鐘 No.1 (1979.7)





発刊に当って

附属図書館長 木村 増三

  本年度より一橋大学附属図書館報『鐘』を刊行することを計画し, 準備を進めて参りましたが, 関係者の御尽力により, このたび創刊号をお送りする運びとなりました。
  本図書館は, 社会科学を中心に豊富な文献資料をそなえ, また今後もその一層の充実を図っていく方針でおりますが, 図書館としては, その利用を促進し効率化することもまた, 重要な役割であります。 この面における改善の一手段ともなることを念願して, ここに館報を刊行し, 本図書館の業務や所蔵資料などに関する情報を広くお伝えすることにいたした次第です。
  当初は年3回の刊行とし, ページ数も少なく, まことにさきやかな館報として出発いたしますが, 関係の皆様の御協力を得て, だんだんに立派なものにしていきたいと希望しております。 何とぞよろしくお願い申し上げます。




国立の一年

附属図書館事務部長 田辺 広

  着任以来一年をすぎ, 図書館報創刊に当って, 本館のおかれている現状を図書館の立場から, 出来るだけ手短かに述べて見たい。
  長い歴史をもつ本学附属図書館は, 良きにつけ悪しきにつけ大変ユニークな存在である。 かって長い間東大の図書館に勤務したことのある私にとってはそれ程でもないが, 新制大学のみ経験した人にとっては不可解なことが多いであろう。 先ず旧制も含めて殆どの大学図書館は全くの学習図書館である。 研究用の図書は挙げて教官の研究室に分置されているので教官が図書館を訪れることは極めて稀である。 従って大学図書館の重要課題は, 如何にして教官の関心を図書館に向けるか, 私物化された研究室備付図書を大学の共有財産として如何にして有効に利用させるか等にある。 その意味で本館は, 集中制の模範として全国に知られている。 しかし何事もプラスの面に対してマイナスの面はあるもので, 大学の規模が大きくなり, 研究室と図書館との距離が遠くなり, 利用者が増加するにつれ, 維持が難しくなってきている。
  本館が研究図書館として第1級の図書館である反面, 学習図書館としては欠ける面が多い。 一応小平分館は学習図書館としての機能は果たしているものの国立本館にも半分の責任がある訳で, 施設, 設備, 学生用図書資材について改善することが急務である。 幸い本年度増築第1期工事が完成する予定であるので, 単なる書庫でなく学習図書館的機能を出来るだけ盛込みたい。
  すでに70万冊近い蔵書をもつ本館は, とうに収納限界を超えており, 未整理の本も多く抱え年間増加量も本年度は2万5千冊以上となろう。 百年記念募金のうち8億は図書購入費に当てられ, 校費による購入も53年度は3億近い。
  本学における図書館の重みは他大学とは比べものにならない程であるが, 蔵書, 図書購入費の大きさに対し, その容れ物である書庫, それを整理運営する職員数がはるかに追いつかないのが現状である。 図書館の規模, 性格が他大学と異っているのに基準は平均化されており, 教員数, 学生数の少ない本学は一般の国立大学の図書館基準を持ち出されると極めて不利な立場にある。 社会科学古典資料センターの設置で名実共に世界の水準にまで上ってきた。 この伝統ある図書館を発展させるために, ことに本学の諸先輩, 教官の方々の図書収集の熱意に応えるために私達は全力を挙げねばならない。 それには勿論, 良き伝統は残すべきであるが, 或る意味では思い切った処置をしなければ袋小路を脱することができない問題が山積している。 図書館の職員はもとより, 文部省, 本部事務局, 教官各位, 如水会等の各方面のご理解とご援助を切にお願いする次第である。




小平分館の新書庫完成

  小平分館新書庫は昭和54年3月予定通り竣工しました。 地下1階, 地上2階, 延べ550m2です。 図書の移動は夏休み中に行い, 9月新学期開始日までには小平分館全体が利用しやすい図書館となる筈です。
  増築書庫及び増築に伴う旧館(現施設の主要部分 -- 昭和44年竣工 以下同じ)の一部改装に関する主要事項は次の通りです。

