鐘 No.4 (1980.5)





図書館の機械化

田辺 広

  先ずここで言う機械化とは電算機を利用する機械化のことで, その他の機械を使うことと区別をしておく必要がある。
  図書館が電算機を使用することはわが国でもすでに10年以上も前から行なわれており, 欧米諸国ではそれが日常業務に深く浸透している。 国立大学の図書館で専用の電算機を持っているところは最初にこれを導入した大阪大学附属図書館以下14館におよび, 私立大学においても数館が所有している。 なお学内の電算機を使用して何らかの図書館業務を行っているころはすでに30を下らないであろう。
  さてこのような機械化が図書館のどのような業務に適用されているか, そしてどのような利点と問題点をもっているかを本学の現状を踏えて述べて見たい。 図書館の業務は大別すると受入, 目録, 閲覧からなり, それに参考業務が加わると言うのが一般のパターンである。 これらの仕事の中で機械化し易いものは受入と閲覧貸出であり, 電算機を利用している図書館の殆どがこの業務を機械化している。 受入とは発注, 検収, 支払, 登録, 予算管理等の一連の業務で副産物として受入速報の作成も可能である。 しかし資料の種類によって難易があり, 図書よりは雑誌が, 和書より洋書が機械にのり易い。 それは雑誌はタイトル数が図書1点1点に較べればはるかに少なく書誌的記入も簡単で済むからであり, 和洋については, 和書は漢字を処理するのが困難であったからである。 様々の帳票, 明細書の作成等は一度データを入れてしまえば並べかえ, 繰返しは機械の得意とするところで, バッチ処理が可能なので多くの図書館で最初に手がける仕事である。
  次の閲覧貸出業務はオンライン処理をしなければならないが, 書誌的なデータを必ずしも必要としないので, 記憶容量が小さくて済み, ミニコンで充分処埋できることから, 各図書館で広く行なわれている。 所蔵資料(主として学生用開架図書)に一連書号(一般の図書館では登録番号)をふり, 個々の資料は番号によって識別される。 一方利用者側も学生証番号等で機械に記憶され, 従来カードとかスリップを手作業で操作して行って来た貸出手続, すなわち帯出, 返納, 予約, 督促等を電算機によって処理するもので, 小人数で速やかに仕事が流れカウンターに行列が出来るようなことは無くなるが, 利用者が増え機械化されない部分, たとえば図書の棚への返却が大変だとの報告もある。 これらの業務の電算機への入力は, データコレクター方式と称する銀行のキャッシュカードのようなIDカードと図書についているブックカードを機械に入れる方法, キーイン方式と言う利用者の番号と図書カードの番号とをタイプ入力する方法, バーコード方式と言うスーパーマーケットの商品に付いている縞模様の小片を利用者証と図書にはりつけ, その上をライトペンで走査して入力する方法, また一番新しい方法としてOCR方式がある。 これはBフォントと言う決められた活字の数字をそのままハンドスキャナーで光学的に読取るものでバーコードにくらべて見て分かる数字なので便利であり, バーコードを作成する機械もいらない。 出力は殆んどがCRT端末すなわちテレビのブラウン管に英数字カナ文字等で現われる方式である。 勿論ハードコピーで必要事項を出力することも可能で利用者の住所氏名を入力しておけば自動的に督促状を作成することもできる。 電算化業務のすべてに言えることだが, 処理した業務について様々の統計をとることができるのが大きなメリットである。
