鐘 No.2 (1979.10)





国立本館増築について

木村 増三

  かねてより予算要求をしていた国立本館の増築が昭和54年度予算で認められました。 規模は延面積870m2, 鉄筋コンクリート3階建で「社会科学古典資料センター」の西側に建設されます。
  この増築部分には現接架室1・2階の機能を移す予定です。 現在の本館は50年前に建設され, 研究図書館としての色彩が濃く, 学生諸君の利用には必ずしも便利ではありません。 今同の増築では一部は書庫として使用しますが, 主として学生諸君へのサービス改善を考えた開架棟として運営を計画しています。 現在読書環境の著しく悪い新刊雑誌コーナーも新開架棟の中に快適な場所が確保されることになります。
  工事は10月9日から着工され, 来年夏以前には開館の予定です。 工事中は何かとご迷惑をおかけしますが, 何卒ご協力ください。

(附属図書館長)

国立本館平面図 (1階)




事務室の配置変更について

  この4月に図書館の事務組織が一部改正され, それに伴い事務室の配置換え, 目録の編成と配置変更が行われることになりました。 時期は利用者の少い夏期休暇中に行うことにし, 同時に閲覧室, 事務室の床も改修することになり, 9月16日, いずれも予定通り終了しました。
  これまで臨時の配置個所で業務を行ってきた各係は, 9月17日からそれぞれ新しく配置された室で業務を行っております。 (前頁平面図参照)
  新しい配置場所は, 「和書係」「洋書係」は2階へ上る階段の手前左右の室に分れて配置されました。 和・洋書それぞれの受入と目録を行っています。 希望図書の申込みはここ, または閲覧カウンターで受付けます。 また, 新刊書の入荷状況もこゝで知ることが出きます。 「参考室」を入って正面奥の元「1階書務室」に移りました。 主要な百科辞典, 目録, 索引その他の参考書類と読書机を備え, 利用者は由由に調べものをすることが出来ます。 また, 図書館の利用全般, 文献の探索・利用等に関する案内と相談に応じています。
  「書誌係」参考室の一角を事務室に当てています。 洋書の寄贈受入と, 文献複写業務はここで行います。
  4月以来の組織, 業務の編成替えはこれで一応完結した訳ですが, その眼目は利用者へのより良いサービスの提供と, 業務の能率化にあります。 まだ日が浅いので, それぞれの業務に不備の点が多々ありますが, しばらくご容赦願います。

(佐々木)



身障者の利用に関連して

梅谷 文夫

  お陰さまで, 新書庫への図書の移動も, 夏休み中に完了することができました。 利用者各位には, ながい間, 何かと御不便をおかけいたし, また, 行きとどかぬ点もあったかと存じます。 お詫び申し上げますとともに, 御協力に深く感謝する次第です。
  分館がかかえていた問題のうち, スペースに関するものは, これでかなり解決いたしましたが, 残された問題として, 今回は, 身障者の利用に関連して, 少し述べさせていただこうと思います。
  身障者については, 分館では, (1)他の学生と同様に扱い, 特別なサービスはしない。 (2)附添者は学生本人と一体と考え, 別に入館証を発行することはしない。 (3)附添者が単独で入館する場合は, 学生証を持参すれば学生本人が入館するものとして扱う。 という方針でのぞんでおります。 これは, 視障(全盲)者の入学を念頭において決めたことですが, 要するに, 附添者に何も彼も負担していただくということです。 前号で事務主任が報告しておりますように, 分館としては, 最小限の模様替えをしただけです。
  事故もなく, よく利用してくれているようです。
  ただ, 指定書以外の図書の多くが2階に配置してあるために, 狭く急な階段(資格面積との関係で, このような設計になったのだと思います)が障害となり, 特に車椅子を使用する学生には, 大変な負担をかけております。 昨年入学した法学部の学生に対しては, 法学関係の図書を1階に移動することで, 何とか糊塗しましたが, 今年入学した社会学部の学生に対しては, 必要な図書が多くの分類にわたるため, それが出来ず, 附添者(母親)が学生を背負って階段を登り降りしております。 車椅子を担ぎあげなくてもすむように(階段の幅や傾斜の関係で危険です), 2階に車椅子(現在は車のついた椅子で代用)を1台用意したいと考えております。
  1階の閲覧席の相当数を2階に移して, 1階の書架を増やすことも考えましたが, それでもこの問題は解決できませんし, 視障(全盲)者が入学した場合, 今よりも対応が難しくなります。 もちろんエレベーターの設置についても検討いたしましたが, 建物の内部には適当な場所がなく, 外壁の外側につけることも, 将釆計画とのからみで支障があり, 気の毒ですが, 我慢してもらうほかありません。
  もう一つ, 学生閲覧室の書架の間隔が狭く(現状でも閉架部分より広くとっているのですが), 車椅子はどうやら入れるのですが, 書架の上部や下部の図書の検索が, これでは極めて困難だということです。 書架の配置を変えて, 例えば, 閲覧室を幾つかのコーナーに区切り, 真中に閲覧席, 周囲に書架を配置するような形にすれば, この不便はかなり緩和されますし, 他の学生にとっても, 今よりは利用しやすくなると思うのですが, 通路の面積が増えますので, 資格面積いっぱいの分館の場合, 書架か閲覧席を減らさなければ実行できません。 これも我慢してもらうほかありません。
  他の大学では, 図書館と研究室の機能が分離しておりますので, 現在の資格面積でも大きな支障は無いのでしようが, 本学のように学生数が少く, しかも, 図書館に図書を集中して, 研究室的な機能をも図書館が持つことを要求されているところでは, 何としても, これでは不十分だと思います。 本館の現状は, その矛盾の端的なあらわれだと思いますが, 分館も, 研究室的な部分が他大学並みであれば, 学生が利用する面積をもう少し広くとれた筈で, 身障者についても, 今よりは対応しやすかったのではないかと思われます。
  幸い, 図書館の資格面積については, 文部省も, 弾力的に考える意向と洩れ聞いております。 順序は本館が先だと思いますが, 資格面積の壁を抜ける道が, 何かあるのではないでしょうか。

