鐘 No.9 (1982.1)





附属図書館長に就任して

大川 政三

  前館長木村増三教授のあとを引受けて欲しいという選考委員会の意向が伝えられたのは,約一ケ月の海外出張を終え自宅に着いた直後のことであった。 学生時代からなじみの多い図書館ではあったけれども,その管理法については全くの素人であり,かつ,図書館サーヴィスを提供する側に立って考えたことが皆無の身で,よくその任務を全うできるかどうか,大いに戸惑った。 9月10日付で館長就任以来,館員諸氏の協力により,徐々に取ってつけた感じが薄れつつあるけれども,まだまだ,ぎごちなさから脱し得ない状況である。
  このような個人的事情を聞いてもらう時間的余裕もなく,すでに他大学図書館長との会議に二席ほど出席した。 また,本学の社会科学古典資料センター主催の講習会が,重要な対外的活動として早くから組込まれていた。 館長としてあるいは,センター長としてこれらの大学外活動に参加する機会を逸早くもったことは,本学図書館の世界的な社会価値を再認識すこるとともに,これからの目標を見定めるのに役立った。
  以上のように,目下,館長職を勉強中で,大きな抱負や,責任ある構想を述べ得る身ではないが折角与えられたこの機会に,短い経験に基づいていくつかのことを述べてみたい。

(1) 図書館は満杯に近い

  利用者として書庫にひんぱんに出入りしていた当時から,書物の配置状況を見て,書庫の不足が推測されていたが,その傾向はいっそう強まりつつある。 新館や,古典資料センターの新築によって一息ついたとしても,最近の図書購入,寄贈図書受入,創立百年募金による大規模コレクションの購入等々の新規書庫需要を考えると,早急な対策が必要のように思える。 大学予算査定者が,第一段階的には,全国立大学図書館を無差別に取扱おうとするのを一概に非難はできない。 しかし,本学の図書館が世界的価値をもつものであり,それにふさわい政府予算上の取扱いを受けるに値することは,あながち身びいき的事実ではない。 ただし,その取扱いを受けるためには,本学の図書館が真に世界的価値のものであることを,学内外への公開,利用者の便宜促進を通じて実証しなければならないのではないかと思う。

(2) 学習用図書館としての整備

  このことについては,すでに本誌上で他の執筆者によっても指摘されていたが,私自身も,館長就任依然からそのことを考えていた。 外国大学において充実した図書館サービスを実見するにつけ,その感をいっそう深くしていた。 本学図書館においても,開架式コーナーの拡張とか,開館時間の延長とか貸出制の拡大等々,館員諸氏の犠牲的努力によって,私の学生時代に比べればいちじるしい改善が行なわれてきている。 しかし,利用文献の探索とか,読書指導とか,学習参考書の充実,読書環境の改善等々の点で,まだなすべきことは多い。 学生諸君にとって,もっと親しみがあり,利用しやすく,充実感の味わえるような図書感にしたいと思う。 とは言え,これらのサービス改善に財源上の裏づけがなければ,画にかいた餅である。 外国大学における羨ましいばかりの図書館サービスの裏には,特別な利用者負担があることも,一考に値しよう。

(3) カレントな政府関係資料センターの設置

  私の見た外国の一流大学の環境に比較して,わが国の大学がいちじるしく劣るのは,さきの学習図書館の他に,学生寮,学生食堂,外国研究者・学生用の宿泊施設などがある。 もう一つ,研究者の立場からみて遜色のあるのは政府関係資料センター的なものの充実度である。 現時点的研究のみならず,歴史的研究にとっても,内外の政府関係資料が極めて有用であることは,云うまでもない。 しかも,低廉に入手し得る。 しかし,反面において,膨大な政府関係資料を迅速,効果的に研究者の用に供するには,相当量の労力と施設が必要である。 図書館本来の機能からはみ出ることかも知れない。 それゆえに,別組織としてのセンター施設的なものが適当であろう。 本学の研究水準を引上げるのに,この種のセンター的なものが不可欠である。 神田・一橋の故地に,このセンターを設置すベきであるというのが,私のかねての主張であるが,一片の夢物語であろうか。