  最後に残った目録業務機械化については, わが国では大変遅れている部門で, 欧米諸国とこの点で趣を異にしている。 目録の機械化の困難な理由には大きく分けて二つあり, 一つは東アジア特有の現象である漢字処理の問題である。 もう一つは目録情報入力はデータ量が多く, 内容も複雑でデータの長さも様々である。 ことに単行書の場合は著しい。 また分類のように機械的に付けられず, 付けてもバラツキが多く機械化の効果が少ないデータもある。 このように入力に多大の労カと工夫がいるのに対し出力を考えると書庫に眠ったまヽ10年に1度, 100年に1度利用されるかどうか分からないものもあり, とても個々の図書館では対応できないからである。 そのため欧米諸国では国立の中央図書館がこの困難な入力を担当し, アメリカでは議会図書館(Ljbrary of Congress)が10年以上も前から自国の出版物を入力し始め今は殆んどのヨーロッパ言語(キリル文字を除く)の図書資料を入力し機機可読の形でこれを頒布している。 これが LC MARC と言われるもので100万タイトル以上の蓄積がある。 LC MARC に続いてイギリスでは UK MARC, ドイツでは Deutsche MARC, フランスでは Inter MARC 等々続々と各国MARCが出現し, 現在350万件位が機械処理によって引出し可能となっている。 わが国では国立図会図書館が永年の研究と実験の後 Japan MARC を開発し昭和53年より和書の新刊書の入力を始め, 近くMTも頒布されると聞いている。 これは勿論漢字情報として入力されるもので, その意味では先駆的なものである。 上記のような世界情勢の中で, 今や, 漢字処理のできる端末機器を備えることも夢でなくなった現在, 目録業務の機械化は一挙にその遅れを取戻すことができそうである。
  本年l月に学術審議会より答申された「今後における学術情報システムの在り方について」に詳しく述べられている学術情報データベースの中で最も図書館に密着しているものが書誌情報データベースMARCであり, それをどのように上手に使って行くかが今後の目録業務機械化のポイントである。 本館ではLC MARCから打出した印刷力一ド, Japan MARC から打出した国会図印刷カードを使用して, 機械化の恩恵に一部あずかり, 新刊書については滞貨を山を崩すことに大きな役割を果しているが, 大量の目録カードの配列と索引は全く手作業である。 昭和53年〜54年度の科研費による研究「大学図書館における情報処理トータルシステムの開発」(鐘第1号参照)に本館も参加し端末機によるMARCの利用実験を試みたがまだ様々の解決されるべき問題を含んでいる。 中間的には, 機械打出しによる冊子体目録, COM(Computer Output Microfilm)によるマイクロフィッシュ等のフィルム体の目録があり, 最終的にはCRT端末によるオンライン目録となりカード目録は廃止されることになろう。 科学技術分野では実用の段階に入っており, 幾つかの大学図書館では利用者サービスを行っている二次情報データベースを利用することとMARC利用も変りはないが, 本学のように社会科学を主とした人文社会系の図書を主力とし, 過去に膨大な蓄積をもつ研究図書館の場合そう簡単ではない。 先ず先に述べた LC MARC にしても1969年以前出版のもの, その後のものも英語以外のも のの入力は少なく日本語にいたっては近々2年分のものしか入力されていないのだから大部分の本館所蔵分は新たに入力しなければならない。 すでにそれを独自で開始したところもあるが将来の全国的なネットを考えると自館だけに通用するものでは困るわけで世界的な視野に立った標準的な記述と入力フォーマットで行うことを考慮する必要があろう。
  本学としては出来るだけ早い機会に本館新館と小平分館に閲覧貸出用の端末を備え, 新設の情報処理センターと結び図書館機械化の第一歩を踏出したいと思っている。

