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常設展示
希望、不安、模索―――ブレッシー文庫によるフランス労働運動史

画像:最新展示

展示
日 程 2010(平成22)年3月1日(月)?
場 所 一橋大学附属図書館 公開展示室
入場時間 10:00?17:00(入場無料)(土・日・祝日・休館日は閉室)

 ブレッシー文庫にはおおむね1860年代から1970年代まで1世紀あまりのフランスの労働組合運動に関する資料が収められています。政治パンフレットや組合の大会の記録など同時代的な息吹を伝える資料が多く含まれることが大きな特徴です。

 今回の展示では、一橋大学附属図書館所蔵のブレッシー文庫より、フランス労働運動史についての貴重な資料を紹介します。(【 】内は附属図書館所蔵の請求記号です。)

展示パンフレット


1 希望 

 19世紀後半から20世紀にかけてのフランス労働組合運動は、労働取引所連盟やCGT(労働総同盟)をはじめとする様々な組織において、アナキスム、マルクス主義、革命的サンディカリスム、協同組合運動など諸種の潮流が競い合う沸騰状態にあった。ブレッシー文庫に収録されているパンフレットや貼り紙は、その形式の多彩さによって、それがタイポグラフィの冒険であり、また諸種の方法で労働者にアピールし新たな共同性を形成しようとするソシアビリティの冒険であったことを示唆している。

【展示資料】

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Confederation generale du travail, [Lettre d'invitation a la reunion du Comite des Bourses que aura lieu le vendredi 13, 1908]. Paris : [s.n., 1908].【Brecy:998】

労働総同盟集会開催のお知らせ、1908年

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[A letter to invite subscription for a loan to amount of 5000 francs for the ressurrection "La Marmite, restaurant populaire cooperatif"], Paris : [s.n.], [1894?].【Brecy:1013】

民衆のための共同経営食堂ラ・マルミット設立資金の出資依頼、1894年?

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Parodie du diable a quatre, Paris, En vente au Bureau de l'Eclipse, 1868.【Brecy:827】

『滑稽版魔物乱痴気騒ぎ』1868年

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Dix-neuvieme Congres national du Parti ouvrier, tenu a Roubaix du 15 au 18 septembre 1901, suivi Des principales resolutions des XVIIe et XVIIIe Congres nationaux, tenus a Epernay, 1899, et a Ivry, 1900, Paris, Imprimerie du "Socialiste", 1901.【Brecy:148:6】

第19回労働党全国大会報告、1901年

2 不安

 20世紀に入ると、フランス国内では1906年のゼネストの失敗、国外では1914年の第1次世界大戦の勃発と1917年のロシア革命勃発によって、フランスの労働組合運動は大きな変化を被った。ゼネストや反戦運動の失敗が労働運動の前途に不安を投げかける一方、ロシア革命の成功はマルクス主義およびロシア共産党に指導されたグループの影響力をいや増した。しかしながら、1936年のモスクワ裁判に端を発する一連の粛清に反対して、ソビエト連邦との離反を進める動きも強まった。スターリン反対派の中には、シュルレアリスム運動指導者であるアンドレ・ブルトンの姿もあった。

【展示資料】

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Breton, Andre et al. Apres le 30 juin de Staline : dossier des fusilleurs, Paris, Les Humbles, 1936.【Brecy:556】

アンドレ・ブルトン他『6月30日以後のスターリン』

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Ferrat, Andre. Lettre ouverte aux membres du Parti communiste, Paris : A. Ferrat, [1936].【Brecy:290】

アンドレ・フェラ『共産党員への公開書簡』


3 模索

 1936年に成立したレオン・ブルムを首班とする人民戦線派内閣のもとで、40時間労働の法制化をはじめとする労働者の要求は広く認められたが、その反面、労働者による占拠ストライキは収拾され、国家を介さない労働組合の独自の運動性は徐々に揺らいでいった。労働組合は賃上げや時短、余暇の拡大のような利益配分をめぐる争いに専念するようになっていった。労働運動は、女性の地位向上や植民地主義の清算のようにそれまで顧みられなかった様々な問題をどのように考えるかを新たな課題としながら、自らの方向性を模索することとなった。

【展示資料】

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Lentin, Albert-Paul, L’Histoire de la revolution algerienne : un dossier d Frqnce observateur, [s.l.], [s.n.], [195- ?].【Brecy:553】に挿入されていたもの

アルベール=ポール・ランタン『アルジェリア革命の歴史』1950年代 ?