  以上,本紙への執筆機会を利用して私の思っていることを率直に述べさせて頂いた。 すべて私の個人的見解であることを,お断わりしておく。

(経済学部教授)



リソルジメント・コレクションについて

竹内 啓一

  イタリア語というときわめて特殊な言語であるという感じをもたれる方が多いかも知れないが,実は,一橋大学附属図書館にはかなりのイタリア語の文献があるし,その蔵書数からいえば,全国でも屈指のイタリア図書をもつ図書館ということができよう。 3年ほど前に,イタリア近・現代史研究会という若い世代を中心にする研究者グループが,全国主要大学の蔵書を調べあげて,イタリア近・現代史に関するイタリア語図書の目録を,所蔵図書館名をも付して作成した。 イタリア文化会館から発行されたこのリストをみても,イタリア語図書のコレクションに関して,一橋大学が重要な地位を占めていることがわかる。 近・現代史に限られず,イタリア中世史,法学,商学に関しても,一橋大学附属図書館のイタリア語文献は実に豊富である。 メンガー文庫,フランクリン文庫などのコレクションの一部として入ったものもかなりあるが,これらイタリア語文献の大部分は,かつて在職されたあるいは現在在職しておられる先生方が長い時間をかけて集められたものであり,この意味で,一橋大学は広い意味でのイタリア研究に長い伝統をもつということができよう。
  今回,一橋大学百周年記念募金の一部で,附属図書館が購入したリソルジメント関係文献コレクション約3,000冊によって,一橋大学のイタリア語文献はさらに豊富なものになった。 このコレクションの主要部分は,北イタリアの実業家ジャンニ・カプローニ(1886-1957)が,生涯をかけて集めた蔵書の一部である。 カプローニの蔵書は,19世紀イタリア史およびイタリア文学に関するもので,その数は10万冊を超えていた。 彼自身は工学出身で,航空機製造会社の所有者であって,歴史や文学の専門研究者ではなかったが,豊かな財産と深い教養に裏付けられて,その蒐集はひじょうに系統的なものであった。 彼の蔵書は,死後も家族によってずっと保管されていたが,1972年,競売に出され,その蔵書の大部分はボローニヤの有名な古書店フォルニを通じてリヒテンシュタインのタラウス社によって入札された。 この間の詳しい事情はよくわからないが,1972年頃は,イタリアの資産家が,こぞって資産を国外に持ち出していた時期であり,コレクションは,タラウス社の手に帰したのにも,このような事情があずかっていたのではないかと想像される。 一般にこの頃から,イタリア国内の古書市場においてよりも国外の市場において重要なイタリア語文献が多く出まわるようになったのは事実である。 さらにその後のイタリア経済情勢の悪化,イタリア政府による厳重な為替管理のために,イタリア側は国外に流失したこのような貴重な文献をなかなか買い戻すことができないのが現状である。 今回購入されたコレクションは,クラウス社がイタリア史の専門家 O. ノイマイヤー氏の助言を得て,さらにいくつかの文献をカプローニ蔵書に付け加えたものである。 今回のリソルジメント・コレクションにふくまれているその他のコレクションとしては,イタリアの国家参議会が1944年に放出した蔵書およべファシズム時代の政治家チェザーレ・マリア・デ・ヴェッキ・ディ・ヴァル・チスモン(1884-1959)の蔵書に由来するコレクション946点が含まれている。 ファシスト時代のピエモンテの政治家であり,上院議員,文部大臣などを歴任し,最後には,ファシスト党内部で反ムッソリーニ運動の指導者になったデ・ヴェッキ・デイ・ヴァル・チスモンは,同時にリソルジメント関係資料の蒐集家およびリソルジメント史の研究者としても知られていた。 現在でも存在している国家参議員の立派な蔵書印のある図書が,どうして古書市場に出まわるようになったのかはわからないが,これだけまとまったのであるからまさか誰かがくすねてきたものでもないであろう。
  イタリア統一にいたる運動としてのリソルジメントをどのように理解するかということは,統一国家成立の直後からのリソルジメント研究のなかで絶えず議論されてきたことであるが,第二次大戦前のクローチェやオモデーオなどによる研究の段階で,それは広く19世紀ヨーロッパの由由主義運動の一環として位置づけられるようになった。 リソルジメントの起源に関しては,18世紀の啓蒙主義的改革政策にそれをみる立場,1896一99のジャコピーノ革命期をそれとする立場,あるいはナポレオン体制崩壊後の1815年とする立場などいろいろあるが,リソルジメントの過程そのものがサルデーニャ王国,オーストリア・ハンガリー帝国治下のロンバツディア・ヴェネト,中部イタリアの諸公国,教皇領,両シチリア王国などでそれぞれかなり異なっていたことを考慮に入れなければならない。 今回購入されたコレクションにおけるリソルジメント研究文献は,大部分が第二次大戦までの時期に発表されたものであり,第二次大戦後強調されるようになったグラムシ的観点からの研究文献はない。 しかし,オモデーオに代表される自由主義的観点の形成と展開を学説史的に跡づけるための文献は網羅されている。
  しかし,このコレクションの大きな特色は,リソルジメント期に各地で活躍した思想家,政治家の著作が多く含まれていることであり,そのかなりの部分が初版本である。 自由主義穏健派に属する人達としては,カブールをはじめ,ダゼーリオ,バルボ,ジョベルテイ,ペリコ,バロファロニエリ,ファリーニなどのものが多くある。 マッツィーニの著作および彼に関する文献も多くあるが,さらにパンディエラ兄弟,ベルターニ,ボヴィオ,カッタネオなどいわゆる民主主義派の著作や研究書もかなりある。 これらの文献を使って,将来,日本人研究者によるオリジナルなリソルジメント研究がなされることが期待される。 現在,本学のスタッフおよび院生のなかにはリソルジメントを専門に研究している人はいないが,専門との関連で,リソルジメント関係の文献をつっつく人が何人かいるので,これからも文献が少しづつ補われていくであろうし,またそれをしなければならない。 将来,どんな優れたリソルジメント研究者が一橋大学からでるかはわかったものでない。 現在の日本の学界を見渡すと,近年,イタリア近・現代史を専攻する優れた若い研究者が輩出してきている。 附属図書館は,外部の研究者に対しても門戸を開いているので,このコレクションはこれらの人達によっても有効に利用されることになるであろう。
  リソルジメント関係の文献に関して,一橋大学図書館にひとつの核ができた段階である。 これから文献を補充して,より完全なコレクションにしなければならないのであるが,そのための労力と時間と根気のことを考えて,新しいコレクションが入ったよろこびとともに,いささかゆううつにもなっているのである。