(図書館事務部長)

参考文献: 大学図書館の機械化 国立大学図書館協議会機械化調査研究班編 紀伊國屋書店 1979




図書館機械化委員会発足

  図書館機械化委員会(委員長 田辺事務部長)が2月20日発足した。 当面の課題は, 一橋大学情報処理センターに設置される電算機を利用して図書館業務の改善を図るものである。 これよりさき, 情報処理センター設立準備委員会には将来, 予測される利用部局の一つとして, 図書館から木村図書館長が出席していたが, 今度センターに FACOM M-180II AD システムが導入されことになり, その端末機が図書館に配置できることになったので, 実現への一歩を踏み出した。 書誌情報の流通ネットワークについては国レベルでその方策が検討されているがこれは将来の問題であって, 当面はハウスキーピングの面で, 他大学に比較しても相当複雑な部類に属する本学の開架室図書利用手続きの改善を図ることとなった。 当日実行委員会が発足し, 本館増築に伴い移動の予定されている開架室図書(No.3概報)について学生に対する貸出処理を来年4月を目標に機械化することとし, 業務の分析, 作業量の測定, プログラムの問題などの検討を始めている。

(岡崎)



合衆国東部の漢和図書館

中川 学

  いま, ケンブリッジ大学から刊行されはじめている叢書 Cambridge History of China の明朝史の巻を校閲するために, 同校のトゥイチェット教授(Denis C. Twitchett)は, まる1年間プリンストン大学へ出張した。 というのも, 明朝の正史類をはじめ各種の明版本が, プリンストンのゲスト東洋学図書館(The Gest Oriental Library)におさめられているからだ。 唐朝史の権威トゥイチェット教授がプリンストンへ移動してきたのは, 自分の研究のためというよりは, むしろ, 叢書の責任編集者として, 叢書の明朝史関係論文の史料根拠をたしかめるためなのであった。 それほどプリンストンの明朝本コレクションはすぐれている。 1978年という時点では, 北京へ行くよりも, プリンストンの方が, 明朝史のメッカであった。 そのコレクションの全貌については, 胡適によるくわしい解説があり, The Princeton University Library Chronicle, Vol. XV, Spring, 1954 を参照されるとよいのであるが, クウェイカー教徒の技術者ゲスト(G.M.Gest, 1864-1948)駐北京合衆国大使館付武官ギリス(I.V. Gillis, 〜1948)の協力をえて1920年代から4分の1世紀にわたって収集した各種の宋版本と明版本が, 完全空調の新装書庫に蔵せられているありさまは, 観光名所にされかねないほどの壮観である。 このコレクションにもとづいて, 杜と湖とゴルフコースのなかのプリンストンが, 物理学のみならず中国史学の, とりわけ宋朝史と明朝史のすくなくとも欧米における研究中心になっていることは, 知る人ぞ知るところなのである。 ちなみに, アインシュタインの研究室がいまの東洋学研究主任室になっている。 ここの漢方医学コレクションが手つかずの状態にあることを, 宋朝史のリーダー, 劉子健教授(James T.C. Liu)は残念がっておられた。
  ひるがえって, 清朝史といえば, ハーバード大学である。 東アジア研究センター(J.K. Fairbank Center for East Asian Research)と燕京図書館(Harvard-Yenching Library)をはじめ十数か所の図書館と史資料室に関係史料が専門別にわけておさめられユニオン・カタログで統合されている。 その概要は, Harvard University Council on East Asian Studies のまとめた美しいガイド・ブック East Asia in Harvard Libraries を見ていただきたい。 まことに飽きることのない漢和図書館がエンチン・ライブラリーなのであって, のらくろの漫画からマル秘公安資料まで, 日本関係文献ははもとより, おびただしい分量の朝鮮史コレクションをもち, 中国の地方志の完璧に近い蔵書と清朝ならびに明国期の原典史料がひしめいている。
  この土台のうえに築きあげられる東洋学の現状については, 故村松祐次教授の 『海外における最近の中国研究の状況』(アジア経済研究所 1963) をうけて, 拙稿 『哈仏大学燕京学社の春秋』(『東方学』58輯, 1979) に粗描しておいた。
  中国現代史と日本の地方史研究を重視するミシガン大学の漢和図書館は, 独特のフイロソフィーをもっている。 お目にかかった直後に急逝されたビーズレー教授(Richard Beardsley)と日本学司書長の福田直美女子からきいたところでは, 日本の郷土史料をかたっぱしから集めている。 そうしておいて, 大学院修士課程の日本史料では, 関係地方の県史・村史類の読破を必須条件とし, 2年間の日本留学にそなえさせる。 おなじく, 中国史については, 主任のフォイエルワーカー教授(A. Feuerwerker)によると, 稀覯書を追いかけるのではなく, マイクロであれゼロックスであれ中国史研究の基本史料は洩れなくそろえ, アンナーバーのキャンパスに居ながらにして基礎を確立させ, そのうえで原典確認の行脚に旅だたせる。 そもそも初版本などの原典類を, あらゆる分野にわたって一大学ですべてそろえるのは不可能なのだから, ミシガンとしては初版本あさりはしない。 そのかわり, 現代中国の研究という任務分担にかんがみて紅衛兵新聞などの収集には集中的に投資するのだそうだ。 フォイエルワーカー教授いわく 「ちょうど近経の限界効用理論の原典調べとなればヒトツバシヘ行かなくてはならないようなものですよ」 と。
  同様に, コロンビア大学の収書方針もおもしろい。 漢和図書館の司書長, 甲斐美和女子の説明を聞いたうえで, 中国史家垂涎のまとである族譜コレクションをかいま見たときには, このまま根を生やしてしまいたい衝動にかられた。 ちようど, ハーバードの稀覯書専門の Houghton Library で広東宣教師文書を見せられた時と似たような感慨である。 いわばプロ精神の権化としての収書成果である。 コロンビアの日本学は, 文学もさることながらユダヤ関係史料の充実も今後の「開発」を待っている, と見た。 ニューヨークという地の利を活かした集めかたなのである。
  こうして, 各地の各大学が, それぞれの地の利と伝統をふまえて, 自然に分業体系をかたちづくりながら, 特定の分野に集中したコレクションをつくりあげている。 滞米15ヵ月という制約を考えて, 活動範囲をミシシッピ河以東に限定し, ハーバードに腰をすえて観察した一応の結論は, 合衆国東部(中西部を若干混えて)の漢和図書館は, どこでも, 集書=研究=教育に一貫性があり, それぞれの特色を発揮できるように予算運営と組織配慮をつらぬこうとしているように見えた。 国会図書館(Library of Congress)が, それらを補完しつつ個別能力をこえた大規模収書を分担し, ゆきとどいた館間貸出しとコンピュー夕ーにもとずくレファレンス・サービスの推進役になっている。 ハーバードのワイドナー中央図書館の参考係に, 「華僑」とたずねれば, コンピューターで文献リストが打ち出され, 全米から1週間以内で実物をとりよせて貸出してくれるのであった。

