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キュリー夫人からジェンダーまで

髙本善四郎氏助成図書コーナー 小展示 第37回
( TZ〈ほんの窓〉 第37号 (2015.10.1)

(※一橋大学附属図書館の請求記号を【    】内に記載しました。以下には本学に所蔵のない資料も紹介していますが、公共図書館等で読むことができます。)

史上最強のリケジョ、マリー・キュリー

 「わたしはばかだったし、今もばかだし、これからも一生ばかでしょう」1)。ノーベル賞を2度も受賞した世界一有名な「リケジョ」2) からそんなことを言われても当惑してしまいますが、これは、パリへ留学に旅立てるかどうか未だおぼつかず、運がないものと半ばあきらめかけていた22歳のマリア・スクウォドフスカが姉に宛てた手紙の一節です。1920年代までは、ヨーロッパのほとんどの国で、女子は女子用の高校へ通い、そこで教育は終わりとされていました3)。フランスでも女性は大学の教授になることができず、アカデミーも会員に入れてくれませんでした。キュリー夫人(Maria Skłodowska-Curie 1867.11.7-1934.7.4)は放射性元素ポロニウム(帝政ロシアの支配下にあった祖国ポーランドにちなんで名付けた)とラジウムの発見者。 第一次世界大戦中は第二の祖国フランスのために立ち上り4年間に20台のレントゲン車を作り野戦病院を駆け巡って200もの病院にX線装置を設置し百万人以上の負傷兵の治療に役立て、長女イレーヌを含む150人もの女性を放射線技師に養成しました4)

  1. Curie, Ève(1938). Madame Curie. エーヴ・キュリー著 ; 河野万里子訳『キュリー夫人伝』新装版. 東京 : 白水社, 2014.7, p.126「〈マーニャよりブローニャへ(ワルシャワから) 一八九〇年三月十二日〉」【2800:2360】
  2. 川島慶子「科学者マリー・キュリーの「栄光」 : ジェンダーと,放射能の「受容」をめぐる問題」『サイエンスネット』(数研出版) 第46号, p.10-13 (2013.5) [pdf]
  3. McGrayne, Sharon Bertsch(1993). Nobel prize women in science. シャロン・バーチュ・マグレイン著 ; 中村友子訳『お母さん, ノーベル賞をもらう : 科学を愛した14人の素敵な生き方』東京 : 工作舎, 1996.9, p.11
  4. 斎藤美奈子『紅一点論 : アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』東京 : 筑摩書房, 2001.9 (ちくま文庫 ; [さ-13-2]), p.256-280「科学者の恋 : マリー・スクロドフスカ・キュリー」より p.267-268【3670:1759】

決して真似してはいけません

 キュリー夫妻は放射線の危険を過小評価し、結果的に周囲で大勢が健康を害してしまいました。日常生活でも鍋を火にかけたまま出勤するなど、ずいぶん危なっかしいことをしていました。

  • 「でかける前に、マリーは物理学者の正確さで火を調節する。そうしてその火にまかせたなべに、不安げな一瞥(いちべつ)を送ると、玄関のドアを閉め、階段を大急ぎでかけおり、待っていた夫といっしょに学校にむかう。」 (前掲 エーヴ・キュリー著 ; 河野万里子訳『キュリー夫人伝』, p.211)
  • 「ピエールは自分の腕を数時間にわたってラジウムにさらして、火傷を負う実験をおこなった。」「放射線の照射によって病気にかかった細胞を殺すことができる、そしてラジウムを利用してがんや一部の皮膚病を治療できる」「だが、「特効薬」ラジウムの発見でキュリー夫妻が有名になっているあいだにも、その無防備な肉体はラジウムの放射線でむしばまれつづけていた。」 (Pasachoff, Naomi E.(1996). Marie Curie (Oxford portraits in science). ナオミ・パサコフ著 ; 西田美緒子訳『マリー・キュリー : 新しい自然の力の発見』東京 : 大月書店, 2007.9 (オックスフォード科学の肖像 / オーウェン・ギンガリッチ編集代表), p.61)
  • 「ラジウムが人体に及ぼす危険性を自ら指摘していたにもかかわらず、マリーとピエールは枕元にラジウム塩の入ったガラス瓶を置き、美しい輝きを眺めながら眠った。」(Goldsmith, Barbara(2005). Obsessive genius : the inner world of Marie Curie. バーバラ・ゴールドスミス著 ; 竹内喜訳『マリー・キュリー : フラスコの中の闇と光』東京 : WAVE出版, 2007.5 (グレート・ディスカバリーズ), p.192)
  • 「髪が薄くなるのを止めるだけではなく、もとの色にまで再生するというふれこみの放射性「キュリー・ヘアトニック」。永遠の若さを約束する「若返りクリーム」「一九二九年版のヨーロッパの薬局方には、成分が放射性であることをうたった特許医薬品が八十品目あがっている。」 (Quinn, Susan(1995). Marie Curie : a life. スーザン・クイン ; 田中京子訳『マリー・キュリー』2. 東京 : みすず書房, 1999.11, p.679)
  • 「ピエール亡き後の長い時間を、マリーはろくな防御もなしに放射性物質を扱い続けます。それでも、当時としては若死にでもない六十六歳まで生きたのですから、やはりマリーは放射線に対する耐性が、普通の人よりずっと強かったのかもしれません。」 (川島慶子『マリー・キュリーの挑戦 : 科学・ジェンダー・戦争』東京 : トランスビュー, 2010.4, p.107) 【2800:1911】

放射線科学の原点とジェンダー

 東日本大震災の原発事故、原爆投下を経験した現代日本において、制御できない力を解放してしまった放射線科学、原子物理学の原点を振り返る、金銭的利益に無頓着な清貧の科学者、聖者のような偉人伝、ゴシップ報道、押し寄せるマスコミ取材、戦争、愛国心、家事・子育てと仕事の両立、等々、マリー・キュリーとその周囲の人々の波瀾万丈の人生は、いろいろなことを多面的に考えさせてくれます。夫婦別姓・再婚禁止期間に対する最高裁の憲法判断や「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」等も報道される昨今です。ジェンダー、性同一性障害、男女共同参画、同性結婚、フェミニズム等も身近な話題になってきました。男女の体格差は事実として存在し、スポーツ競技は男女別が一般的ですが、知的競技や日常生活や仕事でも、実力差や役割分担に科学的な合理性はあるでしょうか? 生物学や文芸作品の事例にも目を向けてみましょう。

  • 川島慶子マリー・キュリーのキャリアに見る ジェンダーと科学の問題」 『女性学講演会』第16期, p.21-50 (2013)
  • 化学と歩む : チャレンジした女性たちからチャレンジする女性たちへ. 国立女性教育会館女性アーカイブセンター2011年度企画展示ファクトシート
  • Curie, Marie. Pierre Curie. With an introduction by Mrs. William Brown Meloney, and autobiographical notes by Marie Curie. New York : Macmillan, 1923
    M.キュリー著 ; 渡辺慧訳『ピエル・キュリー伝』東京 : 白水社, 1959 【Qb:A49】
    ※前掲 バーバラ・ゴールドスミス著 ; 竹内喜訳『マリー・キュリー : フラスコの中の闇と光』
    「英語版で、アメリカとカナダ限定で販売するよう要求した。そして通常の伝記とは趣を異にする、宣伝文書にも似た本を著した。その薄い本はたしかにマリー・キュリー著『ピエール・キュリー』と銘打たれてはいたが、冒頭の二七ページはミッシー・メロニーが書いた序文で、しかも序文の内容はマリーのことだった。」「最後の一〇〇ページはマリーの自伝だった。本の扉に翻訳者名が記されているが、この文章はマリー自身が英語で書いたものであり、マリーによる唯一の自伝となった。これは明らかにマリーが意図したマリー像しか知らないアメリカの読者に向けたものだった。」(p.175)
  • Curie, Marie(1923). "Autobiografia". マリー・キュリー ; 木村彰一訳「自伝」『世界ノンフィクション全集』第8巻. 東京 : 筑摩書房, 1960.10, p.169-224 【PAe:126:8】【030:6:8】
  • Joliot-Curie, Irène. "Marie Curie, ma mère". Europe. 32(108), p. 89-121 (décembre 1954)
    イレーヌ・キュリー ; 内山敏訳「わが母マリー・キュリーの思い出」『世界ノンフィクション全集』第8巻. 東京 : 筑摩書房, 1960.10, p.225-275【PAe:126:8】【030:6:8】
  • イレーヌ・キュリー著 ; 内山敏訳『わが母マリー・キュリーの思い出』東京 : 筑摩書房, 1956.4【346:167】
         p.5-87 イレーヌ・キュリー「わが母マリー・キュリーの思い出」
         p.88-92 [イレーヌ・キュリー述]「原水爆実験と人類の将来」
         p.93-137 ドミニック・ドザンティ「キュリー夫妻の恋愛物語」
  • Quinn, Susan(1995). Marie Curie : a life. スーザン・クイン ; 田中京子訳『マリー・キュリー』1;2. 東京 : みすず書房, 1999.11
    「この貧乏であるという神話の創設にはある程度マリー・キュリー自身もかかわっていた。それは当時、今日でもそうだが、研究所や研究のための資金を募るひとつの方法だった。」(2, p.639)
  • Curie, Pierre. P.キュリー「放射性物質,特にラジウムについて」. ノーベル財団著 ; 中村誠太郎, 小沼通二編『ノーベル賞講演物理学』1「1901-1907」東京 : 講談社, 1979.6, p.119-125
  • Loriot, Noëlle(1991). Irène Joliot-Curie. ノエル・ロリオ著 ; 伊藤力司, 伊藤道子訳『イレーヌ・ジョリオ=キュリー : 1897-1956』東京 : 共同通信社, 1994.11