  1. 地下書庫。   隣接民家の日照権を侵をないよう書庫の高さを旧館程度に押えた。 このため地下1階, 地上2階の建物となり, 湿気防止等のためドライエリア(空濠)をめぐらせている。
  2. 集密書架。   図書収容カを可能な限り高めるため, 地階に集密書架(FS型機械手動スタックランナー)を設置した。 これにより地階の図書収容力は約2.5倍となった。
  3. 新開架コーナー(2階開架閲覧室拡張)。   開架閲覧室の収容カを超えていた開架図書の内, 一部を開架コーナー(旧閉架コーナー)に移すことにした。 学生数の増加に対応して, 学生閲覧机(18席)を増し, 開架コーナー南側に配置した
  4. 教官閲覧室。   書架増設のため撤去していた教官個席の復元に替え, 旧分館長室(兼会議室)を教官閲覧室に変更した。 分館長室と会議室は新書庫南側に新設した。
  5. 空気調和設備。   書庫増築工事と併行して旧館に冷却機が設置された。 この機械に書庫に暖冷房用の配管とファンコイルユニットが設置された。

(稲葉)
 
新書庫面積表 (単位 m2)
室名
BF 1F 2F
書庫 142137130409
会議室  26 26
分館長室   2323
複写コーナー  10 10
休憩室  18 18
便所  9 9
その他 2292455
   計      144   229   177   550
    
書架棚数・収容可能冊数
1F92423,100
2F96624,150
3F2,35258,800
 計    4,242   106,050

平面図

1階 地階
2階



文部省特定研究 「大学図書館における情報トータルシステムの開発」に参加

書誌係長 佐々木 正

  図書館業務の機械化の努力が多くの大学で積み重ねられ, それなりの成果を挙げで来たが, 情報化社会の趨勢には, なお対応し得ない現状にある。 個々の図書館の努力と規模には限界があり, 大量の情報を効率的に処理するためには新たな方策をもって対処しなければならない所に来ている。 そこで, これまでの個々の試みと成果を統合し, ネットワークを組むことによって, 大学図書館全体の情報処理能力を高めることが考えられている。 それはまた全国的情報処理態勢の一環として達成を急がれてもいる。 科学研究費補助金特定研究「大学図書館における情報処理トータルシステムの開発」(代表者, 藤原鎮男 東大教授)は, そのために必要な諸条件と環境を調査研究するために行われるものである。
  研究は3班に分かれて行われている。 第1班: 大学図書館卜一タルシステムの分析と設計, 第2班: オンライン書誌データ処理システムの研究, 第3班: オンライン学術雑誌総合目録処理システムの研究, となっている。 当館からは, 田辺図書館事務部長, 岡崎助手(古典資料セ), 鷹野助手(産研)が第2班に参加し, 清水洋書係長, 佐々木書誌係長を加えて実験を行っている。 2年の研究期間のうち初年度を終って, 中間報告がまとめられたが, 本学での実験のあらましは次のようである。
  第2班の初年度の目標は, (1)LC-MARC (Library of Congress-Machine Readable Catalog 米国議会図書館 機械可読目録), Japan-MARC, UK-MARC などについての現状の掌握。 (2)LC-MARCのデータベースを使用しての, 書誌情報オンライン検索システムのソフトウェア開発。 (3)複数の大学図書館において, LC-MARCのデータベースオンライン検索した場合の問題の解明, であった。
  当館ではそのうち(1)と(3)に関連した実験を行った。 筑波大学学術情報処理センターのLC-MARC-MT(磁気テープ)(1977.1〜1978.6)から端末機により書誌情報の検索を行い, 目録作成の参考資料としての評価と, 収書, 選書の資料としての有用性を検討することにした。
  先づ, LC-MARCにヒットする英語図書200冊を, LC番号, あるいはISBN(International Standard Book Number 国際標準図書番号)によって検索し, その結果を, アジア・ビジネス・コンサルタント社が同じくLC-MARCから作成したカードと対照し, また, 現物との照合を行うことであった。 しかし, ヒットする図書を選び出す手がかりを掴むまでに時間を要し, また, 回線切れが多く, 更には, 検索技術の未熟も加わって, 所期の成果を得るまでには至らなかった。 次に, 著者名, キーワード, LC件名により検索し, リストに打ち出し, 選書等の資料としての検討を行ったが, データベースが1年半分しかないので, 有用性の評価は無理であった。
  今年度は, LC-MARCも1974年以後が使えるようになり, UK-MARCも加わるので, 実のある実験が行われることと期待している。