(社会学部教授)



国立大学図書館間共通閲覧証について

  教職員や大学院生が,他の国立大学図書館に出向いてその所蔵資料を直接利用する場合,これまではその都度利用したい図書館ごとに依頼状を発行していました。 今後は,「国立大学図書館間共通閲覧証」を発行しますので相手館ごとの依頼状は不必要となります。
  ただし,希望資料の所蔵の有無や,この閲覧証で利用できる図書館,特に部局図書館・室の確認等,利用にあたっ留意していただくことがあります。 下記の要領で,この国立大学図書館相互利用制度を活用して下さい。
  なお,この制度は「国立大学図書館間相互利用実施要項及び細則」によって実施されます。

I. 閲覧証の発行

  1. 昭和57年1月15日(金)以降
  2. 図書館旧館カウンターで申込書に記入
  3. 有効期間は当該年度内

II. 利用準備

  1. 利用できる図書館の所在,開館時間,休館日,注意事項についてのマニュアルが旧館カウンター及び新館カウンターにありますので,参照して下さい。
  2. 特に希望の資料を閲覧したいときには,前以ってその資料名を相手図書館へ連絡しますので,旧館カウンターで「資料利用依頼書」に記入して下さい。 直接相手館へ連絡することもできます。

III. 利用

  1. 相手図書館入館の際には,この利用証とともに身分証明書を持参して下さい。 また記帳も求められます。
  2. 閲覧利用は,相手図書館の規則に従って下さい。

(閲覧係)