  • Kerner, Charlotte(1986). Lise, Atomphysikerin. シャルロッテ・ケルナー著 ; 平野卿子訳『核分裂を発見した人 : リーゼ・マイトナーの生涯』東京 : 晶文社 , 1990.8【704:193】
    「一九四五年十一月、ノーベル賞受賞者のアメリカ人化学者ハロルド・ユーリーはある科学誌に「原子力と人間」というタイトルで論文を発表した。」(p.226)
  • Urey, Harold C. "The atom and humanity". Science. vol 102, issue 2653, p. 435-439 (November 1945) doi: 10.1126/science.102.2653.435
    →[再録]: International conciliation. 23(document 416), p. 790-800 (1945) 【ZNA:5】
  • Sime, Ruth Lewin(1996). Lise Meitner : a life in physics. R・L・サイム ; 鈴木淑美訳『リーゼ・マイトナー : 嵐の時代を生き抜いた女性科学者 : 1878-1968』東京 : シュプリンガー・フェアラーク東京, 2004.3【2800:1385】
  • Schiebinger, Londa L.(1989). The mind has no sex? : women in the origins of modern science. ロンダ・シービンガー著 ; 小川眞里子, 藤岡伸子, 家田貴子訳『科学史から消された女性たち : アカデミー下の知と創造性』東京 : 工作舎, 1992.10【4000:171】
  • 大江秀房著『科学史から消された女性たち : ノーベル賞から見放された女性科学者の逸話』東京 : 講談社, 2005.12 (ブルーバックス ; B-1502)
  • 川島慶子「消されたのは誰か? : ブルーバックス『科学史から消された女性たち』絶版・回収事件に見る現代日本」『特集』(工作舎) [2007.3.6]
  • Schiebinger, Londa L.(1993). Nature's body : Gender in the making of modern science. ロンダ・シービンガー著 ; 小川眞里子, 財部香枝訳『女性を弄(もてあそ)ぶ博物学 : リンネはなぜ乳房にこだわったのか?』東京 : 工作舎, 1996.10【4000:504】
  • Schiebinger, Londa L.(1999). Has feminism changed science?. ロンダ・シービンガー著 ; 小川眞里子, 東川佐枝美, 外山浩明訳 『ジェンダーは科学を変える!? : 医学・霊長類学から物理学・数学まで』東京 : 工作舎, 2002.1【4000:295】
    「コールとズッカーマンは、同じ研究分野の男性との結婚は女性科学者にとって確実に強みとなると論じた。科学者と結婚した女性科学者は、科学者以外の男性と結婚した女性よりも平均で四〇%多く論文を発表し、夫が妻よりも確立した研究者であるときはそれ以上である。おそらく夫の研究仲間と知り合うことによって、妻の生産性は高められるのだろう。」(p.127)
  • Schiebinger, Londa L.(2004). Plants and empire : colonial bioprospecting in the Atlantic world. ロンダ・シービンガー著 ; 小川眞里子, 弓削尚子訳『植物と帝国 : 抹殺された中絶薬とジェンダー』東京 : 工作舎, 2007【4900:1533】
  • 小川眞里子「研究会(講演) ロンダ・シービンガーの科学史・科学研究政策」 『F-GENSジャーナル1, p.155-164 (2004)
  • ジェンダーがわかる。』東京 : 朝日新聞社, 2002.4 (AERA Mook ; 78)【3670:981】
  • 芥川龍之介(1918)「奉教人の死」『芥川龍之介全集』第3巻. 東京 : 岩波書店, 1996.1, p.249-264【9180:12:3】
    • 「聖マリナ」斯定筌(著者)『聖人伝』再版. 東京 : 武市誠太郎, 1903.2, p. 291丁裏-301丁表
    • 七九「聖女マリナ」. Jacobus de Voragine. Legenda aurea. ヤコブス・デ・ウォラギネ著 ; 前田敬作, 山口裕訳『黄金伝説』2. 東京 : 平凡社, 2006.6 (平凡社ライブラリー ; 578), p.328-330【0800:36:578】
    • 八七「聖女テオドラ」. Jacobus de Voragine. Legenda aurea. ヤコブス・デ・ウォラギネ著 ; 前田敬作, 山口裕訳『黄金伝説』2. 東京 : 平凡社, 2006.6 (平凡社ライブラリー ; 578), p.449-456【0800:36:578】
    • 一二八「聖プロトゥスと聖ヒュアキントゥス」. Jacobus de Voragine. Legenda aurea. ヤコブス・デ・ウォラギネ著 ; 前田敬作, 西井武訳『黄金伝説』3. 東京 : 平凡社, 2006.8 (平凡社ライブラリー ; 582), p.427-433【0800:36:582】
    • 一四四「聖女ペラギア」. Jacobus de Voragine. Legenda aurea. ヤコブス・デ・ウォラギネ著 ; 前田敬作, 今村孝訳『黄金伝説』4. 東京 : 平凡社, 2006.10 (平凡社ライブラリー ; 592), p.71-76【0800:36:592】
    • 一四五「聖女マルガリタ」. Jacobus de Voragine. Legenda aurea. ヤコブス・デ・ウォラギネ著 ; 前田敬作, 今村孝訳『黄金伝説』4. 東京 : 平凡社, 2006.10 (平凡社ライブラリー ; 592), p.77-80【0800:36:592】
    • 山中知子「『奉教人の死』と<モナコパルテノス>」『追手門学院大学文学部紀要』27, p.277-292 (1993.5)
      山中知子「『奉教人の死』と“モナコパルテノス”」. 山中知子『異文化アラベスク : 神話と伝説』京都 : 人文書院, 2012.2, p.141-162
    • France, Anatole. "Sante Euphrosine". 伊吹武彦訳「聖女ユフロジーヌ」『アナトール・フランス小説集』新装復刊. 7「螺鈿の手箱 : 短篇集」東京 : 白水社, 2000.9, p.57-73
  • 芥川龍之介(1922)「六の宮の姫君
    • 巻第19「六宮姫君夫出家語(ろくのみやのひめぎみのをうとしゅつけすること)」第5. 馬淵和夫, 国東文麿, 稲垣泰一校注・訳『今昔物語集』2. 東京 : 小学館, 2000.5 (新編日本古典文学全集 ; 36), p.458-466
    • 28「曲殿姫君事」高橋貢全訳注『古本説話集』上. 東京 : 講談社, 2001.6 (講談社学術文庫;[1489]), p.【0800:34:1489】
    • 巻第26「東下者宿人家値産語(あづまにくだるものひとのいへにやどりてさんにあふこと)」第19. 馬淵和夫, 国東文麿, 稲垣泰一校注・訳『今昔物語集』3. 東京 : 小学館, 2001.6 (新編日本古典文学全集 ; 37), p.564-566【9180:173:37】
    • 「宿命」柴田宵曲『妖異博物館 ; 續妖異博物館』東京 : 小沢書店, 1991.8 (柴田宵曲文集 ; 第6巻), p.【9180:41:6】
    • 干宝著 ; 竹田晃訳『捜神記』東京 : 平凡社, 2000.1 (平凡社ライブラリー ; 322), p.297-299「242 戸外の声」, p.582-584「448 運命の神」【0800:36:322】
    • 巻第15「造悪業人最後唱念仏往生語(あくごふをつくるひとさいごにねむぶつをとなへてわうじやうずること)」第47. 馬淵和夫, 国東文麿, 稲垣泰一校注・訳『今昔物語集』2. 東京 : 小学館, 2000.5 (新編日本古典文学全集 ; 36), p.134-136【9180:173:36】
    • 菊池寛六宮姫君
      • 『日本現代文学全集』57「菊池寛・久米正雄集」東京 : 講談社, 1967.2, p.137-143
      • 菊池寛『新今昔物語』東京 : 文藝春秋, 1988.10 (文春文庫), p.9-27
    • 北村薫(1992)『六の宮の姫君』東京 : 東京創元社, 1999.6 (創元推理文庫)
  • 井筒三郎「おまえなしには生きられない。おまえとともにも、また……。 (ことばの憑依体 ; 15)」『翻訳の世界』9(6), p.80-81 (1984.6)【ZP:186】
    「つまり、女は男の一部が肥大化したものなのです。あばら骨と書かれてはいますが、それは要するに心の骨のことであり、男の自我なのですから、男の自我の肥大化したものが女だと言えます。女は男のハイパー・エゴなのです。」(p.80)
    「  しかし今のところ、女は男の「内部」に穿(うが)たれた「外部」として、男を脱構築(デリダ)しようとしているのです。男は内部に外部を持つ存在なのです。」(p.80)
    「眠らされてあばら骨を一本抜き取られたアダムは、実は、まだ眠ったままなのです。神はアダムをお起しにはならなかったのです。創世記のどこにも、アダムが目覚めたという記述はありません。女を見て「わが骨の骨」とか「わが肉の肉」とか言ったように書かれていますが、そんな訳のわからない言葉はウワゴトに決っています。たぶん現在にいたるまで、エデンの東あたりで永遠の眠りについているはずです。」(p.81)
  • 井筒三郎「過剰観相文章術」『みんなの文章教室 : 何もないのに,どう書くか?』東京 : JICC出版局, 1983.4 (別冊宝島 ; 34号), p.104-119
    「「ひろみ、太るわよ、そんなに食べたら」
    「いいの、太っても」
    「だって、おまえの体重……」
    「体重なんかじゃないのよ。ほら、鏡見て。ちっとも美人じゃないし、筋肉なんかモリモリして、ごっつい体なんだもん」
    「そりゃ、おまえ、男なんだもの……」
    「なんで男なんかに産んだんだ!」