■ 参考室から

「本命」と「穴馬」

図書館専門員 大橋 渉

  マックス・ヴェーバーの講演『職業としての学問』の中に, ローマ教皇の選挙や, アメリカ合衆国の大統領候補者指名について触れている個所があります。
  「一般に『人気者』と言われている枢機官も稀にしか当選の機会を恵まれない。 ふつうにはむしろ第二ないし第三候補の人が当選するのである。」 (尾高邦雄訳 岩波文庫版19頁) 同様のことがアメリカの政党の党大会で大統領候補者を指名する場合にもしばしば見られることを指摘し, 「アメリカでは人選のこのような行われ方について, すでに幾多の社会学上の術語ができている位である。」 (同上) と言っています。
  この社会学上の術語とは具体的にどういうものかという質問がありました。
  こういう形式の質問はやゝ珍しい部類に属します。 ふつう, これこれの言葉はどういう意味か, どういう内容のことを示すのか, という形の質問が大部分です。 この場合は, そもそも言葉が分らないのですから, ふつうの辞書類では調べようがありません。
  『職業としての学問』は彼の『学問論集』に収録されており, 弟子のヴィンケルマンの注釈もありますが, これについては何も書いていません。 そこでアメリカの政治についてなるべく詳しく書いたもの, それもできれば年代的に, ヴェーバーが読んだ可能性がある本はないかと思って探してみたところ, ジェームズ・ブライスの古典的名著『アメリカ共和政』(1893年, 新版1910年) が見つかりました。 その中の候補者指名党大会に関する章を丹念に読んで行きますと, 党の指名を受けようとする者には三種類あるとして, Favourites, Dark Horses, Favorites Sons という言葉があがっていました。
  J.ブライスの詳細な論述を読むと次のような人物像が浮かんできます。 Fは知名度が高く, 能力もすぐれていて, 支持者が多いが, 敵もいる。 DHは知名度はやヽ落ちるが, 無難な人柄で, 可もなく, 不可もなくといった場合が多い。 FSは自分の州では有名だが, 全国的にはあまり知られていか, いわば, Fを小粒にしたようなタイプ。
  複数のFがいて, 投票を繰返しても, 誰も指名を獲得できない場合, 1人のFが, 競争相手を落とすために, 自分の票を弱小なDH又はFSに譲ってしまうことがあります。 そうなると他のDHやFSも, 票を譲られた一人に, 集中的に投票して, 大差で勝負がついてしまうことがあるといいます。 (この現象はStampedeと呼ばれています。)
  ヴェーバーのいう「社会学的な術語」がこれらの言葉を指しているのは, まず間違いないと思いますが, もともとは, 「本命」とか「穴馬」といった競馬用語なのですから愉快な話です。




図書館事務分掌の一部改正について

  図書館事務組織の一部改正に伴い, 分掌規定が次のように改められました。 改正の主な点は, 1) 従来の「受入係」と「洋書目録係」が統合されて「洋書係」となり, 2) 新たに「書誌係」が設けられました。 「書誌係」は「参考室」内で業務を行なっています。 3) これまで, 閲覧係と総務係で扱かっていた文献複写業務は, すべて参考室内の書誌係で行なうこととなりました。 4) 「和漢書目録係」は「和書係」と改められました。 なお, 購入希望図書の受付は, 和・洋それぞれの係で行ないます。
  関係ある係の事務分掌規定は次のとおりです。