(小平分館長)



小場瀬文庫をめぐって

高橋 安光

  卒論のテーマに18世紀フランスの思想家デイドロをえらんだ私が渡辺一夫先生の紹介状をもって下目黒の小場瀬卓三先生宅をたずねたのは終戦の年の暮であった。 省電の日黒駅を出て陸橋をわたり, わびしかった権之助坂を下り切って更に進んだ, 水はけの悪そうな地帯に建つ古家であった。 御家族がまだ疎開先からもどらず, 御母堂と2人だけでおられた先生にお目にかかった私はふと中江藤樹を連想してしまった。 その折り, 木箱にトタン板を張り合わせた電気パン焼器でパンを焼いて下さったが, そのパン焼器が三十数年後の今も洗足の新屋に保存されていることは先生の並外れて几帳面な御性格を物語るものであろう。 そうした御性格はカタログの作成にもうかがわれ, 御自身の蔵書についてはもちろん, 同学の土たちが所有する文献の中で先生が必要とするものについても丹念なカタログが出来上がっていたのだ。 このことが御蔵書を整理するにあたってどれほど人びとの労力を省いてくれたことであろうか。
  ところで都立大名誉教授であった小場瀬先生の御蔵書が本学に納められたことはいささか奇異に映じるかも知れないが, それにはつぎのような事情が介在したのである。 戦後いちはやく本学の講師に迎えられた先生はやがて専任になられるはずであったが, 中島健蔵氏らの懇請を受けられて都立大学創設に参加され, その代りに私を推して下さったのである。 愚鈍な弟子子でも慕ってくる者にはひどく甘いのが先生の唯一の弱みであった。 私はこの取り返しのつかない過ちの一端を御蔵書の納入によって償ないたいと念じたまでである。 さらに先生の御人柄をしのぶエピソードを紹介するならば, やはり戦後まもない頃の或る日, 森有正氏が小場瀬先生の書かれたパスカル論を直接反駁したいから案内してくれと仰言り, 私は森さんを下目黒までお連れしたことがある。 その行きの道すがら森さんは例の猪首を振りふり小場瀬先生の合理主義の単純さを攻撃しつづけていた。 また一方では森さんが訳されたパスカルの「田舎人への手紙」をわけの分らぬ本だと小場瀬先生がきめつけていることを知っていた私は, いかなる事態になるかと不安でたまらなかったが, 御二人は向き合ったとたんにまるで何十年来の知己のように意気統合してしまい, 傍の私はこの両巨人の豹変ぶりに唖然としてしまった。 挙句の果ては, 戦後の悪い洒のためか, 飲んだ人が悪かったのか, すっかり酔払ったパスカル先生を本郷追分のYMCAの宿舎までお送りしたのは, なつかしい思い出である。
  モリエール研究では第一人者であり, またフランス啓蒙思想研究の先駆者でもあった小場瀬先生がフランス政府給費留学生として滞仏中から集められた数々の文献の特色は, 第一に御自身の研究テーマに不可欠な研究書をすべで網羅してあること, 第二にテキストは稀覯本や初版本趣味を排してあくまでスタンダード主義に徹していること, 第三に文学研究に社会的歴史的視点を導入したこと。 第四に死去されるまで新しい研究文献に注目しつづけたことである。 そこにはいっさいの気まぐれを許さない科学者の厳しい姿勢が見出されるのである。 こうした特色をふまえながら小場瀬文庫に接するならば, その得る所は地味にみえながら存外に大きなはずである。
  このたびの御蔵書購入にさいしては小場瀬夫人をはじめ銀杏書房の高田女史, 後藤氏, 経研の津田教授, 古典資料センターの細谷教授, 小平分館長梅谷教授, 図書館事務部長田辺氏, 司書清水氏, 稲葉氏らの一方ならぬ御協力があったことをここに銘記すると共に, これから小場瀬文庫の正式なカタログ作成にあたる川津助手らの御苦労にあらかじめ感謝の意を表する次第である。