      と、スタン・ハンセンのような腕で母親を殴る。母親の頭は胴体から離れ、庭の隅にあるポチの小屋の前までころがっていった。小屋のなかでポチは、どのような眼をして母親の首を見ているのだろう。」(p.112-114)
  • 伊藤公雄, 牟田和恵編『ジェンダーで学ぶ社会学』新版. 京都 : 世界思想社, 2006.11【3670:1097】
  • 上野千鶴子編『構築主義とは何か』東京 : 勁草書房, 2001【3610:1776】
  • 宇能鴻一郎『完全な女』東京 : 学習研究社, 1964 (芥川賞作家シリーズ), p.7-188
  • 大岩川嫩「日本 : いま歴史の節目にたつ、わたしたちの名前」. アジア経済研究所企画 ; 松本脩作, 大岩川嫩編『第三世界の姓名 : 人の名前と文化』東京 : 明石書店, 1994, p.385-410【2800:77】
  • 小川眞里子著『フェミニズムと科学/技術』東京 : 岩波書店 , 2001 (双書科学/技術のゆくえ)【4000:430】  
  • 岸田秀「性的唯幻論」. 岸田秀『ものぐさ精神分析』東京 : 青土社, 1977, p.141-149【1400:325】
    岸田秀「性的唯幻論」. 岸田秀『ものぐさ精神分析』東京 : 中央公論社, 1982 (中公文庫), p.130-137
  • 岸田秀「性差別は文化の基盤である」. 岸田秀『ものぐさ精神分析 : 二番煎じ』東京 : 青土社, 1978, p.99-125【1400:324:二】
    岸田秀「性差別は文化の基盤である」. 岸田秀『続ものぐさ精神分析』東京 : 中央公論社, 1982 (中公文庫), p.110-132
  • 木村涼子, 伊田久美子, 熊安貴美江編著『よくわかるジェンダー・スタディーズ : 人文社会科学から自然科学まで』京都 : ミネルヴァ書房, 2013 (やわらかアカデミズム・「わかる」シリーズ)【3670:1678】
  • 木本喜美子, 貴堂嘉之編 ; 赤石憲昭 [ほか著] 『ジェンダーと社会 : 男性史・軍隊・セクシュアリティ』東京 : 旬報社, 2010 (一橋大学大学院社会学研究科先端課題研究叢書 ; 5)【3670:1449】
  • 沓掛良彦『サッフォー : 詩と生涯』東京 : 平凡社, 1988【9900:5】
    「九巻あったと伝えられるレスボスの詩女神(ムーサ)の作品の九〇パーセント以上は、二千五百年あまりの歳月と、愚かなキリスト教徒の手によって、永久に失われてしまった。」(p.4)
    「  キリスト教支配の下にあったビザンツ帝国において、サッフォーの作品は二度にわたって焚書の憂き目を見ている。最初の焚書は四世紀末すなわち三八〇年頃に、コンスタンティノポリスの大主教であったナジアンゾスのグレーゴリオスの指示によっておこなわれ、恋愛を扱ったギリシア詩人たちの作品が大量に焼き捨てられ、堙滅した。中でも教会側から最も激しく敵視されたのが、その前世紀に護教家タティアーノスから「淫売婦で色気狂い」だとの悪罵をあびせられ攻撃されていたサッフォーであった。かの悪辣な大主教は、どこであれサッフォーの作品を見つけ次第焼き捨てるように命じたが、その命令は柔順なキリスト教徒たちによって実行され、惜しんでもあまりある貴重な作品が火中に投じられ、あたら煙と化してしまったのである。 ... 。それでもなお堙滅をまぬかれた作品もなにほどかはあったらしい。しかし、それすらもついに二度目の焚書に遭い、ここにおいてサッフォーの作品は、後にその一部が「発見」されたり、後世の古典学者たちの血のにじむような努力によってテクストのわずかな部分が回復するまで、読者の前からほぼ完全に消え失せることとなったのである。 ... 。四世紀末の焚書をかろうじてまぬかれ生き残っていたサッフォーの作品も、一〇七三年教皇グレゴリウス七世の命により、ローマとコンスタンティノポリスで公的な処置として火に投じられたのである。」(p. 360-361)
  • 中務哲郎「古典の運命 : ギリシア文学はどれだけ残ったか (読書の周辺)」『WEB大学出版第38号
    「380年頃、コンスタンティノプルの総主教ナジアンゾスのグレゴリオスによってギリシアの恋愛詩が大量に火中に投ぜられた時、サッポーの詩はその蛮行の最大の標的であった。さらに、この厄を辛うじて生き延びた作品も、1073年、教皇グレゴリオス7世による焚書によって完全に地上から姿を消してしまった。現在われわれが手にする「サッポー詩集」は、多種多様な古代文献にたまたま引用されて残る断簡零墨を、近代の学者が見つけ出し、編んだものにすぎない。完全な姿をとどめるのは28行から成る「アプロディテ祷歌」ただ1篇、他はすべて断片である。」
  • 桑村哲生『性転換する魚たち : サンゴ礁の海から』東京 : 岩波書店, 2004.9 (岩波新書 ; 新赤版 909) 【0800:33:新赤909】
    「ファインディング・ニモ」という人気アニメーション映画では、「カクレクマノミ」が主人公になっている。」 「まず、お母さんがいなくなると、「お父さん」はやがて性転換してメスになってしまうはずだ。そして、卵から孵化した仔魚は浮き上がって流されていってしまうので、イソギンチャクで一緒にすむようになった「息子」は、卵からかえったニモではなくて、どこかで生まれて流れ着いた他人の子と入れ替わっているはずだ。そしてそれは、まだ未成熟なので、息子とも娘ともよぶことはできない。つまり本当は、「ニモだと思って育てていた息子だか娘だかまだわからない養子を、お父さんがいつのまにか性転換してお母さんになって探しに行きました」というお話なのである。そして、二人が出会った暁には、「お父さん」と「ニモ」は夫婦になるはずだ。血はつながっていないので問題はない。お父さんがメス、ニモがオスとしてペアで繁殖を開始する……というハッピーエンド(?)のお話になる。」(p.23-24)
  • 桑村哲生著『子育てする魚たち : 性役割の起源を探る』東京 : 海游舎, 2007.8 【4800:161】
    「子育ては誰がやるべきでしょうか。「夫婦が協力すべきに決まっているでしょう」という方もいれば、「母親の役目に決まっとる」と主張する方もおられるかもしれません。このような思想信条に基づく議論はしばしば平行線をたどって決着がつかないことが多いものですが、ちょっと見方を変えて、人間以外の動物で性役割がどうなっているのかを知ることが参考になるかもしれません。」(p.iii)
  • 小林緑編著『女性作曲家列伝』東京 : 平凡社, 1999 (平凡社選書 ; 189)【0800:10:189】
  • 斎藤美奈子『モダンガール論 : 女の子には出世の道が二つある』東京 : マガジンハウス, 2000 【3670:862】
  • 斎藤美奈子編『男女という制度』東京 : 岩波書店, 2001.11 (21世紀文学の創造 / 池澤夏樹 [ほか] 編 ; 7)【9000:224:7】
  • 佐藤文香『軍事組織とジェンダー : 自衛隊の女性たち』東京 : 慶應義塾大学出版会, 2004.12【3670:1012】
  • 篠田節子『女たちのジハード』東京 : 集英社, 2000.1 (集英社文庫)
  • 篠田節子『百年の恋』東京 : 朝日新聞社, 2003.10 (朝日文庫)【9100:2654】
  • 篠田節子『静かな黄昏の国』[新装版]. 東京 : 角川書店 (発売: 角川グループパブリッシング), 2012.3 (角川文庫)【9100:2647】
  • 篠田節子『転生』東京 : 講談社, 2011.4 (講談社文庫)【9100:2653】
    「核の平和利用を知らないのか。国際社会は何かとうるさい。だが、核だからといって人殺しするばかりじゃない。注意深く使えば危険はない。放射能がどうのこうのと素人どもが騒いでいるが、火球が地表にさえ出なければ、何も心配はいらん。爆発でできたチムニー状岩礫(がんれき)に放射能は閉じ込められるのだ。失敗しなければ汚染など起きない。チベット人だけじゃない。漢人にも、迷信に囚われた者たちが大勢いる。世界中に、そういう反対論者がいる。しかし最先端科学が引き起こした事故などというのは、科学技術それ自体に問題があったわけじゃない。ヒューマンエラーに過ぎない。それを愚か者たちは核が悪い、コンピュータが悪いとはやし立てる。もちろん何にしても、絶対はない。多少の汚染はあるだろうが、それによってもたらされる福音(ふくいん)に比べれば、微々(びび)たるものだ」(p.363)
  • 寿岳章子『日本語と女』東京 : 岩波書店, 1979.10 (岩波新書 ; 黄版99)【0800:33:黄99】【030:2:3-99】
  • 太宰治(1939)「女生徒
  • 橘木俊詔『女性と学歴 : 女子高等教育の歩みと行方』東京 : 勁草書房, 2011【3700:4062】
  • 種村季弘著『ビンゲンのヒルデガルトの世界』東京 : 青土社, 2002【1900:668】
  • 玉川裕子編著『クラシック音楽と女性たち』東京 : 青弓社, 2015【7600:1067】
  • 東京弁護士会女性の権利に関する委員会編『これからの選択夫婦別姓 : <個と姓の尊重>女と男の自由な関係』東京 : 日本評論社, 1990【3248:39】
  • 中村桃子『ことばとジェンダー』東京 : 勁草書房, 2001.2【8000:351】
  • 中村桃子『「性」と日本語 : ことばがつくる女と男』東京 : 日本放送出版協会, 2007 (NHKブックス;1096)【8000:624】
  • 中村桃子編『ジェンダーで学ぶ言語学』京都 : 世界思想社, 2010.4【8000:754】
  • 中村桃子『女ことばと日本語』東京 : 岩波書店, 2012.8 (岩波新書 ; 新赤版1382)【0800:33:新赤1382】
  • 二宮周平『家族と法 : 個人化と多様化の中で』東京 : 岩波書店, 2007.10 (岩波新書 ; 新赤版1097)【0800:33:新赤1097】
  • 長谷川真理子『雄と雌の数をめぐる不思議』東京 : NTT出版, 1996.12【4800:72】
    「雄と雌の定義はなんでしょう? それは、個体が生産する配偶子の大きさの違いによります。」「大きい配偶子(つまり卵子)を生産する個体を雌と呼び、小さい配偶子(つまり精子)を生産する個体を雄と呼ぶのです。」(p.9)
    「哺乳類 ... おとなの雌と雄のからだの大きさを比べると、差がある場合には、雄のほうが大きいものがほとんどです。」(p.119)