4 ロベール・ブレッシーについて

 ロベール・ブレッシー(1912-1996)はパリの生まれ。貧しい家庭に育ち、職を転々としながら苦学を続ける。労働運動に積極的にかかわり、またヴィシー政権下ではフランス共産党および国民戦線の地下細胞としてレジスタンス活動に参加した。戦後は出版の世界に身を投じ、1948年から『カイエ・デュ・コミュニスム』編集長。1955年から1958年まで共産党系の出版社エディション・ソシアル編集主幹。1961年に共産党を離党。その後も在野の研究者として労働運動史研究を継続し、広範な資料調査と自ら蒐集した大量の資料をもとに、『フランスにおける労働組合運動(1871-1921)』(1963年)および『フランスのゼネラルストライキ』(1969年)を著わした後、あらたな研究の資金捻出のため蔵書の一部を売却した。


 本学に収められているのは、このとき売却された資料であり、創立百年記念募金によって得られた資金をつかって1982-3年を中心に購入されたものである。続いてブレッシーはフランス労働歌謡史の研究に挑み、『1789年から人民戦線期までの革命歌謡選集』(1978年)、『歌う革命 1789年から1799年までの歌謡集』(1989年)をはじめとする著書に結実することとなった。ブレッシーが収集した労働歌謡についての資料は、彼の死後、メルボルン大学によって購入された。

【展示資料】

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Brecy, Robert. Le mouvement syndical en France 1871-1921. Essai bibliographique, ouvrage publie avec la collaboration de l’Institut Giangiacomo Feltrinelli, Paris, Mouton & Co, 1963.【Kea :258】

ロベール・ブレッシー『フランスにおける労働組合運動(1871-1921)』1963年

【ロベール・ブレッシーの他の著作】

  • La greve generale en France, Etudes et documentation internationales, [1969]. 【経済研究所資料室Kp-199】
  • La revolution en chantant, Van de Velde et C. Pirot, c1988.【2350:605】
  • Florilege de la chanson revolutionnaire : de 1789 au Front populaire, Edition revue et corrigee, Les editions Ouvrieres , 1990.【2350:606】
  • La chanson de la Commune : chansons et poemes inspires par la Commune de 1871, Editions ouvrieres , c1991.【2350:609】
  • Autour de la Muse rouge : groupe de poetes et chansonniers revolutionnaires, 1901-1939, Editions Ch. Pirot , c1991.【9500:500】
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【主要参考文献】

  • Brecy, Robert. Le mouvement syndical en France 1871-1921. Essai bibliographique, ouvrage publie avec la collaboration de l’Institut Giangiacomo Feltrinelli, Paris, Mouton & Co, 1963.【Kea:258】
  • Article sur Robert Andre Brecy, Dictionnaire biographique du mouvement ouvrier francais, publie sous la direction de Jean Maitron, t. XX, Les editions ouvrieres, c1983. 【2800:33:20】
  • Lefranc, Georges. Le Syndicalisme en France. Paris, Presses universitaires de Franc, 1949. ジョルジュ・ルフラン『フランス労働組合運動史』谷川稔訳、白水社文庫クセジュ、1974年 【0800:29:552】
  • Performing Revolution France 1789 ? 1945. The University of Melbourne, 2004. This is the catalogue for A Baillieu Library Exhibition held from 7 June to 30 July 2004.
  • 大森弘喜「19世紀フランスにおける労使の団体形成と労使関係」、関東学院大学経済学会研究論集 『経済系』第227集、2006年4月【ZD:83】
  • 喜安朗『革命的サンディカリズム パリ・コミューン以後の行動的少数派』河出書房新社、1972 年。再刊、五月社、1982年
  • 相良匡俊「労働運動史研究の一世紀 フランス 1890-1980」、『現代史研究』第30号、1981年6 月【ZQ:109】
  • 谷川稔『フランス社会運動史 アソシアシオンとサンディカリスム』山川出版社、1983 年 【3090:263】
  • 中野隆生「日本におけるフランス労働史研究」、『大原社会問題研究所雑誌』第516号、2001年11 月【ZK:101】
  • 福井憲彦編『アソシアシオンで読み解くフランス史』山川出版社、2006年【3610:2472】

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