新規購入外国雑誌

  昭和57年度から新規に購入する外国雑誌が下記の通り決まりましたのでお知らせします。 なお例年に比べて購入点数がやや多くなっていますが,これは次の2つの理由によります。 (1)図書館資料購入費の中で外国雑誌購入費の占める割合が近年やや減少する傾向があったため,それを調整したこと。 (2)法学部ならびに小平分館で購入する雑誌について,単行本購入費の枠を一部流用することとしたため。

(雑誌係)

国立本館購入分

  1. American ethnologist. Washington, D.C.
  2. Anthropological linguistics. Bloomington.
  3. Antitrust bulletin. New York.
  4. Bijdragen tot de taal-, land- en volkenkunde. The Hague.
  5. British journal for the philosophy of science. Aberdeen.
  6. Current law (Section D: Statutes) London.
  7. Daedalus. Boston.
  8. Family law. Chrichester.
  9. Geschichte und Wissenschaft und Unterricht. Stuttgart.
  10. Geschichte und Gesellschaft. Gottingen.
  11. Harvard civil rights-civil liberties law review. Cambridge, Mass.
  12. Index to social sciences & humanities proceedings. Philadelphia.
  13. Indonesia. Ithaca.
  14. International journal of American linguistics. Chicago.
  15. Jahrbucher fur Geschichte Osteuropas. Wiesbaden.
  16. Journal of business finance & accounting. Oxford.
  17. Journal of ethnic studies. Bellingham.
  18. Journal of financial economics. Lausanne.
  19. Journal of politics. Gainesville.
  20. Journal of the Royal Statistical Society. Series C: Applied statistics. London.
  21. Maritime policy and management. London.
  22. McGill law journal. Montreal.
  23. Neuee Zeitschrift fur Strafrecht. Munchen.
  24. Ostkirchliche Studien. Wurzburg.
  25. Philosophical studies. Dordrecht.
  26. Public international law. New York.
  27. Repertoire bibliographique de la philosophie. Louvain.
  28. Resources policy. Guildford.
  29. Schweizerisches Jahrbuch furr internationales Recht. Zurich.
  30. Statute law review. London.
  31. U.S.Code Congressional and administrative news. Saint Paul.
  32. Wertpapier-Mitteilungen. Teil IV: Wirtschafts-, Wertpapier- und Bank-recht. Frunkfurt a.M.
  33. Zeitschrift fur historische Forschung. Berlin.

小平分館購入分

  1. American journal of mathematics. Baltimore.
  2. L'Arc. Provence.
  3. Archiv der Mathematik. Basel.
  4. Achives de philosophie. Paris.
  5. Biblical archeologist. Cambridge, Mass.
  6. Blake. Albuquerque.
  7. Canadian-American Slavic studies. Tempe.
  8. Cancer biochemistry-biophysics. London.
  9. Comptes rendus des seances de l'Academie des sciences. Scrie I: Mathematiques. Montreuil Cedex.
  10. Gazette des beaux-arts. Lausanne.
  11. International journal of chemical kinetics. New York.
  12. Journal of cell science. Cambridge.
  13. Journal of mathematical biology. New York.
  14. Journal of physical chemistry. Washington, D.C.
  15. Journal of sport and social issues. New York.
  16. Milton quarterly. Athens, Ohaio.
  17. Proceedings of the London Mathematical Society. London.
  18. Russian mathematical surveys. London. (English Translation of "Uspekhi mathematicheskhi Nauk")
  19. Text und Kritik. Munchen.