    「学問をさせるかさせないかなどという、いわば瑣末な話に留まることなく、場合によっては、どちらか一方の性の子どもに食物や医療を十分に与えないことになり、最終的には子殺しにも発展することになります。」(p.221)
    長谷川真理子『雄と雌の数をめぐる不思議』東京 : 中央公論新社, 2001.11 (中公文庫, [は-53-1])
  • 林博史, 中村桃子, 細谷実編著『暴力とジェンダー : 連続講義』東京 : 白澤社 (発売: 現代書館), 2009.6【3670:1391】
  • 平塚らいてう(1911)「元始女性は太陽であつた : 『青鞜』発刊に際して」
    青鞜』東京 : 大月書店 , 1983.6 (平塚らいてう著作集 ; 1), p.14-27【KAe:75:1】【586:141:1】
    堀場清子編『『青鞜』女性解放論集』東京 : 岩波書店 , 1991.4 (岩波文庫 ; 青181-1), p.14-28 【0800:32:E/133】【030:1:D-181-1】
  • 広瀬隆『東京に原発を!』東京 : 集英社, 1986.8 (集英社文庫) 【5400:217】
  • 深沢七郎「東北の神武たち」『深沢七郎傑作小説集』 3「千秋楽・東北の神武たち」東京 : 読売新聞社, 1970.5, p.249-324【218:307:3】
    「惣領が生れた家へは、
    「跡取りを見せてくれなんしょう」
    と言って挨拶にも行くのだが、次男三男のときは、
    「ヤッコじゃァ」
    と、挨拶に行かなくてもよいのである。
    女が生れれば、
    「姫ッこで目出てえがんす」
    と、祝いの挨拶に行くことにきまっていた。姫ッこは惣領のところへしか嫁に行かないし、余れ
    ば遠くへ売れるのである。だから、女が生れることは有難いことだった。」(p.255-256)
  • 福本義憲『はじめてのドイツ語』東京 : 講談社 , 1991.10 (講談社現代新書 ; 1073)
    「英語では「性」といえば、もっぱら人称代名詞の he、she が問題になるぐらいで、それも「自然の性」、つまり「男」か「女」かの区別に限られています。特別な「擬人化」の場合を除いて、名詞に「性別」があるというのは、英語では考えられないことですし、それは私たちにとっても同様です。
       しかし、「名詞の性」をもたない英語や日本語は、じつは世界の言語から見れば、必ずしも多数派というわけではないのです。
    「名詞の性」というのは、要するに名詞が何種類かのグループに分かれているということです。ですから、別に「性」という言葉を使わないで、たとえば、1類名詞・2類名詞・3類名詞とか、A類名詞・B類名詞・C類名詞と名づけても、いっこうにかまわないのです。ただ、ヨーロッパの言語ではこのグループ分けを、伝統的に「男性」「女性」「中性」と呼んでいます。」(p. 48)
    「  ドイツ語は有「性」言語であると同時に、有「格」言語です。いきなり「格」というと、ひどく難解な文法用語の感じがしますが、私たちの日本語だってちゃんと「格」をもっています。
       日本語は名詞の「性」こそもちませんが、有「格」言語である点はドイツ語と同じです。たとえば、「その女がその男を知っている」と言ったとき、主語を表わす「その女が」の「が」、目的語を表わす「その男を」の「を」は、格助詞と呼ばれます。つまり、格助詞は名詞や代名詞について、文の中での相互の関係を表示するわけです。
       ドイツ語の「格」の働きも、基本的にこれとまったく同じです。ただ、手段が違うのです。日本語は格助詞を使いますが、ドイツ語は名詞や代名詞の「格変化形」によって示されます。しかも、名詞そのものというよりも、冠詞の形によって格が表わされるのです。」(p.100)
  • 星新一「月の光」『ボッコちゃん・どこかの事件』東京 : 新潮社, 1979.10 (新潮現代文学 ; 67), p.21-25【9180:68:67】
  • 宮本百合子(1946)「キュリー夫人」『宮本百合子全集』第14巻. 東京 : 新日本出版社, 1979.7, p.408-418【PAe:238:14】【202:175:14】
  • 宮本百合子(1939)「キュリー夫人の命の焔 : 彼女を不死にするものは何か、」『宮本百合子全集』第17巻. 東京 : 新日本出版社, 1981.3, p.544-549【PAe:238:17】【202:175:17】
  • 向田邦子(1981)「三角波」『男どき女どき』61刷改版. 東京 : 新潮社, 2011.7 (新潮文庫), p.55-74
  • 諸橋孝一『猫が溺れる前に』国分寺 : 新風舎, 1997.11
    「「いいかね、男は外へ出て狩りをする、女は子供を産んで育てる。これが生き物の基本なんだ。どう転んでもそれは変わらないんだ。動物でも同じだ。ということはそれがすべてに共通する雄と雌、男と女の役割というわけだ。雌は子供を産んで、それを大事に育てる。それに対して雄は、餌を運び、外敵から雌と子供を守り、子供を躾る。決して楽なことじゃない。常に身を危険にさらさなければならないし、たとえばライオンの雄が子供を谷底に落して自力で上ってきたものだけを育てるという話を、あんたも知っているだろう。そういうことができるのが雄という性なんだ。男が外で楽をしていると思って男の真似をしようとすれば、そこまでやらなければならん。しかしそれは女にはできない。だが、それが強い子供を育てて種を存続させてゆくために必要な雄の役割なんだ。極端に言えば、一国の自立や繁栄はそれによって保たれてゆくものなんだ。ライオンの雄が子供を突き落すという例えにはそういう重要な意味があるんだ。それが自然の法則であり、役割ということだ。人間だって同じだ。わかったか!」
       昂奮混じりの声で一気に喋って満足気に笑みを浮かべかける父親を見て、腕を組んだままずっと立っていた金井先生が失笑した。
    「あんた、ばかかね」金井先生はそう言った。「いまどきそんなことを本気で信じている人間がいるとは思わなかったよ。私もべつにご婦人の味方をするためにここへ来たつもりではなかったが、気が変わった」
    「なんだと」
    「まあ、聞きなさい。聞いておいて損はないから」そう言って金井先生は立脇さんがしたように、むっとしている父親を手で制した。「いいかね、ライオンは実際には子供を谷底に落したりはせんし、狩りをするのは雄ではなくて雌だ。それに似たこととしては、ある時期がくると親がつきまとう子供を邪険に突き放して自分で餌を捕ることを覚えさせるという行動が動物の世界では広く見られるが、それは自立を促すのであって、あんたの言うような異常な厳しさで生き残れるものとそうでないものを区別するのとはまったく意味が違う。それに、そうやって子供を突き放す役目をするのは雄とは限らないし、子供を育てる役割というのも、動物のすべてにわたってあんたの言うように雌だけとはっきりと分かれているわけじゃない。ペンギンには雄が卵をかえす種類もいるし、蛙にも魚にも昆虫にもそういうのがいる。つまり、環境や条件に応じて役割は多様に存在している。にもかかわらず、あんたのようにライオンが子供を谷底に突き落すなどという嘘っぱちを言う人間が未だにいなくならないのは、それを例に引くことによっていろいろと都合のいいことがあるからだよ。たとえば、男というのはこういうものだ、教育というのはこういうものだと。それを少しでも本当らしく思わせたくて、ライオンに対する人間の勝手なイメージを利用しているだけさ。でっちあげもいいとこだ。ライオンに人間の言葉が理解できるとしたら、ライオンはさぞかし迷惑がるだろうね」
       金井先生がそう言うと、あちこちからかすかに笑いが起こった。しかし父親にはそれを笑う余裕など当然ありはしない。
    「そんなことはあんたが専門家だから知っとることで、一般の人間は知らんことだ。私はこれまでずっと世の中で言われ続けてきたことを言っているだけのことじゃないか。それをそうやって専門知識をひけらかして相手に恥をかかそうというのは、ずいぶん汚いやり方じゃないのかね」
    「お言葉を返すようで申しわけないが、私が言ったことは専門知識でもなんでもないよ。全部、孫と一緒にテレビを観ていたらやっていたことばかりだ。こんなことはいまどきの小学生でも知っとる。知らんのはあんたや私みたいな頭にかびの生えた大人だけだよ」」(p.303-306)
  • 柳下み咲, 山田敏之「各国の夫婦の姓についての法」『外国の立法』31(4), p.95-119 (1992.9) 【ZM:101】
  • 米沢富美子著『二人で紡いだ物語』武蔵野 : 出窓社, 2000【2800:2388】
    米沢富美子著『二人で紡いだ物語』東京 : 中央公論新社, 2011 (中公文庫 ; [よ-44-1])
  • 若桑みどり著『女性画家列伝』東京 : 岩波書店, 1985 (岩波新書 ; 黄-318)【0800:33:黄318】【030:2:3-318】
  • 若桑みどり著『戦争がつくる女性像 : 第二次世界大戦下の日本女性動員の視覚的プロパガンダ』東京 : 筑摩書房, 1995【3670:651】
  • 渡部昇一『知的生活の方法』東京 : 講談社, 1976.4 (講談社現代新書 ; 436)【139:37】
    「  二人とも学者、という夫婦はどうであろうか。同じ専門であれば、本の利用価値も二倍になるということもある。事実そういう形の結婚で成功している例が日本にもある。この場合、ご主人の方は学者としての名声を確立し、夫人の方も女性の学者として一流という評判である。しかしこのご夫妻には子供がないと聞いている。子供が二、三人おれば、どちらか側の姑さんが献身的に孫をみてくれないかぎり、奥さんの方が現役の一流の学者でありつづけることはむずかしかろう。
      K氏のような特例を除き、男も女も、十全なる知的活動を維持するには、結婚しても軽々に子供をつくるべきではないであろう。
      夫婦の専門が同じであれば、夫より妻がすぐれていることがはっきりする場合は、危険が生ずる。先にあげた学者夫婦の例では、そのご夫婦のことを比較的よく知っている方の話によると、夫人の方が、学問的にもご主人を尊敬して見上げるような感じなのだそうなのである。それならうまくいっても不思議はないわけだ。専門が少しでもずれておれば危険は多少緩和される。しかしキューリー夫人ですら、夫を学問的に尊敬していたことを忘れてはならないだろう。
