都市をつかいこなす ―小さな場所から始まる社会の可能性を考える―

開催概要

都市を使いこなす
タイトル一橋大学附属図書館ブックトーク
 都市をつかいこなす ―小さな場所から始まる社会の可能性を考える―
日時2021年12月1日(水) 17:15~18:45 (17:00受付開始)
開催方法Zoomミーティング (ライブ配信)
講師町村 敬志 氏
(一橋大学名誉教授/社会学研究科特任教授)
紹介著書『都市に聴け:アーバン・スタディーズから読み解く東京』
 (町村敬志著. 有斐閣, 2020.12)
主催一橋大学附属図書館
参加者数47名

開催報告

ブックトーカー 町村先生
▲ブックトーカー 町村先生

 12月1日(水)、一橋大学附属図書館ブックトーク2021「都市をつかいこなす ― 小さな場所から始まる社会の可能性を考える―」を、オンラインにて開催しました。
 講師に、都市社会学ご専門の町村敬志先生(一橋大学名誉教授・社会学研究科特任講師)をお招きし、ご著作『都市に聴け ― アーバン・スタディーズから読み解く東京』をもとに、現代都市の課題と展望についてご講演いただきました。

 講演は、「都市は死んだのか。」という刺激的な問いで始まりました。
 高度成長期以降に建設された高層ビルの老朽化・更新の問題や、銀行支店跡や廃校になった公立小中学校跡を巡るフィールドワークからは、都市の風景が社会や経済、政治の変化と密接に連動していることが解き明かされました。また、再開発から取り残された場所を活用した先進的なイベントカフェや、商店街の生き残り戦略、パブリックスペースの公共性と収益性など、インターネット空間が隆盛する今なお、都市にしかない様々な可能性が見出されました。

 新型コロナウイルスの流行により「集まること」が難しくなった都市空間。それでも都市は新しい挑戦をする人々に居場所を提供し、『隙間』から広場まで、グローバルに開かれた場所であり続ける ― ポジティブな視点で締めくくられた講演は、都市の未来に思いを馳せつつ閉会となりました。

▲参加者の回答で埋まったチャット欄

 ブックトーク2021は、昨年に引き続きZoomによるライブ配信で行われましたが、講師の出題に対してすぐにチャット欄が回答で埋まるなど、オンラインならではの賑わいのある講演となりました。
 講演後の質疑応答でも、「コロナ禍が10年後の日本の都市と人々のコミュニティに与える影響は?」「様々な人が生きていく『隙間』を確保するためにできることは?」「先生が今後研究対象としたい地域や場所、集団は?」など、時間内に紹介しきれないほどのご質問をいただきました。
 参加者アンケートでは「町村先生のお人柄に触れることができた」「著者の肉声が聞けて、よりご研究に親近感を持った」といったイベント形態への肯定的な受け止め、「社会学における都市研究のあり方というものが少しだけわかったように感じた」「今後の東京(世界の都市)はどうなるか、興味深い」など都市社会学への興味、また、「商店街における『接触領域』という考えが非常に面白かった」「この状況を乗り越えたその先には(補足: リアルとオンラインの)どちらも選択できる世の中になると良い」といった、内容に深く踏み込んだ意見をいただきました。パンデミックの終息が見通せない状況で、本テーマに大きな関心が寄せられていることが伺えました。
 町村先生ならびに参加者の皆様に、重ねてお礼を申し上げます。

関連図書展示

関連図書展示

 講演会に先立ち、図書館本館1階 読書スペースYomoccaにて、関連図書の紹介展示を行いました。資料は貸出できますので、ご興味のある方はぜひご利用ください。

 参考文献リスト&関連展示資料リストはこちら TZ〈ほんの窓〉 第59号