 (洋書係)
第6条  洋書係においては, 次の事務をつかさどる。
  1. 図書館資料予算の執行に関すること
  2. 洋書の選択及び受入に関すること
  3. 洋書の発注及び検収に関すること
  4. 洋書の新刊書の目録作成に関すること
  5. 洋書の新刊書のカード目録の編成に関すること
  6. その他洋書の新刊書の受入と目録に関すること
 (和書係)
第7条  和書係においては, 次の事務をつかさどる。
  1. 和書の予算の執行に関すること
  2. 和書の選択及び受入に関すること
  3. 和書の発注及び検収に関すること
  4. 和書の目録作成に関すること
  5. 和書のカード目録の編成に関すること
  6. その他和書の受入と目録に関すること
 (書誌係)
第8条  書誌係においては, 次の事務をつかさどる。
  1. 寄贈図書(洋書)の受入に関すること
  2. 洋書の書誌・目録類の収集と整理に関すること
  3. 洋書の書誌・冊子目録の作成に関すること
  4. 寄贈図書等洋書係で扱わない洋書の目録作成及びカード目録の編成に関すること
  5. 参考業務及び図書館の広報に関すること
  6. 文献の複写に関すること


目録編成と配置の変更

  今年度の夏期休暇期間に目録室の改修工事が予定されていますが, その終了後に目録室に置かれているカード目録の編成が一部変更になります。 現在目録室にあるカード目録のうち, 和書・韓国語・漢書は従来通りで, それぞれに著者名目録・書名目録・分類目録があります。
  洋書は, 著者名目録・分類目録の2種類ですが, このうち著者名目録は, 現在一階事務室に置かれている目録が移されることになります。
  検索の仕方は従来通りですが, これまでの著者名目録との相違点は次の通りです。

  1. 受入年度によって区別されていた大型と小型のカードがすべて一緒に配列されている。
  2. これまで冊子目録で検索していた, メンガー文庫・ギールケ文庫・左右田文庫・村瀬文庫・三浦文庫・外池文庫・シュンペーター文庫等の特殊文庫の目録カードがすべて入っている。
  3. 小平分校・経済研究所・産業経営研究施設に所蔵されている図書のカードが入っている。 (但し, 研究室・資料室の図書カードは, 含まれていない)
  上記のように, 図書館が所蔵している洋書のすべてのカードが入っており, 本学内に所蔵されている洋書のカードが一か所に集められていますので, 総合目録としての機能をもっており, これまでの目録にくらべて検索が便利になります。 ただ, カードの量が非常に多くなること, 特に 2 と 3 については, 特殊文庫にはそれぞれ異なった形の分類記号があり, 小平分館は数学のみの記号, 研究所はそれぞれの分類記号に, 「経研」「産研」の印が押されていますから, 見落とさないようご注意下さい。 目録の利用のしかたについては「図書館利用案内1979」にも記載されていますが, わからないことや, 相談したいことがあるときは図書館員におたずね下さい。



国立大学等間における文献複写業務の改善

  最近の学術情報の増加に伴い大学図書館における文献複写業務は重要な役割をもつようになってきた。 当館においても年々複写業務が増加している。 しかし従来の複写料金の支払・収納方法が複雑であったため業務が停滞しがちであり, 複写物の入手に時間を要していた。
  文部省ではこれらの現状を改善するため昭和54年度より, 国立大学及び国立高等専門学校の図書館間における複写料金の決算等の方法を合理化し, 業務の能率化を計ることとなった。
  改善の大要は下記のとおりである。

  1. 国立大学間における文献複写経費の決済は歳入によらず予算(図書館維持費)上の振替により行なう。
  2. 私費支弁による複写料金の徴収は複写を受け付た図書館(受付館)で行なうことを改め, 依頼した図書館(依頼館)で行なうこととした。 経費の決済は上記 1 による。
  3. 予算の振替は当該年度間における国立大学等間の複写実績に基き翌年度において行なう。
  なお今回の改善は国立大学等間についてのみであり, 国立の他の期間, 公・私立大学は含まれない。 これらの機関とは従来の方法により, 処理することになる。
  複写申込から複写物の受領までの手順は,
  1. 複写の申込みは書誌係(参考室内)で所定の申込書に必要事項を記入の上申し込む。 平日は午後3時, 土曜日は午後11時少し前までに申し込むこと。
  2. 書誌係では申込書をもとに複写依頼書を作成し文献を所蔵する大学に依頼する。
  3. 文献を所蔵する大学(受付館)は, 複写の依頼により文献を複写し, 料金通知書を同封のうえ複写を依頼した大学(依頼館)へ送付する。
  4. 私費支弁の場合申込者は料金通知書により複写料金を本学経理課(授業料納入窓口)に支払うこと。 国費支弁の場合は図書館に予算を振替えすることとなる。
  5. 複写物は領収書を書誌係に提示し, 引き替えに受け取る。