      知的生活を求める男女がいて、子供を作ることを断念しているとすれば、わざわざ結婚する必要がないでないか、という議論が出てくるであろう。まさにそのとおりなので、サルトルとボーボワールがよい例である。この二人は四十年以上も友人として生活を共にし、それぞれ旺盛な知的活動を示した。結婚さえしなければ、関係が自由であるからお互いに節度が生じ、相手の知的活動をさまたげることはしなくなるだろう。こうした場合でも、男性パートナーを女性パートナーの方で仰ぎ見るような感じがある方が一般的にいって安定性があるようである。ボーボワールは少女時代から抜群の才女であって、どこでも一番を通したが、パリの大学ではどうしても一番になれなかった。そこで「いつも私より成績のよいのはだれだろう」と思ってみたら、それがサルトルだったとのことである。」(p.212-213)
  • 第53回「禅主(さんぞう) 河水を飲んで懐妊すること  黄婆(ごじょう) 聖泉を運んで堕胎すること」」. 中野美代子訳『西遊記』6. 改版. 東京 : 岩波書店 , 2005 (岩波文庫 ; 赤020-6), p.93-139【0800:32:C/1066/6】
  • 巻第11. 1「僧伽羅国」玄奘著 ; 水谷真成訳『大唐西域記』東京 : 平凡社, 1971.11 (中国古典文学大系 ; 第22巻), p.338-347【9280:2:22】【PAe:163:22】
  • 井上靖(1963)「羅刹女国」『楼蘭』東京 : 岩波書店, 1981.7 (井上靖歴史小説集 ; 第2巻), p.299-315【9180:29:2】
  • 巻5「僧迦羅・五百人の商人、共に羅刹国に至る語」第1. 国東文麿全訳注『今昔物語集』5. 東京 : 講談社, 1981.5 (講談社学術文庫 ; [309]), p.23-50【0800:34:309】
  • 巻第6「僧伽多、羅刹国に行く事」第9. 小林保治, 増古和子校注・訳『宇治拾遺物語』東京 : 小学館, 1996.7 (新編日本古典文学全集 ; 50), p.216-223【9180:173:50】
  • 巻第23「相撲人大井光遠妹強力語」第24. 馬淵和夫, 国東文麿, 稲垣泰一校注・訳『今昔物語集』3. 東京 : 小学館, 2001.6 (新編日本古典文学全集 ; 37), p.233-237【9180:173:37】
  • 巻第13「大井光遠の妹強力の事」第6. 小林保治, 増古和子校注・訳『宇治拾遺物語』東京 : 小学館, 1996.7 (新編日本古典文学全集 ; 50), p.407-409【9180:173:50】
  • 稲賀敬二校注・訳「虫めづる姫君」『落窪物語 ; 堤中納言物語』東京 : 小学館, 2000.9 (新編日本古典文学全集 ; 17), p.405-420【9180:173:17】
  • 山岸徳平『堤中納言物語全註解』東京 : 有精堂, 1962.11【212:45】
    「萎黄病(Chlorosis又はChlorose)は、英国人などの green sickness と称する病気の名称で、十三四歳から二十歳頃までの妙齢な婦人に限られた病気である。」(p.51)
  • 「虫愛づる姫君」山岸徳平訳注『堤中納言物語 : 付現代語訳』東京 : 角川書店, 1963.12. 34版, 2000.6 (角川文庫 ; 2202 . 角川ソフィア文庫 ; 21), p.25-39; [現代語訳] p.143-157
    「この姫君は本文の描写から推定すると、医学上の萎黄病患者そのままの症状なのである。萎黄病は十三、四歳から二十歳ごろまでの妙齢の婦人に限られた病気である。男性には絶対にない。不健康な状態に置かれたり、すわってばかりいたりして運動不足であったりすると、甲状腺、卵巣などのホルモン分泌機能に障害が起こって、貧血症、発育異常、歯槽膿漏あるいは膿傷を起こす。そのほか「虫愛」でるような異嗜性を生じ、副腎皮質部の機能に異常が起これば男性化もしくは女性脱化にも進む。この姫君にはその傾向が多分にある。」(p.26)
  • 植木雅俊訳『法華経 : 梵漢和対照・現代語訳』下. 東京 : 岩波書店 , 2008.3【1800:338:下】
    「するとその時、一切世間の〔人々の〕眼前において、また長老シャーリプトラの眼前において、その女性の性器が消えてなくなり、男性の性器が現われ33、そして、サーガラ龍王の娘は、自ら真の菩薩であることをはっきりと示した。」(p.99)
  • 江國滋 [ほか] 責任編集『古典落語大系』第8巻「上方篇」東京 : 三一書房 , 1969.7【9100:739:8】
    「女の悪口をいうのに「(おこ)りゃふくれる、 (どつ)きゃ泣く、殺せば夜中に化けて出る」というのがある」(p.176)
  • Apollinaire, Guillaume. Les mamelles de Tirésias. 安堂信也訳「テイレシアスの乳房」. 『アポリネール全集』3. 東京 : 青土社 , 1979, p.277-371 【9580:18:3】
  • Apollodoros. Bibliotheke. アポロドーロス ; 高津春繁訳『ギリシア神話』第29刷改版. 東京 : 岩波書店, 1978.6 (岩波文庫 ; 赤110-1)【0800:32A:C/757】
    「第九番目の仕事として、ヘーラクレースにヒッポリュテーの帯を持って来ることを命じた。彼女はテルモードーン河岸に居を構え、戦争に偉大な民族であるアマゾーンたちを支配していた。というのは、彼女たちは武を練り、交合して子供を生むことがあれば、女の子は養育し、右の乳房は槍を投げる邪魔にならぬように()め取り、左の乳房は養育のために残しておくのであった。ヒッポリュテーは他のすべての女たちの第一人者である(しるし)としてアレースの帯を持っていた。エウリュステウスの娘アドメーテーがそれを欲しがったので、ヘーラクレースがこれを獲得すべく(つか)わされたのである。」(巻二巻5 より p.95-96)
  • Aristophanes. Lysistrate.
    アリストパネース ; 丹下和彦訳「リューシストラテー」. 野津寛, 平田松吾, 橋本隆夫訳『アリストパネース』3. 東京 : 岩波書店, 2008 (ギリシア喜劇全集 ; 3), p.1-101【9900:90:3】
    アリストパネース ; 高津春繁訳『女の平和』第22刷改版. 東京 : 岩波書店 , 1975.6 (岩波文庫 ; 赤108-7)【0800:32A:C/749】
  • Balzac, Honoré de(1830). Sarrasine「サラジーヌ」バルザック作 ; 芳川泰久訳『サラジーヌ : 他三篇』東京 : 岩波書店, 2012.9 (岩波文庫 ; 赤530-11), p.5-76【0800:32:C/1201】
  • Barthes, Roland(1970). S/Z. ロラン・バルト著 ; 沢崎浩平訳『S/Z : バルザック「サラジーヌ」の構造分析』東京 : みすず書房, 1973.9【9500:218】
  • Beauvoir, Simone de(1949). Le deuxième sexe. 『第二の性 : 決定版』東京 : 新潮社 , 1997.4
    1. Les faits et les mythes. ボーヴォワール ; 井上たか子, 木村信子監訳「事実と神話」【3670:440:1】
    2. L'expérience vécue. ボーヴォワール ; 中嶋公子, 加藤康子監訳「体験」【3670:440:2】
    井上たか子, 木村信子「訳者あとがき」ボーヴォワール [著] ; 『第二の性』を原文で読み直す会訳『第二の性 : 決定版』1「事実と神話」東京 : 新潮社, 2001.4 (新潮文庫 ; ホ-4-10), p.552-557
    「 日本でも一九五三~五五年に生島遼一訳で新潮社から五巻本で出版されている。」(p.552)
    「 旧訳は、原書の刊行後四年という驚くべき速さで出版され、新しい女性論として話題になった。」(p.553)
    「 ①訳書の構成の問題。原書は二巻本であるが、旧訳のI~III巻は実は原書の第II巻にあたり (旧訳第III巻では、章分けにも変更がある。 ... )、原書の第I巻は旧訳のIV~V巻になっている。そのため、本来なら最初に位置するべき「序文」が、旧訳ではやっとIV巻に現われ、「結論」がその前のIII巻の終わりにあるという奇妙な構成になっている。これでは、ボーヴォワールがなぜこの本を書いたのか、またどういう観点に立って書いたのかが不明瞭(ふめいりょう)になり、論理の流れがつかめなくなる。」(p.553)
    ボーヴォワール [著] ; 『第二の性』を原文で読み直す会訳『第二の性 : 決定版』2「体験」上巻. 東京 : 新潮社 , 2001.4 (新潮文庫 ; ホ-4-11)
    「人は女に生まれるのではない、女になるのだ。」(p.12)
    「文明全体が、男と去勢者の中間物、つまり女と呼ばれるものを作りあげるのである。他人の介在があってはじめて個人は〈他者〉となる。」(p.12)
    「十二歳まで少女は同年齢の少年たちと同じくらいたくましく、同じような知的能力を示す。彼らと競い合うことのできない領域は一つもない。少女が思春期のかなり前から、またときには幼い頃から、性的に特定化されているように見えるのは、不思議な本能によって少女が受動性、()び、母性へと直接運命づけられているからではない。子どもの生活には、ほぼ最初から他人が介在していて、生まれたばかりの頃から子どもにその使命が強制的に吹き込まれるからである。」(p.13)
  • Caplan, Paula J.; & Caplan, Jeremy B.(1994, 3rd ed. 2009). Thinking critically about research on sex and gender. ポーラ・J・カプラン, ジェレミー・B・カプラン著 ; 森永康子訳『認知や行動に性差はあるのか : 科学的研究を批判的に読み解く』京都 : 北大路書房, 2010.11【1400:1360】
  • Fausto-Sterling, Anne(1985). Myths of gender : biological theories about women and men. アン・ファウスト=スターリング著 ; 池上千寿子, 根岸悦子訳『ジェンダーの神話 : 「性差の科学」の偏見とトリック』東京 : 工作舎, 1990.5【4900:1567】