(経済学部教授)



〈資料室めぐり〉

一橋大学経済研究所附属日本経済統計文献センター

  当文献センターは, 経済研究所資料室の北側に位置する, 独立した白い3階建の建物です。

〈日本経済統計文献センターの概要〉

  当センターは, 日本学術会議が昭和36年の総会以来, 人文・社会科学と自然科学との間の調和のとれた発展を図るよう勧告してきた, その成果として設立されました。 その勧告の具体案の一つは, それぞれの学術分野における専門資料を, その部門の適当な研究機関に完全に収集し, これを研究者の共同利用に供するという, ドキュメンテーション専門センターの構想でした。 また, 文部省も昭和38年度予算「人文・社会科学専門文献センター」の構想の具体化を計画しました。 他方, 経済研究所は, 日本経済の実証分析をその研究目的の一つにかかげ, 日本経済の長期経済統計の推計を行なってきました。 その過程において資料の収集にも努力を重ねてきました。 また周知のように一橋大学附属図書館では大学の状況を反映して, 当センターは, 全国の研究者の共同利用のための施設として昭和39年4月経済研究所に附置されました。

〈センターの事業〉

  当センターの事業は大きく二つに分けることができます。 一つは, ドキュメンテーションであり, 近世以降のわが国の経済統計資料およびこれに関連する研究資料をできるだけ完全に収集・整理し, 全国研究者の共同利用に供する仕事です。 これは, 資料・事務部門が主として担当しており, 各種統計資料の発掘・所在調査, それに基いての収集および利用者に対する参考業務も行なっております。
  もう一つは, 収集した諸資料に対し独自の観点から資料批判を行なって整備・加工し, 経済分析のため広範囲に利用し得る計算機可読型統計系列(データファイル)を作成する仕事を行なっている基礎データ・加工データ整備ユニット(通商開発部門)です。 センターは, この両部門が密接に結びついて事業活動をすすめています。 教職員は, 資料・事務部門が6名(内1名週3回勤務), 基礎データ・加工データ整備ユニットが教授1名, 助手2名の合計9名(助教授定員1名欠員)です。
  なお, 現在当センターでは昭和54年度からの3か年計画で, 「府県勧業年報」を使って明治期の生産活動の諸統計を再検討し, 体系的なデータファイルを作成する作業を, センター全体の共同事業として進めております。 これらの統計資料に関する調査や統計データの整備・加工の成果は, 「統計資料シリーズ」として逐次刊行され, 全国の社会科学系大学・学部・研究者に送付されています。

〈センターの利用案内〉

  当センターを利用できる者は, (1)本学教官を含む国公立大学の教官または私立大学の教員, (2)研究調査機関の職員, (3)国公立の統計作成機関の職員 です。 大学院生の場合は担当教官の紹介が必要です。 センター所蔵文献の複写サービスも行なっております。 なお利用についての詳細は, センター2階事務室までお問合せ下さい。 (内線510,389,390)

〈収集された主要図書資料〉

  図書資料総冊数は66,411 (マイクロフィルムおよびフィルム複製本を含む。 昭和54年3月末現在) 受入れ雑誌は356種。 特色ある稀覯資料としては, (1)府県統計書 (2)府県勧業年報 (3)旧植民地経済資料 (4)郡是・町村是 (5)日「満」鉄鋼業資料(通称「水津資料」) などがあり, この他各種基本的な統計調査年報や統計調査報告書を読むために不可欠の調査要綱類はかなりの量を収集しております。
  「一橋大学経済研究所附属日本経済統計文献センター事業案内(昭和54年度)」を作成致しましたので, 当センターの活動の詳細をお知りになりたい方は, 事務室までお申し込み下さい。

(日本経済統計文献センター 三枝 辰男)