「ヨーロッパ図書館事情視察旅行」の記

川津朋子

  1981年12月23日から,1982年1月3日までの12日間,日本図書館協会協賛の標記の旅行に参加した。 旅行者の企画では,コペンハーゲンの児童図書館視察,ロンドンの専門図書館視察,フランクフルトの図書館事情視察,アムステルダムの図書館事情視察となっており,目的も,身障者に対する図書館サービスの問題,図書館のコンピュータ化の点,図書館界と出版界との連携の問題,最近の児童図書館の問題等を研修するはずであった。
  しかし,クリスマス休暇,日曜,年末などの理由で旧館していた図書館もあり,見学時間が2時間くらいと短いため,十分な理解が得られなかった。 さらに,パリで盗難にパスポートと共に,大事なメモ帳もなくなってしまったため,正確なレポートを書くのはむずかしい。 また参加者の大半が公共図書館の館員だったため,質問等も公共図書館に関することが多かった。
  さて,いいわけはさておいて,この観光の方にウェイトがあったと思われる旅行のうち,見学した図書館について述べてみる。
  訪問国は,デンマーク,イギリス,西ドイツ,オランダ,フランスの5ヶ国であった。 事前に各国の図書館事情を調べることを心かけていたのだが,適当な本も見つからず,まず図書館員として失格であった。 旅行の内,研修と呼べるものを挙げると,コペンハーゲンの王立図書館の閲覧係員の話をきいたこと,フランクフルトの Deutsche Bibliothek 見学,アムステルダムの Openbare Bibliotheken Amsterdam の見学,コペンハーゲンの児童図書館見学である。
  最後の児童図書館は,コペンハーゲン滞在の折,クリスマス休館であったので,帰国途中の飛行機の乗り継ぎ時間を使って,タクシーの往復で見学ということになった。 私は,パスポートがなく,空港から出ないことにしたので見学できなかった。 あとは,コぺンハーゲンで休館中の公共図書館と王立図書館を,パリでは,Bibliotheque nationale を外からながめたという次第。 (見学した図書館の参考資料あり)
  次に,私の感想よりも,訪問した図書館側の説明をもとに,ドイツとオランダの図書館について述べる。 (同じく参加した,松下彰良氏のテープによる)

(1) Deutsche Bibliothek

  この図書館は,国立図書館であるが,規模は小さい。 大戦前からのものは東ドイツのライプツィヒにあり,ここは1947年の設立であるからである。 また国立図書館でもなく,文化系の大きな図書館は,ベルリンのプロシャ図書館とミュンヘンのバイエルン図書館がある。 ドイツには4つの中央図書館があり,医学はケルン,テクニックはハノーバー,農業はボン,経済はキールにある。
  この図書館の課題は,ユネスコの課題である自国で出版される図書の網羅的収集即ち,ドイツで出される文献・書誌の収集であり,さらにドイツの書誌法で定められた,ドイツ語の話される国で出されたドイツ語の文献を集めることである。
  それらの総文献量は,毎年約29万冊と予想されるが,そのうち約18万冊の図書と,雑誌約4万冊を収集している。 楽譜,レコード,カセットも集め,これらの音楽関係はベルリンの図書館で収集されている。
  年間約4万ページの書誌を出版している。 出版6週間前に約2万冊の速報を出す。 これは選択されたものである。 次に週刊書誌がだされ,これは,Aが商業出版物,Bが研究所・大学出版物,Cが地図,Mが音楽,Tがレコード,カセット,Hが博士論文,と分かれている。 ドイツを国立図書館へ納本する。 この週間書誌が根本書誌となり,半年ごと,5年ごとに累積される。 特別書誌としては,4年ごとに雑誌,2年ごとに官庁出版物が出され,毎年ドイツ東南アジア書誌も出る。
  この他に磁気テープになった書誌や,1967年以後の出版物についてはデータバンクもあり,70ヶ所12ヶ国の役所,研究所に対してオンラインサービスをしている。 書誌のインフォーメーションセンターである。
  職員は400人,内30人は音楽図書館員である。 パートの席が36あり,これは主に実習生のためで,のべ100人実習する。 年間予算は2200万マルク,内1600万マルクは人件費だが,納本制度なので,図書購入費は外国出版物の購入にあてられる。
  ドイツには,連邦立がここと,国会図書館の2つあり,他に州立,市町村立,企業の図書館がある。 これらは州の法律で定められた,give and take の相互貸借のネットワークに入っており,大学図書館も,1960年以後学部別,研究所別のものから組織が統一されたものになりつつある。