  • Hoffmann, Freia(1991). Instrument und Körper : die musizierende Frau in der bürgerlichen Kultur. フライア・ホフマン著 ; 阪井葉子, 玉川裕子訳『楽器と身体 : 市民社会における女性の音楽活動』東京 : 春秋社, 2004 【7600:654】
  • 「274 誰が何を発見・発明したか」Hyginus. Fabulae. ヒュギーヌス ; 松田治, 青山照男訳『ギリシャ神話集』講談社, 2005 (講談社学術文庫 ; 1695), p.323-327【0800:34:1695】
    「  昔は産婆がいなかったので、女たちが羞恥心のために死んだ。というのは、アテーナイ人たちは奴隷と女に医術を学ばせようとしなかったからである。あるハグノーディケーという少女が医術を学ぶことを切望した。彼女は熱望のあまり、髪を切り男の服装をしてヘーロピロスという者の弟子になった。医術を修め、ある女が分娩しようとしていることを聞くと、彼女はその女のもとにいった。女は彼女を男だと思って信用しようとしなかったので、彼女は下着をもち上げて、自分が女であることを示した。彼女はこのようにして女たちの世話をした。医者たちは、自分らが女たちのところに招かれないことを知ると、ハグノーディケーを非難し始め、「彼は女たちの稚児(ちご)であり、誘惑者である。女たちは病気のふりをしているのだ」といった。最高法院の会議が開かれると、会員たちはハグノーディケーの非難を始めた。彼らに対し、ハグノーディケーは下着をもち上げ、自分が女であることを示した。すると、医者たちはますます非難の度を強めた。そこで主立った女たちが法院に集まってきていった。「あなた方は夫ではなく敵である。なぜなら、私たちに安全をみつけだした彼女をあなた方は非難しているのだから。」そこで、アテーナイ人たちは自由民の女が医術を学べるように法律を改めた。」(p.325)
  • Le Guin, Ursula K.(1969). The left hand of darkness. アーシュラ・K.ル・グィン著 ; 小尾芙佐訳『闇の左手』21刷. 東京 : 早川書房, 1996.9 (ハヤカワ文庫SF)
  • Le Guin, Ursula K.(1979). The language of the night : essays on fantasy and science fiction. アーシュラ・K. ル=グウィン ; 山田和子他訳『夜の言葉 : ファンタジー・SF論』東京 : 岩波書店 , 2006.5 (岩波現代文庫 ;文芸102)【0800:85:B/102】
  • Mahler, Alma. Gustav Mahler : Erinnerungen und Briefe. アルマ・マーラー ; 酒田健一訳『マーラーの思い出』新装復刊. 東京 : 白水社, 1999.10【7600:421】
    「たまたま私が、私にはしなければならない仕事があるので(これまで私の生きがいだった作曲のことを指したのだ)、いまはこれで筆をおきます、と書いたのがもとだった。彼は憤慨した。この世に自分に手紙を書く以上にたいせつなことが私にあるとはもってのほかだというのだ。彼は長文の手紙をよこして、私がこのさき作曲をつづけるのを禁じたのだった。だが、そのことで彼はどんなに私を打ちのめしたことか!
      私は一晩泣きあかした。」(p.33)
  • 田代櫂『グスタフ・マーラー : 開かれた耳、閉ざされた地平』東京 : 春秋社, 2009.11
    「マーラーは断言する。作曲という仕事は自分の役割であり、妻の仕事は自分を幸せにすることだ、と。フロイトやマルクスがそうであったように、マーラーも家庭に関しては超保守的なユダヤ人だった。」(p.225)
  • Mead, Margaret(1949). Male and female : a study of the sexes in a changing world. マーガレット・ミード ; 田中寿美子, 加藤秀俊訳『男性と女性 : 移りゆく世界における両性の研究』東京 : 東京創元社, 1961 (現代社会科学叢書)【778:29:上】【778:29:下】
  • 山本真鳥「第9章 ジェンダー研究と文化人類学」. 江原由美子, 山崎敬一編 『ジェンダーと社会理論』東京 : 有斐閣, 2006.12, p.121-134【3670:1148】
  • Ovidius. Metamorphoses. オウィディウス ; 中村善也訳『変身物語』上. 東京 : 岩波書店, 1981.9 (岩波文庫 ; 赤120-1)【0800:32A:C/771/上】
    「ユピテルは「これは確かなことだが、女の喜びのほうが、男のそれよりも大きいのだ」といった。ユノーは、とんでもないとそれを否定する。そこで、もの知りのテイレシアスの意見を聞こうということになった。この男は、男女両性の喜びを知っているからだが、それにはわけがある。
      あるとき、彼は、緑濃い森のなかで交尾している二匹の大きな蛇を、杖ではげしくなぐりつけたことがあった。すると、不思議なことに、男であったテイレシアスが女に変わり、そのまま七年間を過した。八年目に、ふたたび同じ蛇たちに出くわして、こういった。「おまえたちを打つことが、その人間の性を変えるほどの力を持っているなら、もう一度おまえたちを打つことにしよう」この同じ蛇をなぐりつけると、もとの姿がもどって来て、生まれた時の状態に返った。」(巻三 より p.112)
    「そのむかし、自然の理法を改めて、時には男に、時には女になったシトンの話も、あらためて持ち出すには及びません。」(巻四 より p.150-151)
    妖精(ニンフ)のサルマキスがどうしてあんなに悪くいわれているのか、彼女の泉に浴した男たちのからだが、妙に手ごたえのないその水の働きによって、どうして骨抜きにされて弱くなってしまうのか――それをお聞かせしましょうね。理由はわからないのですが、泉の持っている力はよく知られているのです。
      メルクリウスとウェヌスとのあいだに生まれた男の子を、水の精たちがイダの山の洞窟で育てました。この子は、両親に生き写しの顔立ちでしたが、名前も、両親の名から取って、ヘルム=アプロディトスというのでした。」」(巻四 より p.151)
    「ヘルム=アプロディトスは、手をさしのべながら、もう男らしさを失った声でいいました。『お父さん、お母さん! おふたりの名を受けついでいるあなたがたの息子の願いを、どうか聞きとどけてください! この泉に浴した者はみんな、そこを出るときには男女(おとこおんな)となっていますように! この泉に触れるやいなや、からだが柔らかくなってしまいますように!』」(巻四 より p.156)
  • Pease, Allan; Pease, Barbara(1998). Why men don't listen and women can't read maps. アラン・ピーズ, バーバラ・ピーズ ; 藤井留美訳『話を聞かない男、地図が読めない女 : 男脳・女脳が「謎」を解く』東京 : 主婦の友社, 2000.4 (発売: 角川書店)【4900:793】
  • 斎藤美奈子「『話を聞かない男、地図が読めない女』A・ピーズ+B・ピーズ」. 斎藤美奈子『趣味は読書。』東京 : 平凡社, 2003.1, p. 184-189 【0100:302】
    「世の中には、こういう表題をみて「うわっ、インチキくせえ」と感じる人と、「へえ、おもしろそう」と感じる人の二種類がいる。もちろん後者は前者よりずっと多い。」(p.185)
    「  さて、あなたは納得なさいますか。なさったらまずいでしょう。だってこれ、典型的な疑似科学本だもの。べつにいえばトンデモ本。平たくいえば、まことしやかな迷信をつづった本。」(p.186)
    「「脳の配線」ってなんだろう。読んでると、脳の各部がパソコンみたいにケーブルで接続されてて、スプレー缶に入ったホルモンをブシュッと吹きかけると男脳と女脳ができあがるような感じである。が、彼らが男脳&女脳の論拠にしている右脳&左脳の話自体が、知る人ぞ知る「迷信」なのだ。」(p.186)
  • Platon. Symposion. プラトン著 ; 中澤務訳『饗宴』東京 : 光文社, 2013.9 (光文社古典新訳文庫 ; [KBフ2-4])【0800:110:Bフ2/4】
    「人間には三つの性別があった。すなわち、現在のような男性と女性の二種類だけでなく、第三の性別が存在していたんだ。これは、男性と女性をあわせもつ性で、いまでもその名称は残っているんだが、この性別自体は「消滅してしまった。これを〈アンドロギュノス〉といい、太古の昔には、これも一つの種族であった。」(p.79)
  • Rossiter, Margaret W. "The Matthew Matilda effect in science". Social studies of science. 23(2), p. 325-341 (May 1993)
  • Sargent, Pamela. Women in science fiction. パミラ・サージェント ; 沢ゆり子訳「女性とSF (女流作家特集)」『S-Fマガジン』16(11), p.38-67 (1975.11)
    「  女性は、その限られた役割の中で、作家のために実用的な機能を果たした。物語の中で、作家が登場人物のだれかの口をかりて、ある装置のしくみや、一つの科学的原理を、無知な少女や婦人にむかって――ひいてはその延長としての読者にむかって――説明するという手である。」(p.51)
  • Sturgeon, Theodore(1953). The world well lost. シオドア・スタージョン ; 大森望訳「たとえ世界を失っても」. フィリップ・K・ディック [ほか] 著 ; 中村融, 山岸真編『20世紀SF』2「1950年代 初めの終わり」東京 : 河出書房新社, 2000.12 (河出文庫)
  • Sturgeon, Theodore(1960). Venus plus X. シオドア・スタージョン ; 大久保譲訳『ヴィーナス・プラスX』東京 : 国書刊行会, 2005.4 (未来の文学)
  • 立花観二「生物学における雌雄記号の由来」『科学史研究. 第II期』98, p.59-64(1971)
    「フランスの古典学者 CLAUDE de SAUMAISE(1588~1653) の説であるところの「これらの印は,Kronos (Saturn), Zeus (Jupiter), Thouros (Mars), Phosphoros (Venus), Stilbon (Mercury) のように,惑星のギリシァ文字の伝承過程における省略と変形からきたのだ ... 」とする結論」(p. 61)