〈寄贈図書〉

現代ギリシャの出版物寄贈さる

  この度文部省の肝煎りで, 現代ギリシャの出版物が図書館に入りました。 在日ギリシャ大使館は親善をかねて現代ギリシャの姿を知らせるため, 出版物の寄贈先を探していましたが, 本学には地中海研究会があり活発な研究活動を行なっているため, 特に選ばれたものです。
  1月31日, 大使館の E.J.マブルディス参事官が寄贈のため来館しました。 本学側は木村館長, 渡辺金一教授, 田辺部長他が迎えて書物を受領し, 歓談に時を過しました。
  寄贈された出版物は55点, 内容はギリシャの歴史, 経済, 文化, 芸術等に関する概説書や研究書等さまざまで, 現代ギリシャ語の他, 英語, フランス語で書かれたものもあります。 西ヨーロッパ諸国と較べて中々入手し難い現代ギリシャの出版物を恵贈された大使館に謝意を表すると共に, 読者諸賢の盛んな利用を待ち望んでおります。

(大橋)

相京文庫(あいきょうぶんこ)の紹介

  予て, 三菱金属株式会社並びに三菱アルミニウム株式会社相談役相京光雄氏(昭7学)より, 本学如意団団長深沢宏教授を通じて, 相京氏御所蔵になる禅林関係図書寄贈の申し入れがありましたが, その第一回分として去る3月13日60点74冊が, 千歳鉱山株式会社監査役金子正三氏(昭13学)外の方々の手で, 小平分館に寄贈されました。
  第2回分(残余図書)については, 去る5月頃寄贈される予定です。
  これらの図書は, 相京氏の御希望もあり, 「相京文庫」として小平分館に一括して受け入れ, 学習並びに研究のための資料として末永く活用したいと考えております。
  次に, 主な内容を御紹介します。
  「日本の禅語録」「碧巌録抄」「臨済録抄」「無門関抄」「人天眼目抄」「大慧書抄」 「虚堂録抄」「五家正宗賛抄」「観音全集」「秋月龍眼著作集」「禅」「正法眼蔵啓迪」等。

(諸沢)


Ex Libris

蔵書表   書物の所有者を示すために Ex Libris (蔵書票)や蔵書印を用いることが古くから行なわれている。 それは実用性と, また多分に趣味性を兼ねたもので, 愛書家の凝るところでもある。 本学図書館の蔵書中にも, Ex Libris を貼った特殊文庫がいくつかあるが, 文庫にふさわしい香気のあるものは少ない。 近年, フランクリン文庫にふさわしい得がたいコレクションを次々と入手することになり, 今後さらに創立百年記念募金により多数の図書資料が寄贈されることになった機会に, それぞれのコレクションと入手の由来を示し, しかも芸術性の高い Ex Libris を作りたいと考え左図のような原型が出来上がった。 大きさは, 3種類, 和紙を用いる予定である。図書館名の下に登録番号が, 下部の枠内にコレクション名あるいは寄贈者名などが記される。 この Ex Libris は図書館側の意向を汲み, 鋭意製作に当られた千葉大学工学部工業意匠科助教授佐善明氏の作品である。

(佐々木)


〈会議〉

△国立国会図書館長と大学図書館長との懇談会

  昭和55年2月1日   於:国立国会図書館講堂
  恒例の上記の会合がもたれ, 国公私の大学図書館長, 事務(部)長等131名, 他に文部省 情報図書館課, 日本図書館協会の役員を加えて東京を中心とした各館の代表が一堂に 会し, 国会図書館側からは岸田館長, 酒井副館長以下31名が出席した。
  議事は挨拶のあと国会図書館の概要説明, そして懇談形式による質疑応答があった。 説明は, その活動について森田連絡部長から, 別館建設計画について外垣司書監から, 機械化(日本MARCと印刷カード)について高橋総務部副部長からそれぞれ詳細に行われた。 概括説明は多岐にわたるものであるが, 館員数847名, 図書340万冊, 雑誌2万9千種, マイクロフィルム9万リールを所蔵する国会図書館は, 納本制度と独自の購入による増加のため, 昭和43年に増築した現在の建物も手狭となり, 新たに本館に隣接して7,300平米, 地上4階, 地下8階(書庫)の新館を昭和59年7月までに完成させることになった。 総工事経費は約300億円で約700万冊収容できると言う。 機械化については, 欧米諸国でも久しく待望されていた和書目録のデータベースである Japan MARC が昨年より入力開始史本年4月から印刷カードその他がすべてこのJ-MARCから出力頒布されることになった。 このことは誠に画期的なことで大学図書館も漢字端末機をもつことにより和書の機械処理が夢ではなくなったと言えよう。