(小平分校主事)



ISBNとISSN

田辺 広

  『鐘』の本号から ISSN 0387-8783 と言う番号が付されるようになった。 ISSNとは International Standard Serial Number : 国際標準逐次刊行物番号の略称であり, ISBNは International Standard Book Number : 国際標準図書番号のことである。
  図書, 雑誌に識別番号をつけることは既に行われており, その大規模なものは, 米国議会図書館が納本される自国出版物に与えるLC番号, わが国では書籍コード, 雑誌コードがあり, 自然科学分野に与えられるCODENなどがある。 しかし, 全世界的に与えられる識別番号としては, 1967年イギリスの図書番号として設定されたSBNが発展したISBNと, フランス政府とユネスコとの協定で出来たISDS (International Serials Data System) が1972年より始めたISSNの2つしかない。
  ISBNは10ケタの数字からなり, グループ記号, 出版社記号, 書名識別記号, チェック記号の4部分からなっている。 例えば, 最初の0は英語の図書で, 3はドイツ語の図書であり, 90はオランダで出版した図書である。 そして書誌的に異動のない限り同一の図書には同一番号が与えられる。
  現在欧米諸国の殆んどの新刊書にISBNが付されているが, わが国では書籍コードと称する13ケタ〜14ケタの書籍取次店に必要な番号が付けられているのみで国際的にはコード番号をもっていない。 しかし最近これに参加する動きが出はじめ, グループ記号として4を割当ててもらったので, 近く和書にもISBNが付けられることになろう。
  1SSNは8ケタの数字からなり, ISDNとは異なり最後のチェックデイジット以外は特に意味をもっていない。 そして, その番号付けは, すでに継続出版される雑誌等については和雑誌も含めリスト上で行われている。 Ulrich's International Periodicals Directory とか News Serial Titles 等で約7千のわが国の遂次刊得物の番号を見ることができる。 (例えば一橋論叢はISSN 0018-2818である。) これらにないもの, 新刊のものについてはISDS国内センターである国立国会図書館によって番号が割り当てられ, それはパリのISDS国際センターに通告され, 正式に登録される。
  これら一連の番号付けは, 言うまでもなく図書資料の電算機による処理に便利ならしめるためであり, それらの流通過程の中で考えられ, わが国でも書籍コードが生まれた。 しかし書誌情報の流通の面で極めて重要であること, 国際的な互換性が必要なことを忘れたコードは, 結局ISBN, 1SSNを使わざるを得ないので, アメリカにおけるLC番号も国際性と言う意味で一歩譲りLC番号とISBNと二重に表示している。
  図書, 雑誌の背番号であるISBN, ISSNは学術情報の流通の窓口として考えられる大学図書館にとって将来極めて重要なものとなろう。 機械処理という便宜的な面に眼が向けられがちであるが, もっと根本に戻って考えて見よう。
  私達が日常図書資料を検索する場合, 著者, 書名, 分類, 件名(主題検索で本館にはない)等からカード又は冊子の目録を見て必要な資料に到達するのであるが, 若し, 必要な本の番号が分かっているなら, それによる検索は上記のいづれから探すより迅速でかつ誤りがない。 最近の科学技術情報の検索方法の進歩はめざましいものがあり, 何を検索の鍵とするかの研究が進んでいる。 同じサーチ・キイの中で, 識別子(identifier)と呼ばれる図書資料番号は記述子(descripter : 著者名, 書名, 主題等)に比べ最もノイズの少ないものとして機械的処理には最適なものとされている。
  図書館では図書資料の整理に毎日追われているが, 今は図書番号(ISBN)が分かれば書誌的記述(カード目録等)は容易に機械から打出し, または打出したものを入手することができる。 図書館で最も手間ひまのかかるのは本館独特の分類付け(標準的分類であるDC, LC, NDCは機械的に付けられる)であり, しかも満足のゆくものは仲々できない。
  分類は端的に言えば, 書棚に本を並べるために最も必要なのであって, 特定資料の検索と言う点からは, 著者, 書名等に比べても極めて能率の悪いものである。 棚に並べておく必要のない学術論分そのものの検索にはKWIC, KWOC等の主題索引が使われ, 分類は殆んど使われない。 今後の図書館の機械化は学術情報の流通と密接に結びついているのであって, それらを考え合せて改善策を考える必要があろう。
  (付) 本学関係の逐次刊行物のISSNについては国立国会図書館国内逐次刊行物課と連絡をとっていますので, 各誌の番号が確定しましたら関係各位にお知らせ, お願いをいたしますのでその節は宜しくお願いいたします。