    「♂は Mars のたて(楯)とやり(槍)を, ♀は Venus のかがみをかたちどっているのだとする説もあるが, 現在では, 単なる言い伝えとして受けとめられているにすぎない. 」(p. 63)
  • Schott, G.D. "Sex, drugs, and rock and roll : sex symbols ancient and modern : their origins and iconography on the pedigree". BMJ : British medical journal. 331, p. 1509-1510 (24 December 2005)
    doi: 10.1136/bmj.331.7531.1509
  • Stearn, William T. "The origin of the male and female symbols of biology". Taxon. 11(4), p.109-113 (May 1962)
  • 石坂千春「惑星記号の由来
  • 【第3の性】が登場する小説・漫画・映像作品を教えてください。
  • Anthony, Piers(1977). Cluster. ピアズ・アンソニイ ; 浅羽莢子訳『キルリアンの戦士』東京 : 早川書房, 1991.9 (ハヤカワ文庫SF . クラスター・サーガ ; 1)
  • Asimov, Isaac(1972). The Gods themselves. アイザック・アシモフ著 ; 小尾芙佐訳『神々自身』東京 : 早川書房, 1986.5 (ハヤカワ文庫SF)
  • Dick, Philip K.(1964). Oh, to be a Blobel! 浅倉久志訳「おお! ブローベルとなりて」. フィリップ・K・ディック [著] ; 大森望編『アジャストメント』東京 : 早川書房, 2011.4 (ハヤカワ文庫SF . ディック短篇傑作選), p.176-216【9300:1789】
  • Egan, Greg(1995). Distress. グレッグ・イーガン ; 山岸真訳『万物理論』東京 : 東京創元社, 2004.10 (創元SF文庫)【K9300:1】
  • Egan, Greg(1997). Diaspora. グレッグ・イーガン ; 山岸真訳『ディアスポラ』東京 : 早川書房, 2005.9 (ハヤカワ文庫SF)
  • Heinlein, Robert A.(1958). All you zombies. 矢野徹訳「輪廻の蛇」ロバート・A.ハインライン著 ; 矢野徹他訳『輪廻の蛇』新装版 . 東京 : 早川書房, 2015 (ハヤカワ文庫SF . ハインライン傑作集 ; 2), p.
  • Niven, Larry(1970). Ringworld. ラリイ・ニーヴン著 ; 小隅黎訳『リングワールド』東京 : 早川書房, 1985.6 (ハヤカワ文庫SF)
  • Russ, Joanna(1972). When it changed. ジョアンナ・ラス ; 小尾芙佐訳「変革のとき」中村融, 山岸真編『20世紀SF』4「1970年代接続された女」東京 : 河出書房新社 , 2001.5 (河出文庫), p.113-129
  • Russ, Joanna(1975). The female man. ジョアナ・ラス ; 友枝康子訳『フィーメール・マン』東京 : サンリオ , 1981.10 (サンリオSF文庫)
  • Russ, Joanna(1982). Souls. ジョアンナ・ラス ; 冬川亘訳「祈り」. 小川隆, 山岸真編『80年代SF傑作選』下. 東京 : 早川書房, 1992.10 (ハヤカワ文庫SF), p.59-159
  • Smith, Cordwainer(1964). The crime and the glory of commander Suzdal. 伊藤典夫訳「スズダル中佐の犯罪と栄光」コードウェイナー・スミス ; 伊藤典夫, 浅倉久志訳『鼠と竜のゲーム』東京 : 早川書房, 1982.4 (ハヤカワ文庫SF . 人類補完機構), p.169-196
    「人間の女性には、雌にできないことができた。性転換である。」(p.183)
    「猫は来た。アラコシア上空のはだかの空間に、きらきらと輝く艦隊がうかんでいた。小型の戦闘艦が攻撃を開始した。一瞬まえには影も形もなかった猫たち。だが今や彼らは二百万年の歴史を持つ生物、」(p.193)
  • Tiptree, James, Jr.(1976). Houston, Houston, do you read?
    友枝康子訳「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」. ジェイムズ・ティプトリーJr. ; 友枝康子訳『老いたる霊長類の星への賛歌』東京 : サンリオ , 1986.8 (サンリオSF文庫), p.254-345【232:958】
    伊藤典夫訳「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ; 伊藤典夫, 友枝康子訳『老いたる霊長類の星への賛歌』東京 : 早川書房 1989.6 ハヤカワ文庫 SF), p.285-385
  • Tiptree, James, Jr.(1977). The screwfly solution. 浅倉久志訳「ラセンウジバエ解決法」. ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ; 伊藤典夫, 浅倉久志訳『星ぼしの荒野から』東京 : 早川書房, 1999.3 (ハヤカワ文庫SF), p.109-150
  • Tiptree, James, Jr.(1978). Star song of an old primate. ジェイムズ・ティプトリーJr. ; 友枝康子訳『老いたる霊長類の星への賛歌』東京 : サンリオ, 1986.8 (サンリオSF文庫)【232:958】
    p.7-15 アーシュラ・K・ル=グイン「序文」
    「しかし男性のペンネームを使い、何年ものあいだ彼女が公けにそれで通しおおせたこと、これには世間にある種の思い込みがあったからです。戦慄を抱きながら凝視し、よく検討すべき想定があるからです。声を大にし、悔悟と驚嘆の大仰な身振りとともに論争しなければならない想定があるのです。わたしたちが――わたしたち全員、つまり読者、作家、批評家、男女同権論者、男権主義者、男女差別主義者、同性愛ではない普通の人たち、同性愛者が――抱いていた〈男性の作風〉とか〈女性の作風〉についての思い込みです。」(p.11)
    p.408-430 [解説] 鳥居定夫「ティプトリー・ファイル」
    「なぜ男性名を用いたか。彼女は次のように答える。「男ならば、見とがめられることも少なく、忘れられやすい感じがしました。どんな職業についても、初の女性といわれるのに、もうあきあきだったのです。初の女性なんとかでないときには、初の女性たちのひとりでしたね」」(p.422)
  • Tiptree, James, Jr.(1975). Warm worlds and otherwise. ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ; 伊藤典夫, 浅倉久志訳『愛はさだめ、さだめは死』17刷. 東京 : 早川書房, 2012 (ハヤカワ文庫SF)【9300:1803】
    p.7-23: Silverberg, Robert. "Who is Tiptree, what is he?" ロバート・シルヴァーバーグ「ティプトリーとはだれ、はたまた何者?」
    「ティプトリーが女性ではないかという説も耳にするが、この仮説はばかげていると思う。なぜなら、ティプトリーの書くものには、なにか逃れようもなく男性的なものがあるからだ。男にジェーン・オースティンの小説が書けるとは思えないし、女にアーネスト・ヘミングウェイの小説が書けるとも思えない。それとおなじ意味で、ジェイムズ・ティプトリー作品の筆者は男性だと、わたしは信じている。」(p.12)
    p.275-334: 伊藤典夫訳「男たちの知らない女」The women men don't see(1973)
    p.447-455 [解説] 大野万紀「センス・オブ・ワンダーランドのアリス
  • Tiptree, James, Jr.(1973). Love is the plan the plan is death. 伊藤典夫訳「愛はさだめ、さだめは死」. ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ; 伊藤典夫, 浅倉久志訳『愛はさだめ、さだめは死』東京 : 早川書房, 1987.8 (ハヤカワ文庫SF), p.353-390【9300:1803】
  • ジョン・ヴァーリイ ; 浅倉久志 [ほか] 訳『逆行の夏 : ジョン・ヴァーリイ傑作選』東京 : 早川書房, 2015 (ハヤカワ文庫SF)【9300:1790】
  • Varley, John(1976). The phantom of Kansas. 冬川亘訳「カンザスの幽霊」. ジョン・ヴァーリイ ; 冬川亘, 大野万紀訳『残像』東京 : 早川書房, 1980.2 (ハヤカワ文庫SF), p.19-79【9300:1784】
    「  ともかく、子どものころのわたしは男性だった。そして最初の〈変身〉のとき、本来のボディ・デザインをえらんだ。いま着ている生後六ヵ月のクローン・ボディは、当然のことながら私の本当の遺伝子構造を反映している。」(p.44)
  • Varley, John(1974). Retrograde summer. 大野万紀訳「逆行の夏」. ジョン・ヴァーリイ ; 冬川亘, 大野万紀訳『残像』東京 : 早川書房, 1980.2 (ハヤカワ文庫SF), p.107-140【9300:1784】
    「  ドロシー、そしてジュビラントの母親(ぼくの母親だ!)は、〈第一原理(ファースト・プリンシプル)〉という宗教団体の一員だった。彼らはたくさんのおかしな考えを持っていたという話だが、中でも奇妙なのは "核家族" と呼ばれるものに関するものだ。なぜそう呼んだのかわからないが、たぶん核エネルギーが初めて利用された時代に考えられたものだからだろう。」(p.136)