(仲俣)



■ 新収資料

「(仮称)フランス経済学コレクション」の入手について

  昭和53年度補正予算には外貨減らし“緊急輸入策”が組み込まれた。 その一環として文化庁は海外美術作品の購入に15億円, 文部省では国立大学における教育研究の進展を図るため, 外国図書(大型コレクション)購入費5億円をそれぞれ補正計上した。
  文部省はこの配布決定のための資料として各国立大学に対してあらかじめコレクションの購入要求リストの提出を求めた。 その際, 文部省は以下の条件が満されることを前提とした。
1) 学内にその資料を活用する研究者がいること。 2) コレクションは図書館(資料センターを含む)に収納すること。 3) 購入後は速かに目録を作成し, 各大学へ配布すること。 4) 学内, 学外の研究者の共同利用に供すること。 また, 5) 以上の条件の整備に必要な人的・予算的措置は, 学内において行うこと。
  本学から提出したいくつかの購入要求項目のなかから, 今回は, 「(仮称)フランス経済学コレクション」の購入が認められた。 (価格1億2百万円。) このコレクションの整理については資料の性質, 図書館の整理能力などの点から考えて, 社会科学古典資料センターにおいて整理することが適当であるという結論に達し, 現在そこで整理が進められている。
  本コレクションは, 16世紀〜19世紀にわたるフランス経済思想史, 政治思想史, 社会思想史, 社会問題, 政治史の文献(869冊)を主要な内容としそれぞれの時代の第一級の著作家およびその周辺著作家の著作の初版および異版がよく収集されているとくに18世紀の古典は本コレクションの中心部分を占めている。
  先年, 本学はバート・フランクリンの購入によって, フランス経済思想史, 社会思想史, 政治学, 経済史の分野を一挙に充実することができたが, 本コレクションの購入によって, フランクリン・コレクションの欠落を産めることが可能となり, この分野の研究資料の整備がさらにいっそう進められることになった。

(岡崎)

鳴海完造氏 (1899-1974) 旧蔵書について

  鳴海完造氏は東京外語露語科出身で, 昭和2年(1927)同郷の先輩秋田雨雀とともにモスクワに招かれ, 昭和10年に至るまでレニングラードとモスクワの両大学で日本語の教師をつとめた。
  本蔵書はこの間に収集された革命期の書籍, 内戦終結から1930年後半までの時代を反映する出版物で, その後は国外に持ち出せなくなった文献を多く含んでいる。 主としてロシア語図書であるが, その内容的特徴は,

  1. 社会科学関係では1920年代のソビエト文化革命時代の思想状況を示す著作が網羅されていることである。 ロシア革命によってソビエト権力が成立してから, マルクス主義的価値観が確立するまでの状況を反映した多種多様な学説や理論が唱えられたが, それらのソビエト体制初期における文献, パンフレットは社会主義の研究上きわめて貴重な価値を有する。
  2. 民俗学関係ではロシアの民俗学・人類学は世界の学会へ大きく寄与しているが, 19世紀後半以後国内辺地への調査団の派遣がしばしば行われて膨大な資料が蓄積されたが, この分野での古典的な資料の刊行物がもれなく収書されている。
  3. 文学関係ではロシア近代文学の祖とあおがれるプーシキンの主要な作品の初期本とその後の異版, ならびにプーシキン・ゴーゴリその他の諸作品に関する19世紀以来の研究書を完全に網羅している。 これらの文献は文学研究上はかりしれない意義をもつことは云うまでもないが, また文学を通じて行われた近代ロシアのインテリゲンツィアによる社会的発言が近代ロシアの社会思想の研究にも役立つ, さらにソビエト時代の文学作品や文学理論に関する著作も多くとりわけ20年代に出版されたフォルマリズム関係の主要文献をすべて含んでいる。