(附属図書館事務部長)



■ 参考室から

ゲーテと会話辞典

  参考業務を行う上で百科事典は, いわば必需品であって, じつにさまざまな疑問に答えてくれる大変役に立つ資料ですが, この百科事典を歴史上の人物がどう利用していたかということも, なかなか興味のある問題です。 文豪ゲーテは, どいつの代表的な百科事典ブロックハウスを愛用していて, 1825年5月5日, 二代目ブロックハウス兄弟が訪れた時, 仕事机の上に置いてあるのを見せています(白水社版「ゲーテ対話録」参照)。 ルッペルト編「ゲーテ文庫目録」によると, これは1824年に出た6版と思われます。 ゾフィー版「ゲーテ全集」の索引を見ると, Conversations lexikon という項目にブロックハウスの書名をあげており, この会話辞典という言葉が著作の中で六か所使われていることが分かります。 ちなみに会話辞典とは, 教養人士が優雅な会話を楽しむために必要な知識を供給する辞典, つまり百科事典のことで, ドイツではすでに1709年にこういう題の書物が出ています。

(大橋)



〈資料室めぐり〉

一橋大学経済研究所資料室

  本学附属図書館の北側に位置する「一橋経済研究所」は, 昭和51年「東京商科大学東亜経済研究所」として設立された後, 昭和24年, 国立学校設置法第4条に基づき, 「日本及び世界の経済の総合研究」を目的とする一橋大学附置の研究所として再出発しました。 現在では, 研究部門の大部門制移行と兵甲して, 54年度には, 新庁舎の増築, さらに翌年度からは, 現庁舎の大改修を計画し, 研究活動の一層の拡大と充実を図っています。

1) 資料室の案内

  当資料室は, 現在研究所庁舎の1階つきあたりにあり, 職員は, 洋書3名, 和華韓書2名, 露書1名, 受入1名, 洋雑誌1名, 和雑誌・閲覧1名, 海外交換・閲覧1名の計10名が働いています。 蔵書は, 和華韓書86,858冊, 洋書116,415冊, 洋雑誌1,320種, 和雑誌1,737種, マイクロフィルム3,591リール, マイクロフィッシュ11, 490シート(昭和52年3月末現在)を所蔵しています。

2) 資料室蔵書の特色

  経済研究所の資料室という性質上, その蔵書構成は, 経済学を主とする社会科学中心の構成であり, 経済理論書や現状分析書を多く所蔵しています。 また世界各国と資料の交換関係を結ぶなどして, 各国の手に入りにくい政府刊行物や経済統計資料の収集に力をいれ, 特にソヴィエト経済関係の資料は, 国内でも高い評価を受けています。 尚, 日本の経済統計関係の資料は研究所の附属施設である「日本経済統計文献センター」が主に収集管理しています。