  • Varley, John(1977). The Ophiuchi hotline. ジョン・ヴァーリイ ; 浅倉久志訳『へびつかい座ホットライン』東京 : 早川書房, 1986.1 (ハヤカワ文庫SF)【9300:1783】
  • Varley, John(1977). Equinoctial. 浅倉久志訳「イークイノックスはいずこに」ジョン・ヴァーリイ ; 浅倉久志他訳『バービーはなぜ殺される』東京 : 東京創元社, 1987.12 (創元推理文庫), p.149-234【9300:1782】
    「   共生的宇宙空間環境有機体(シンバイオティック・スペース・エンバイロンメント・オーガニズム)が果たして人工知能(それとも、定義のしかたによっては地球外知能)の一形態であるか否かについては、何世紀も前から激論がつづいている。シンブの中に住んでいる人びとは、肯定の方向で意見が一致していた。しかし、反対派は――その大半は心理学者だったが――こう指摘した。シンブの中で実際に生きている人びとは、判断をくだす上で最悪の立場にある。この問題に対する意見がなんであっても、それは個人的偏見に基づいている。なぜなら、そこには客観的事実というものがないからだ。
       シンブは、一人の人間が宇宙空間で生きられるだけの、完全に自給自足の環境を提供するように、遺伝工学的に作り上げられた有機体である。シンブは人間の排泄物、つまり、尿、糞、熱、炭酸ガスを吸収して育っていく。
       シンブには何種類かの葉緑素に似た酵素があり、人間の体熱を使って光合成がやれる。もっとも、これは能率が低い。ペアにとって必要な残りのエネルギーのために、シンブは日光を利用する。エネルギーを化学物質の形で貯蔵し、あとで必要に応じてそれを分解することが、得意中の得意なのだ。人間と組めば、シンブは自給自足の熱機関となる。それは閉じた生態系であり、どちらが宿主でもなく寄生者でもない。――一つの共生生物だ。
       人間にとって、シンブは緑の牧場、流れる小川、一本の果樹、その中で泳げる海である。シンブにとって、人間は肥えた土であり、日光であり、やさしい雨であり、肥料であり、花粉を運ぶ蜜蜂である。理想的なチームといっていい。もし、おたがいがいなければ、どちらも生きていくのに複雑な機械的補助手段が必要なのだ。人類は、自然のままでは住めない環境に適応させられている。地球が占領されて以来、人類は、どこに住むにしても、自力で自分の環境を作りださねばならなくなった。シンブはその環境を無料で提供してくれるはずだった。
       ところが、そう注文どおりにはいかなかった。
       シンブは、見かけよりも複雑な生物である。人間は、周囲の環境を人間の要求に合うまでねじ曲げたり、こわしたりして、そこから奪いとることに慣れている。だが、シンブはもっと人道的なやりかたを要求する。彼らには与えてやることが必要なのだ。」(p.172-173)
  • Walton, Jo (2014). My real children. ジョー・ウォルトン ; 茂木健訳『わたしの本当の子どもたち』東京 : 東京創元社, 2017 (創元SF文庫)
  • Zelazny, Roger(1978). Stand pat, Ruby Stone. 浅倉久志訳「そのままでいて、ルビー・ストーン」. ロジャー・ゼラズニイ ; 浅倉久志他訳『キャメロット最後の守護者』東京 : 早川書房, 1984.4 (ハヤカワ文庫SF), p.409-427
  • 黄黒真直『ダーウィンのいない世界』第1話「3つの性別 : オービックテイルとマウズ(orbictail and mouths)」
  • Butler, Octavia E.(1984). Bloodchild. オクテイヴィア・バトラー ; 小野田和子訳「血をわけた子供」. 小川隆, 山岸真編『80年代SF傑作選』下. 東京 : 早川書房, 1992 (ハヤカワ文庫SF), p.261-301【9300:1797:下】
  • Butler, Octavia E.(1979). Kindred. オクテイヴィア・バトラー著 ; 風呂本惇子, 岡地尚弘共訳『キンドレッド : きずなの招喚』京都 : 山口書店, 1992.1
  • 丸山宗利著『昆虫はすごい』東京 : 光文社, 2014.8 (光文社新書 ; 710)
  • Evans, Howard Ensign. Life on a little-known planet. New York : Dutton, 1968
    ハワード・エンサイン・エヴァンズ ; 日高敏隆訳『虫の惑星 : 知られざる昆虫の世界』東京 : 早川書房, 1972.6 (ハヤカワ・ノンフィクション)
    ハワード・E・エヴァンズ ; 日高敏隆訳『虫の惑星』1「詐欺師のホタルと蝶のマリリン・モンロー」東京 : 早川書房, 1994.8 (ハヤカワ文庫 ; NF182)
    ハワード・E・エヴァンズ ; 日高敏隆訳『虫の惑星』2「社交的なバッタと同性愛の南京虫」東京 : 早川書房, 1994.8 (ハヤカワ文庫 ; NF183)
  • Curie, Ève(1938). Madame Curie. エーヴ・キュリー著 ; 河野万里子訳『キュリー夫人伝』新装版. 東京 : 白水社, 2014.7【2800:2360】
    「   記念すべきこの一八九八年に、キュリー夫人が残したちょっとしたメモがある。けっして詩的なものではないのだが――いや、だからこそ、ここに引用するのにふさわしいかもしれない。
       それは『家庭料理』という題の本の、スグリのゼリーの作り方の横に、記されていた。
       わたしは、果実四キロと同量のざらめ糖を用意した。そうして十分間沸騰(ふっとう)させてから、目のこまかいふるいで()した。これで、透明ではないが完全に固まったとてもおいしいゼリーが、(つぼ)十四個分できあがったのだ。」(p. 236)
  • Alcott, Louisa May(1869). Good wives.
    オルコット [著] ; 掛川恭子訳『若草物語』. 東京 : 講談社, 1995.6 (講談社文庫)
    「メグは自分の貯蔵庫に自家製ジェリーをずらりと並べたいという、主婦らしい熱に燃えて、スグリのジェリー作りにとりかかることにした。」(p. 73)
    「できるかぎりのことはぜんぶやった。コーネリアス夫人の助言を求めたし、脳みそをしぼって、ハンナがやったことで、自分がし忘れていることがないか思いだそうともした。何度も煮つめなおし、何度も砂糖を加え、何度もこしてみたが、恐ろしい液体はいっこうに「固まって」くれなかった。」(p. 74)
    L・M・オルコット [著] ; 吉田勝江訳『若草物語』続. 改版. 東京 : 角川書店, 2008.11 (角川文庫)
    「自分の手でカレンツのジェリーを貯蔵することを思い立った。... 。コーネリアス夫人の知恵も拝借した。なにか手落ちはなかったかと、ハンナのやり方を思い出そうとして頭をしぼりもした。もう一度煮たり、お砂糖を足したり、こし直したりしてみたが、恐るべき材料はいっこうに固まる様子はなかった。」(p. 77)
  • Alcott, Louisa May(1868). Little women. L・M・オルコット ; 松井里弥訳『若草物語』東京 : ヴィレッジブックス, 2012.3
    「七章でエイミーは学校で禁じられている "ライムの塩漬け" を持っていき、罰を受けることになります。その "ライムの塩漬け" とはいったいなんなのか。あまりおいしそうに思えない(失礼)が、本当にはやっていたのか。調べたところ、十九世紀前半のニューイングランドで、実際に人気があったようです。当時、ボストンの輸入業者たちは西インド諸島からさかんにライムを仕入れていました。鮮度を保つため、そして、税金を抑えるために、本物の塩漬けにするのではなく海水や塩水につけて運んでいたとのこと。そのおかげで、売値を安くすることができ、子どもたちのあいだで大流行するようになったそうです。なので、正確には "ライムの塩漬け" ではなく "ライムの塩水漬け" ですね。現在ではもう見られない食べ物ですから、いまのアメリカの子どもたちがあのくだりを読んで首をひねることも少なくないとも聞きます。」(p. 420)
  • Webster, Jean(1912). Daddy-Long-Legs. ジーン・ウェブスター ; 石原未奈子訳『あしながおじさん』東京 : ヴィレッジブックス , 2011.12
    「どうやら『若草物語』を読んで育たなかったのは、大学中でわたしだけみたい。だけどそのことはだれにも打ち明けていません(打ち明けたら、間違いなく変わり者の烙印(らくいん)を押されてしまいます)。ただこっそり出かけていって、先月のおこづかいの中から一ドル十二セントを出して買ってきました。そういうわけで、今度だれかが塩漬けライムの話をしても、なんのことだかわかります!」(p. 40)
    「顕微鏡でのぞいた猫の十二指腸の断面図がどんなに美しいか、おじさまにもお見せしたいわ。」(p. 198)
  • Webster, Jean(1912). Daddy-Long-Legs. ウェブスター ; 土屋京子訳『あしながおじさん』東京 : 光文社, 2015.7 (光文社古典新訳文庫 ; [KAウ7-1])【0800:110:Aウ7/1】
    「  わたしの好きな本って、何だと思いますか? いまの時点で、という意味です。三日ごとに変わりますから。答えは『嵐が丘』です。エミリー・ブロンテという人は、あの若さで、しかもハワース教会の敷地から一度も外に出たことがなくて男の人を知らなかったのに、どうやってヒースクリフみたいな男性を想像できたのでしょう?」(p.76)
  • Russ, Joanna(1983). How to suppress women's writing. ジョアナ・ラス ; 小谷真理編・訳『テクスチュアル・ハラスメント』東京 : インスクリプト, 河出書房新社 (発売), 2001.2
    「著者が男性であると信じられているか、女性であると信じられているかによって、作品そのものの評価が歪められてしまうこともある。一八四七年、まったく無名の新人作家による小説がイギリスで発表された。」(p.97)

一橋大学附属図書館 髙本善四郎氏助成図書コーナー「本の紹介」班

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