(田辺)

△図書館委員会

  2月27日(水)   図書費追加予算の配分について審議。

△創立百年記念募金図書購入委員会

  (第8回)   前回に引続き第2部門収書計画について審議。

△図書館委員会

  4月23日(水)   文部省へ提出する特別図書(大型)調書について審議。

△職員研修会

  学内の資料関係担当職員を対象とした二つの研修会が昨秋(10月)と今春(2月)に行われた。 附属図書館, 経研資料室, 産研資料室, 文献センターから多数の参加があった。 第1回は“目録”と第2回は“機械化”がそれぞれ主題で, 講師はいずれも図書館事務部長が担当された。



●附属図書館委員会委員

  (昭和55年4月1日現在)

委員長 木村 増三 (附属図書館長)
委 員 清水 啓典 (商学部)
 〃  杉山 武彦 ( 〃 )
 〃  浜林 正夫 (経済学部)
 〃  池間  誠 (  〃  )
 〃  村井 敏邦 (法学部)
 〃  川村 正幸 ( 〃 )
 〃  菅  順一 (社会学部)
 〃  阿部 謹也 (  〃  )
 〃  梅谷 文夫 (小平分館長)
 〃  岩崎 史郎 (小平分館図書委員)
 〃  山本 和平 (小平分館図書委員)
 〃  細谷 新治 (社会科学古典資料センター)

●一橋大学創立百年募金図書購入委員会委員

附属図書館委員会委員, および

委 員 石川  滋 (経済研究所)
 〃  津田 内匠 (  〃  )



〈人事異動〉

(昭和54年12月1日)
小平分館 松下 彰良 (閲覧課閲覧係)
閲覧課閲覧係 川津 朋子 (小平分館)
(昭和54年12月31日)
退職 小林 順子 (閲覧課雑誌係)
(昭和55年2月16日)
採用 上野 倫子 (閲覧課雑誌係)
(昭和55年4月1日)
学生部学務課長 堀越 保治 (整理課長)
整理課長 沢井 文男 (学生部厚生課長)
経済研究所資料係長 清水 末寿 (整理課洋書係長)
整理課洋書係長 戸出 秀雄 (経済研究所資料係長)
小平分館 田村 悦子 (整理課和書係)
整理課和書係 坂口 芙美子 (小平分館)




告知板

新館完成

  図書館の新館が4月に竣工しました。 新館へのアプローチは磯野研究館北側の道路からです。 3階建, 延870平米の小規模な建物ですが, 冷暖房完備の明るい雰囲気の読書環境が整備されました。
  以前から学生諸君の要望がある大閲覧室の照明改善が建物の構造上困難で, 未だ果たされていませんが, 新館には充分な照度も確保されました。 したがって現開架室を移動し夜間開館もここで行う予定です。
  また, 新館には車椅子利用者のための設備として, 入口のスロープ, エレベーター, トイレ, インターホンが利用されています。
  現在, 図書館では新館運営について検討し, 開館準備を進めております。 図書移動は夏休みに行い, 9月新学期までには開館の運びとなる予定です。 開館まで今しばらくお待ちください。


利用証

「図書館利用証」と貸出規則の変更

  国立本館の利用に際して従来学部生には3種類の貸出カード類を発行しておりましたが, 今年度より「図書館利用証」1枚に統一しました。 この利用証で開架式・閉架式の当日閲覧・館外貸出, 夫々の利用ができます。
  前年度登録者には旧貸出カード類3枚と引替えに新利用証を交付しています。 新規登録者, 留学生は学生証と写真1枚(3cm角)を用意してください。 手続きは常時閉架式カウンターで受付けております。 大学院生も「図書館利用証」への切替え手続きを行ってください。
  また学部生の貸出冊数, 期間を開・閉架とも4月1日から2冊2週間に改めました

(閲覧係)

当日閲覧 館外貸出
開架閉架 開架閉架
学部生 1回3冊まで 1回3冊まで 2冊2週間 2冊2週間
大学院生 20冊2ヵ月
雑誌B.N.の貸出期間
学部生は1週間, 大学院生も短期間の利用を心がけてください。




一橋大学附属図書館報 “鐘” No.4
1980年5月31日 発行
編集委員
岡崎義富・大橋渉・佐々木正・佐藤英昭・田辺広・諸沢菊雄
発 行 所
一橋大学附属図書館