(文責・砂川)



告知板

館内改修工事について

  大閲覧室・1階事務室等の床改修工事を下記のように行います。

  1. 大閲覧室 7.23〜9.16
  2. 事務室(旧フランクリン文庫) 7.23〜8.16
  3. 事務室(1階中央) 8.19〜9.12
  工事中は廊下に物を置くので通行を妨げ, また, 騒音も可成りのものと思われますので, ご了承とご協力をお願いします。


休館と閉室

  大閲覧室の床改修工事のため, 昭和54年7月23日〜9月14日の期間, 大閲覧室・接架室を閉室します。 但し, 一般カウンターでの閲覧業務は平常通り行い, 仮閲覧室として, 新館205, 206教室を利用してもらいます。 なお, 上記期間中8月16〜18日は, 一階事務室の移転を行うことになっていますので, 図書館はこの間休館いたします。



会議

△ 一橋大学社会科学古典資料センター

  昭和54年5月20日, 第4回一橋大学社会科学古典資料センター運営委員会が開催され, 昭和55年度の概算要求, 古典資料センターの英文名称などについて協議が行われた。
  概算要求については, 人員要求のほか 1) 書誌調査, 目録作成のための辞典, 目録類の購入, 2) ゴールドスミス・クレス マイクロフィルム版の購入, 3) 本学所蔵古典資料のマイクロフィルム化経費, 4) その他事業に必要とする経費 の4項目にまとめて要求を提出する方針が決定された。
  第2の英文名称については, Center for Historical Social Science Literature とすることに決定した。

△ 創立百年記念募金図書購入委員会 (第3回)

  この委員会は, 一橋大学創立百年記念募金会からの奨学寄付金による購入図書の選定に関する事項を審議する委員会で, 附属図書館長, 小平分館長, 附属図書館委員会委員11名, 経済研究所から選出された委員2名, 計14名で組織されている。
  昭和54年6月6日(水)開催された第3回委員会は各委員から, 収書計画の紹介があり, 審議された。 なお, 次回は7月4日に開催し, ひきつづき収書計画を審議することになった。

△ 図書委員会   昭和54年6月6日(水)

  1. 昭和53年度図書資料費決算報告。
  2. 昭和54年度図書資料(大型コレクション)収書計画の集計結果について報告。
  3. 昭和55年度概算要求事項について。
  4. 図書館内補修工事に伴う休館措置について。
  5. 昭和54年度新営増築工事について。




〈あとがき〉

○ 今日も図書館の屋上から時を告げる鐘の音が全学に鳴り渡っています。 この鐘の音で一橋大学の一日が始まりそして終わって行きます。 館報名を考えていると頭の上でこの鐘の音がきこえてきました。 一橋と鐘は初代の鐘以来固い絆で結ばれて今日に至っております。 この由緒ある「鐘」が館報名に最も相応しいと思い応募しました。 昔から鐘は時を告げるばかりでなく広報の役目も果たしてきました。 「鐘」の名と共にこの館報も広く皆様のお役に立つことを念願しております。

(K.M.)

○ 長い間の要望がやっと実り, 図書館報「鐘」の第1号が発刊となりました。 館報名とデザインは館員の多数の応募作の中から, 編集委員が選ばせてもらいました。 誌名は諸沢菊雄氏, デザインは砂川淑子さんの作品です。 ご応募下さった館員のみなさんに厚くお礼申し上げます。 立派な館報に育てるために, 今後ともみなさんのご協力をお願いします。

(S)




一橋大学図書館報 “鐘” No.1 1979年7月2日発行
発行人:田辺広
編集委員:岡崎義富・大橋渉・佐々木正・佐藤英昭・田辺広・諸沢菊雄
一橋大学附属図書館発行