(2) Opengare Bibliotheken Amsterdam

建物   この図書館は,アムステルダムの central library であり,30の branch library がある。 アムステルダムの人口は75万であり,あと5〜8のbranch library が予定されている。 さらに,身障者,老人,学校に対するサービスを目的とした6の sub central library がある。
  1980年のアムステルダム全部の(以下同じ)蔵書は,154万冊,貸出は635万冊,利用者は16.6万人である。 形式的には私立図書館であり,少額の登録料をとるが,財政の90%は市の援助,5%は国の援助である。 オランダの公共図書館には,カソリック,プロテスタント,無宗教のものがあるが,ここはカソリックと無宗教のあわさったものである。 年間予算は2100万ギルダーで,図書購入費は225万ギルダーで,オランダの出版物の99%は買うことができる。 専任職員は300人,パートは700人である。
  オランダには10の大学図書館があり,13の regional library があるが,ここは北オランダ州の regional library でもあるから,アムステルダム市民と州全体のためのものでもある。 regional library の目的は,大学知識層のレベルであり,図書の他に,フィルム,スライド,レコード等も備えてある。
  オランダ全体でネットワーク化され,コンピュータで shared cataloging を行っており,本部はハーグにある。 30の branch library のカタログはここで作成している。 カタログは統一的なものであるが,貸出しシステムはそれぞれの館で異っている。
  建物は7階あり,地下が書庫,6階が管理室,各階は,UDCの主題で分かれている。 1階が総記と全カタログ,2階がfictionと児童室,3階が人文,4階が自然,5階が音楽である。
  モットーは本があることはもちろんであるが,その本を自動的に分類するだけでなく,深くドキュメントすることである。 そのために,パンフレット,新聞記事の切抜きなどもファイルし,各階にインフォメーションデスク,カタログ,ドキュメント部門がある。
  アムステルダムは国際都市であり,人口の40%は外国人であるから,図書の30〜40%は外国書である。 外国書のドキュメントはむづかしいので,職員の資格は少くとも英独仏語が理解できることである。
  館長の説明のとおり,ドキュメンテーションの豊富さと図書以外の資料の多いことに驚かされた。




ハイエク博士来館

人物像   昨年11月17日,著名な経済学者フリードリッヒ A. フォン・ハイエク博士(写真中央)が訪日の途次来館され,社会科学古典資料センター書庫で約2時間にわたってメンガー文庫の図書を熱心に閲覧された。 博士は1964年にも来館されている。博士はウィーンに生れロンドン,シカゴ,フライブルク,ザルツブルクの各大学教授を歴任,50年にわたる学術活動のなかで貨幣と経済変動の先駆的業績と経済・社会制度相互関係分析の研究における成果に対し,1974年にはノーベル経済学賞を受賞されている。 センター訪問の後,館長等と昼食を共にしながら歓談された。
サイン



ニューヨーク・タイムズ紙(航空便)の御寄贈について

  現在図書館では如水会ニューヨーク支部よりニューヨーク・タイムズ紙を航空便により御寄贈いただいております。
  同紙の備え付け場所は,新聞本体は図書館新館1階の新聞閲覧コーナーに,また日曜版付録のニューヨーク・タイムス・マガジンとブック・レビューは同じく旧館2階の休憩室に展示し,それぞれ教官・学生ならびに如水会員各位の自由な閲覧に供しております。
  図書館では以前は同紙を船便で購入していたため,到着までに1ヶ月以上を要していたのですが,昨年4月1日発行のものから海外新聞普及株式会社 (Oversea Courier Service Co., Ltd) 経由で御寄贈いただくこととなり,発行日のほぼ3日後には図書館に到着しております。
  なお図書館には上記の外,同紙のマイクロ・フィルム版が1967年以降1980年まで備えられております。 また「日々記録される世界の歴史を凝縮し,分類した唯一のサービス…」と称するインデックスが1913年以降最新版まで揃っており,それ以前の1851年から1912年までの分も近々購入する予定となっております。
  以上,新旧あわせて同紙を有効に利用されることを期待しております。



〈会議〉

図書委員会 昭和56年10月21日。
昭和57年度新規購入希望雑誌の選定について。
社会科学古典資料センター運営委員会 10月29日。
古典資料センターの利用方法について。
昭和56年度三大学図書館協議会
11月13日。於大阪市立大学。
(協議題) 学術情報システムについて。
(承合事項) 交換図書・受領書の取り扱いについて。その他。




一橋大学附属図書館報 “鐘” No.9
1982年1月30日 発行
編集委員
杉山裕(長)・大橋渉・佐々木正・松尾剛・諸沢菊雄
発 行 所
一橋大学図書館