3) 資料室の利用

  当資料室の利用者は, 原則として, 研究者(一橋大学の教職員, 及び大学院生)に限られていますが, 学部学生の場合は, 担当教官の紹介, 学外者の場合は, 所属する大学又は機関の図書館長の紹介があれば, 閲覧のみ可能です。 文献複写設備は, 当研究所の研究用ですので, 利用できません。 院生及び学外の利用者は, 学内コピーセンター又は, 附属図書館の複写サービスを利用して下さい。 尚, 学外からの文献複写依頼は, 附属図書館を通じてすることができます。
  次に院生利用案内を掲載しますので, 参照して下さい。

(経済研究所資料室 大場 高志)


大学院生利用案内

一橋大学経済研究所資料室
昭和49年4月

(入・退庫) 入庫名簿に氏名と時間を記入して下さい。
入庫日時: 月〜金曜日
午前10時〜12時
午後 1時〜 4時
臨時休館日はその都度掲示します。
(館外貸出) 借用書に記入して下さい。
1ヶ月貸出:
図書・製本雑誌(未製本雑誌は不可) 10冊
1日貸出:
図書・雑誌(未製本雑誌可) 10冊
身分証明書預り。
(返却) 係員に返して下さい。 期日を過ぎても返却しない場合は, 資料室の利用を停止することもありますので, 厳守して下さい。




「今後における学術情報システムの在り方」学術審議会(中間)答申

  かねて文部大臣の諮問を受け検討を続けていた学術審議会は, 標記のような答申を中間報告として発表し, 各大学その他関係機関の意見を徴し最終答申とすることになった。
  内容は大きく四つに分かれ, 第1章の序文において, 欧米諸国に比較するとき, 我国の学術情報の流通体制を確立することが急務であることが述べられ, その基本的なものは, 一次情報の収集整備と提供, 情報検索システムの確立とデータベースの形成であるとしている。 第2章は「我が国における学術情報流通システムの現状と新しい展開への課題」で, 上記の三つの柱について, 図書館と計算機センターを結び付ける情報ネットワークについて述べており, 第3章の「新しい学術情報システムの考え方と整備の方策」において今後の方策を示している。 又第4章の「人材の養成, 確保」では, これら新しい学術情報システムに対応できる人材の養成が不可欠であるとしている。
  これらの答申を通じて見られることは, 学術情報の氾濫の中でどのようにして必要な情報を得ることが出来るかが科学技術関係を中心に最大の関心事となっている。 そしてそこで得た情報により如何にして原資料である一次資料を入手するかという問題に当然拡がってきている。 年間50万件から70万件と言われる化学関係などでは今や電算機の手を貸りなければ二次資料の処理はどうにもならない。 一次資料については大学図書館が最大の蓄積を持っているので, それらを有効に利用するためには相互関係のネットがきわめて重要である。 既存の施設を使って考えるとき, 重要なネットワークのポイントに資料を重点的に整備する拠点図書館方式はもっとも具体的な方策の現れであると言えよう。
  なお, 社会科学関係の重要な拠点とも言える本学図書館の対応については, 我々としても今後充分に考慮・検討する必要があろう。

(田辺)



“館員懇談会のこと”

  図書館に, 館員懇談会と云うものがある。 誕生してから2年, 15回を重ねた。
  図書館は, 大学に於ける情報センターとして, 利用者の要求に対応して行く役割を担っている。 それに答える要素として, 「まず人ありき」に尽きるであろう。 図書館運営に際して, 「附属図書館委員会」, 「係長会議(助手を含む)」があり, 問題が審議される。 しかし現場で働く館員の意見も, 業務に反映されて行くことが望ましい。 普通それは, 職制を通じてなされるのがルートであるが, 全館員が寄り合って, 懇談する場も必要になって来る。 何故なら, よりよい図書館サービスをする為には, 日常的業務を処理するだけではなく, 「創造」して行く事が大切であるからである懇談会は, 図書館に横たわる問題を認識した上で考え, お互いの意見を出し合って行く場として, 生まれ, 館員の前向きの姿勢の中で成長して来た。 田辺部長就任以来, 次々と機構改革が提案され, 館が大きく変貌しつつある。 全館員35名, 2課6係と社会科学古典資料センターを擁する組織となった今日, 会の果たす役割は, 軽くは無い。
  今迄に取り上げた問題は, 部制導入, 各係の紹介と検討, 出納窓口の一本化, 参考室の移動と充実化, 夜間閲覧業務のローテーション 〜 これは実施後, アンケートをとって「時間外閲覧業務に関するアンケート調査結果報告」を作成した 〜, 開架閲覧棟の増築問題, 等々である。 運営は, 各係から一名幹事が出て企画や連絡に当たっている。 会議の記録を必ずとって残してあり, 後になって役立つことも多い。 時間外に開くので, 参加できない人も出て来るが, 話し合った事が実って, よいよく図書館が動いて行くよう, 館員の願いが込められている。

