学式
  7日(水)  時間外開館開始
◎ 5日(月)  入学式
 12日(月)  時間外開館開始
5    18日(火)  体育大会(水上の部) 17:00閉館
6   12,13日(土,日)  小平祭
  (11(金),14日(月)は,準備・後片付の為17:00閉館)
7  12日(月)  夏季休業長期貸出開始(旧館4冊,新館5冊)
 30日(金)  時間外開館終了
 中旬  夏季休業長期貸出開始(5冊迄)
 30日(金)  時間外開館終了
8 ◎11日(水)〜13日(金)  新館・旧館図書整備作業の為休館  
9 ◎ 1日(水)〜14日(火)  蔵書点検(新館,旧館休館)
◎24日(金)  創立記念日
 27日(月)  時間外開館開始
◎ 1日(水)〜14日(火)  蔵書点検
24日(金)  創立記念日
 27日(月)  時間外開館開始
10 10月2日(土)以降の毎土曜日(授業期間中)については,
新館は開館します。
 
11  上旬(3日間)  一橋祭及びその前後日 17:00閉館  上旬(3日間)  一橋祭及びその前後日 17:00閉館
 中旬 体育大会(陸上の部) 17:00閉館
12  上旬  冬季休業長期貸出開始(旧館4冊,新館5冊)
 24日(金)  時間外開館終了
12月27日(月)〜1月4日(火)  年末年始
 上旬  冬季休業長期貸出開始(5冊迄)
 24日(金)  時間外開館終了
12月27日(月)〜1月4日(火)  年末年始
平成
6年
1
 10日(月)  時間外開館開始
 14日(金)  17:00閉館(大学入試準備のため)
15,16日(土,日)  大学入試センター試験
 10日(月)  時間外開館開始
 14日(金)  17:00閉館(大学入試準備のため)
15,16日(土,日)  大学入試センター試験
2  中旬  春季休業長期貸出開始(旧館4冊,新館5冊)

下旬  入学試験(本学第2次前期日程)
 初旬  春季休暇長期貸出開始(5冊迄)
 下旬  学年末試験終了日 時間外開館終了
下旬  入学試験(本学第2次前期日程)
3 中旬  入学試験(本学第2次後期日程)
 18日(金)  時間外開館終了
◎28日(月)  卒業式
中旬  入学試験(本学第2次後期日程)

◎28日(月)  卒業式




一橋大学図書館報 “鐘” No.26
1993年10月30日 発行
発 行 人
今坂潤一
編集委員
黒澤節男・袴田次雄・大橋渉・岩本吉弘・蝦名真理子・別府節子・川森静子・石村恵子・薄田恭子・青木小夜子・中本裕子・大場高志・本間紀美子
発 行 所
一橋大学附属図書館