(田村)



昭和53年度国立大学図書資料 (大型資料) 購入一覧

  文部省は昭和53年度に国立大学における教育研究の進展を図るために, 「緊急輸入策(外貨減らし)」による財源をもととして, 外国図書(大型コレクション)の購入費を国立大学に配布しました。 この購入費の配布を受けた大学および購入された図書資料名は下記の通りであります。 資料を購入した大学は整理して学内外の研究者の共同利用に供することを条件の一つとしています。
  なお, この措置の一環として本学で購入した「(仮称)フランス経済学コレクション」については現在整理中で, 年度内に目録を発行する予定です。

大学名図書資料名
北海道 ボリス・スヴァーリン・コレクション18世紀ロシア研究叢書
英・独・仏語によるソ連・東欧研究コレクション
小樽商科 フランス革命期刊行文書および研究所コレクション
弘前 経済学古典コレクション
東北 ハンサード英国議会討論報告
米国政府刊行物・議会議事録
福島 19-20世紀ロシア・ソビエト研究
筑波 心理学, 精神病学書コレクション
埼玉 ドイツ帝国統計書
千葉 ドイツ議会議事録ならびに議会資料
東京 マザラン誌コレクション
アラブ文化・アラブ学研究コレクション
オーストラリア総合法令集・判例集体系(連邦・各州)
インドネシア関係文献マイクロフィッシュ
東京外国語 アラビア現代史料
ブラジル・コレクション
東京学芸 ドイツ教育学集書
東京芸術 音楽学学位論文集
東京商船 「キャラバンマリタイムブックス」コレクション
東京水産 チャレンジャー号探険記
一橋 フランス経済学コレクション
金沢 フランス法律判例コレクション
名古屋 フランス, 官報及び議事録
ハンサード英国両院本会議録
インド立法関係史料集
愛知教育 コロンビア大学教育学叢書
京都 アイルランド大学出版局英国議会資料シリーズ
フランス国民議会議事録
ドイツ帝国議会議事録
国立中央図書館善本漢籍
イタリア史誌
大阪 アメリカ政府所蔵日本国政文書, 外務省, 内務省, 法務省
中国方志叢書
神戸 ロシア・ソ連で出版された日本関係文献
合衆国議会公聴会記録
岡山 ドイツ帝国統計書
広島 ハンサード英国議会討論報告
戦争と平和に関する文献目録
香川 ニューヨーク証券取引所上場会社年次営業報告書
福岡教育 英国教育史研究資料
九州 故シャルル・ペラ教授旧蔵書
ドイツ連邦議会「戦後分」議事録
九州芸術工科 ロイド・モーガン教授建築学関係コレクション
熊本 英国議会報告書 1801年-1899年



会議

△創立百年記念募金図書購入委員会 (第4回) 7月4日(水)
  各部門の収書計画を第1部門(貴重コレクション)と第2部門(テーマ別系統的収書)に分けることにして, その内容については, 次回以降審議することにした。
△図書館委員会
  上記委員会後引続き行った。 昭和54年度支出計画案の検討及び今年度本館増築部分の利用計画の説明等。
△創立百年記念募金図書購入委員会 (第5回) 7月19日(水)
  前回の決定により, 各部所から, 第1部門, 第2部門別のリストを提出してもらい, 収書計画の審議を行った。




一橋大学附属図書館報 “鐘” No.2
1979年10月15日 発行
発 行 人
田辺広
編集委員
岡崎義富・大橋渉・佐々木正・佐藤英昭・田辺広・諸沢菊雄
発 行 所
一橋大学附属図書館